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練習にドローン!米国大学女子サッカーと日本の違い 史上初の快挙!NCAA決勝戦で実現した日本人対決を両選手が振り返る

photo ©︎Santa Clara Athletics

米国の大学女子サッカーには世界各国から優秀な選手が集まります。例えばセレクションキャンプの狭き門に挑戦し、チームの一員となります。強豪校に入学するは、さらに厳しい競争を勝ち抜かなければなりません。そんな競争と、試合を勝ち抜き、2021年5月に二人の日本人選手が史上初の快挙を達成しました。米国大学女子サッカーの全米ナンバーワンを決めるNCAAディビジョン1 チャンピオンシップ決勝戦で日本人対決が実現したのです。

NCAAディビジョン1 チャンピオンシップは全米ナンバーワンの大学女子サッカーチームを決める大会です。全国のカンファレンスのチャンピオン等が出場権を得て、ノックアウト方式で優勝を争います。

JFAアカデミー福島出身の二人の日本人選手

決勝戦に出場したのは根津茉琴選手(サンタクララ大:JFAアカデミー福島期生)と岩井蘭選手(フロリダ州立大:JFAアカデミー福島期生)です。岩井蘭選手のフロリダ州立大は、今大会の第一シードとなりました。結果は、PK戦で根津茉琴選手のサンタクララ大学が優勝。この試合は全米に生中継され大きく報じられました。

JFAアカデミー福島で「世界トップ10を目指した個の育成」の教育を受けてきた2人は、米国女子サッカーをどのように感じているのでしょう。決勝戦から何を感じたのでしょう。なぜ米国の大学に進学しようと思ったのか、から、決勝戦での二人の対決まで、たっぷりとお話をうかがっています。

根津茉琴選手 photo ©︎Santa Clara Athletics

米国遠征で憧れた米国の大学への進学

根津JFAアカデミー福島にいた中学生のとき、米国遠征が毎年ありました。米国遠征に行くと現地の大学に行き、大学生のチームと試合をします。施設を見て衝撃を受けました。「大学にこんな施設があるんだ!」と思って、興味を持ちました。グラウンドが綺麗、トレーニングジム等のアスリート専用の施設……。それが、どの大学にも整備されていました。高校に入って、将来の進路を考えると、あのときの感動が忘れられず、米国に行きたいと思うようになりました。JFAアカデミー福島で、米国の大学を卒業した先輩から話を聞く機会がありました。そこで、米国の大学に絶対に進学しようと思いました。

岩井JFAアカデミー福島にいた中学生のとき海外遠征に行く機会があって、他の国のサッカーと日本のサッカーを比較しました。米国の縦に速いサッカーがとても面白いと思って、米国の大学に行きたいと思うようになりました。高校2年生の冬にFIFA U-17女子ワールドカップに参加させていただいたのですが、そのときの米国代表選手のプレーを見て、海外でサッカーをした方が世界と戦うのには良いのではないかと思い、米国の大学に進学することを決めました。

米国女子サッカーと日本の女子サッカーの違いは、個人の能力やスピード、コンタクトプレーでの力の基準が、日本よりも高いところです。私はウイングでプレーしています。日本にいるときは、スピードを武器にプレーしていました。米国に来て、基準が高い中で、自分のスピードが活かせるのかどうかを試すのが面白いです。米国には速い人がたくさんいます。だから緩急の変化をつけて、いつ走り始めて、いつギアチェンジをするかが、勝負のキーになると思っています。

岩井蘭選手 提供:岩井蘭選手

根津蘭が言ったように、米国人はスピードやフィジカルが全然違います。ドリブルの速さやストライドの長さが違うので(自分がボランチで守備の対応をするときは)それに対応するために、先に予測して、前もって良いポジションを取るということを意識しています。スピードの速い選手やフィジカルの強い選手を相手にすることが、自分のためになっています。もちろん、抜かれてしまうことや吹き飛ばされることもあるのですが、自分が上手くなるためのモチベーションになっています。だから米国に来て良かったと思っています。

サンタクララ大学は、前に大きく蹴らずに、中央を経由してから攻めるスタイルです。私がボランチをやっているときは「なるべくパスを多めに受けろ」と言われています。「無意味な後ろへのパスをするな」とも言われています。縦に速い、スピーディーなサッカーをしていると思います。前の選手もボールを収めてくれる選手が多いので、やっていて楽しいです。米国の女子サッカーを「大きく蹴っているサッカー」とイメージしている人も多いと思いますが、私の大学も蘭の大学も、パスを重視しています。そういうところは、日本の皆さんにも知ってほしいですね。

岩井NCAAの上位のチームは、ただ蹴るだけのサッカーではないですね。あと、自我は強いですね。自分でボールを持ったら突破していくところは日本の女子サッカーとは違うところです。

根津一人一人の「私が得点を決める」という意識がプレーに出ていると思います。

根津茉琴選手 photo ©︎Santa Clara Athletics 

数値化して行われるロジカルな指導

米国に渡って、予想と違ったことはありますか?

根津授業が大変なのは予想していたのですが、宿題の量が尋常じゃないのは予想をはるかに超えました(笑)。サッカーの面では、練習からチームメイト同士でガツガツいくところです。紅白戦では、相手チームに怒鳴ったりして熱があります。

岩井思っていたより分析スタッフがたくさんいて相手と自分たちを分析し数値化します。プロ以上の環境の中にいるので、予想以上に充実しています。分析スタッフはコーチングスタッフがメインで学生は補助です。普段からドローンと定点カメラで練習を撮影しています。小さいことでも、全て分析できるようになっています。だから自分の成長に繋がると思います。

岩井蘭選手 提供:岩井蘭選手

根津私のところはドローンを使っていませんがカメラはあります。それと、スポーツブラに、ハートレート(心拍数)や走行距離を測定できる端末を付けていています。他にも練習や試合の結果が数値化されるので、フィジカルトレーナーとコーチが連携をとっています。もし、右に重心が寄っていたりすると練習を休ませるとか、コンディションの管理がしっかりとしています。プロ並みかプロ以上の環境にいることで充実していると感じますね。

蘭と戦いたい〜茉琴さんと戦えて良かった

根津蘭達のフロリダ州立大学は第一シード。私たちとは逆の組み合わせの山にいたので、私の中では「(勝ち進んで)蘭と戦いたい」という気持ちがありました。1回戦を勝ってから、少しずつ自信がついていきました。「決勝戦で会おうね」と、毎日、蘭と連絡していました。それがモチベーションになっていました。決勝戦に進出できたことが、まず、嬉しかったです。

決勝戦では、フロリダ州立大学が上手く、ずっとボールを回されていました。でも、自分たちにもできることはあったので、それを信じてプレーしました。今思うと、もう一度戦って勝てるかというと、ちょっと難しいと思います。フロリダ州立大学は、個人個人の選手が世界で戦ってきたレベルで、フル代表の選手もいました。雰囲気からしても強そうな感じがしていました。

あとは、自分が蘭の近くに行ったときがあって「あっ蘭だ!」と思って嬉しかったです(笑)。フロリダ州立大学が上手く「上には上がいる」と思って対戦していたので、そこでプレーしている蘭は凄いと思いました。

 

岩井第一シードはプレッシャーになりました。相手が引いてしまう試合が多く、気持ちよく勝てる試合はありませんでした。3回戦、4回戦はPK戦で勝ちました。決勝戦まで行かれて、茉琴さんと戦えて良かったです。本当に一瞬、1メートル以内に近づいて、私も勝手に嬉しかったです。でも、自分がピッチの中にいる時間が短かったので、もう少し茉琴さんと試合をしたかったです。次へのモチベーションになります。

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