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専門性を活かしたテクノロジーの導入、属人的ではないメソッド……サッカー・コンサルタント幸野健一さんが女子サッカーチームを育てた方法

今日のお話のきっかけは11年前の2010年にまで遡ります。

幸野うちの息子(幸野志有人)はJFAアカデミー福島一期生です。16歳・高校一年生の途中でFC東京からオファーをいただいてプロになりました。JFAアカデミーで送別会が開かれたときに、同期の田中陽子さん(元日本女子代表・同じくJFAアカデミー一期生)が志有人に「おめでとう」と言いながらも「男子っていいよね、16歳でプロになれるのだから。私も男子と違いなく頑張っているけれど、女子はプロになれないし、16歳でプロなんて夢のような話だし男子って羨ましいな。」と話していました。僕はその会話を目の前で見て、改めて、女子の選手から男子の選手を見たら、そのように感じるのだ、と思いました。男子と同じように一生懸命に練習していても、到達できる夢の大きさに差がある。やるせない気持ちになりました。女子の待遇面もなんとかしてあげたいと思いました。

サッカー・コンサルタント幸野健一さん

 

幸野健一さんが「サッカー・コンサルタント」を自らの肩書きに使い始めて7年が経ちました。育成を中心にサッカービジネスに関わる課題解決を全国各地で行ってきました。いわゆる「クラブ経営のビジネスコンサルタント」です。幸野健一さんは広告会社も経営されていたのでマーケティング視点でクラブ経営を捉えています。

2014年に自らもクラブを設立。千葉県市川市にフルピッチの人工芝グランドを占有するFC市川GUNNERSはスクールをはじめ、U-12、U-15、U-18、レディースのチームを運営し、400名近くもの子どもたちがプレーしています。また、千葉県社会人1部リーグに所属する市川SCと業務提携し、FC市川GUNNERSのトップチームとして活動しています。FC市川GUNNERSレディースはU-13、U-14、U-15の中学生年代を対象としています。

今回は幸野健一さんに、クラブの価値と女子サッカーの現状についてうかがいました。日本の女子サッカーの最大の課題は中学生年代のプレー人口拡大。チーム数が少なく、プレーしたい少女たちの受け皿が足りないといわれています。そこで、幸野健一さんに、特に、中学生年代の女子サッカー人口に、どのように厚みをつけていけば良いのかについて、重点的にお聞きしています。クラブ経営者の立場からお話ししていただいています。これから女子サッカークラブを立ち上げたいとお考えの指導者には、きっとお役に立つことでしょう。

FC市川GUNNERSレディース 英国調のクラブハウスの前で

幸野僕らは、FC市川GUNNERSとして独自の育成メソッドを確立し、その中でプレーモデルを明確にしています。そのプレーモデルをベースに現場は指導しています。独自の育成メソッドはレディースチームだけではなく、クラブの全てのカテゴリーに適用できるものになっています。全部で120ページくらい書かれています。特にプレーモデルにおいては「攻撃」「攻撃から守備への切り替え」「守備」「守備から攻撃への切り替え」のつの局面で、どうのようにプレーすべきかを明確に定義し、アウトプットしています。このメソッドを、日々、選手と指導者が共有する仕組みになっています。

ウェアラブルセンサー・ノウズ(Knows)の表示画面

我が子にサッカーを教えたいと思いFC市川GUNNERSに関心を持たれた保護者に、幸野健一さんが最初に説明するのは、どのようなことですか? 

幸野今、説明をしたメソッドは、最初に説明することの一つです。また、うちは体成分分析装置InBody(インボディ)を導入して選手のフィジカルデータを計測しています。選手のデータをヶ月に1回測定しながら体の管理をしています。データを元に選手の成長期に合ったトレーニングをしています。フィジカルテストも年に2回行っています。運動能力をデータ化しながら指導しています。それを支えるためにウェアラブルセンサー・ノウズ(Knows)を導入しました。選手が装着して最大心拍数等を測定します。小学生年代で使用しているのは、多分、ウチだけだと思います。

ウェアラブルセンサー・ノウズ(Knows)

ウェアラブルセンサー・ノウズ(Knows)

幸野それから、ウチでは分析アナリストを雇っています。映像分析の専門家が試合の翌日には、試合のダイジェスト映像を制作し、練習の前に指導者と選手が一緒に映像を確認してからトレーニングを始めます。

科学的なデータ分析も含めて、やれることは全部やっています。できるだけ、監督の主観だけではなく、クラブとしてメソッドに基づいた客観的なトレーニングを実現しようと思っています。こうした取り組みを保護者に評価いただいていると思います。

試合のダイジェスト映像を制作 

ここまでの幸野健一さんのお話を整理すると、専門性を活かしたテクノロジーの導入、属人的ではないメソッドの2つだと思います。これは特徴のはっきりしたクラブですね。

幸野こういうことをやっているクラブはまだ少ないと思います。メソッドは、テクニカル・ディレクターをやってくれたリカルド・ロペス・フェリペと一緒に作りました。マンチェスターユナイテッドの選手としてプレミアリーグに優勝。FIFAワールドカップ2002日韓大会のスペイン代表。リカルドは「世界の頂点を知る男」です。そして、引退後はハリルホジッチ監督の日本代表のゴールキーパーコーチも務めたわけで「日本の頂点も知る男」です。世界がどこに向かうか、日本人がどこに向かうべきかをわかっている男です。1年間のディスカッションを経てまとめ上げたものです。自信を持って作りました。

また、メソッドは作ったら終わりではありません。常に進化していく必要があります。FC市川GUNNERSでは、毎週水曜日にメソッド会議を開いていています。常にブラッシュアップして精度を向上するようにしています。

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