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目覚めた一戦かもしれない 愛媛FCレディースが胸張る完封勝利

2021プレナスなでしこリーグ1部第14節スフィーダ世田谷FCと愛媛FCレディースの一戦は雨中の激戦。

分に愛媛FCレディースが最終ラインからディフェンスラインの裏にパスを流し込むと、オフサイドポジションにいた選手に気を取られたスフィーダ世田谷FCのディフェンス陣とゴールキーパーの間に大きなスペースが生まれます。そこを突いた山田仁衣奈選手が石野妃芽佳選手との一対一を制して先制。これが決勝点となり愛媛FCレディースが0−1で勝利しました。

優勝候補と目された愛媛FCレディースは第10節に0−0で引き分け、ここまでの連敗を4で止めたものの、最下位の大和シルフィードに2−4で敗れるなど、第10節を含む連敗後の4試合を1勝1敗2分。調子に乗り切れない試合が続いていました。巧さを見せるパスサッカーが、時にもろく失点に結びついてしまうシーンが、これまでの試合では何度もありました。しかし、この試合では、巧さよりも激しさを感じました。「絶対に相手にやらせない」という意地を感じる競合い。何人もの選手が脚を攣り、倒れた選手が立ち上がるとスタンドから大きな拍手が起きます。1人の選手は顔面にボールを受けて途中交代しました。

パスサッカーの理想にもがき続けた愛媛FCレディースは、激しさを特徴とするスフィーダ世田谷FCと対戦することで目覚めたのかもしれません。

ゴール裏席のファン・サポーターに勝利の報告をする愛媛FCレディースの選手たち

赤井秀一監督のコメントからも、そのことがうかがえます。

「相手のハイプレスであったり、この優位性を持って戦う相手に対して相手にしっかりボールを動かしながら相手を崩してゴールを狙う形ができていて、その中でうまく得点が奪えた。後半、相手のペースになった中で選手が球際だったりセカンドボールの対応含めてしっかり体を張って守ってくれたことが、この勝利に繋がったと思います。」

愛媛FCレディースは、これで星を五分に戻して5勝5敗分。勝ち点は18で6位と並びました。後半戦に巻き返す兆しが見えてきました。

失点のシーン以外に大きな問題は感じられなかったスフィーダ世田谷FC

一方の敗れたスフィーダ世田谷FCも、ファン・サポーターを納得させるサッカーを展開できていたと思います。放ったシュートは18本。そのうち2本がクロスバー直撃でした。神川明彦監督は、試合後のインタビューで「下を向く試合ではない。」と、全力で戦った選手を称えています。前節に続いて先発出場となった下山田志帆選手は、最終ラインからの鋭い縦パスで攻撃のアクセントとなっていました。チームは、少しずつアレンジを加えながら上位争いを続けています。

中断前は残り1節

後半に入り激しさを増す2021プレナスなでしこリーグ。2021年7月10日、11日に開催される第15節を終わると、東京2020が明けるまで、約1ヶ月半の中断期間に入ります。

(2021年7月5日 石井和裕)

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