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東京2020 初戦で対戦するカナダ女子代表 フランスの強豪クラブでプレーする3選手と多様性に注目

東京2020、なでしこジャパン(日本女子代表)の初戦の相手はカナダ女子代表戦です。最近では、2019年10月6日にIAIスタジアム日本平で対戦。4−0でなでしこジャパン(日本女子代表)が勝利しています。

とはいえ、それは国際親善試合でのこと。カナダ女子代表が世界の強豪国の一つであることは間違いありません。FIFA女子世界ランキングは8位(2021年4月16日、日本は11位)。常に、世界大会では上位の一角を占めており、今大会も本国ではメダルが期待されています。

今回は、カナダ女子代表を大解剖。注目の選手を紹介します。そして、カナダへのサッカー留学をサポートする専門家・高尾真人さんにカナダの女子サッカーのバックボーンをお聞きしています。また、カナダに移住し国際同性婚をされた「旅するダンサー」まどぅーさんに、カナダの生活風土も教えていただきました。東京2020の前に、カナダ女子代表のことを知るには、格好の特集です。

来日済みのカナダ女子代表は、2021年7月14日に鴨川市陸上競技場でトレーニングマッチを実施。FIFA女子ワールドカップ フランス2019で準優勝したオランダ女子代表と3−3で引き分けています。

シンクレア選手をはじめ米国でプレーする選手が大半

カナダ女子代表の内訳を見ると、カナダ国内でプレーする選手は1名しかいません。半数以上の12名が米国(大学チーム含む)でプレーしています。

米国 12名
イングランド 4名
フランス 4名
スウェーデン 1名
カナダ 1名

GK- Stephanie Labbé | SWE / FC Rosengård
GK- Kailen Sheridan | USA / NJ/NY GothaFC
CB- Kadeisha Buchanan | FRA / FCF Olympique Lyonnais
CB- Vanessa Gilles | FRA / FC Girondins de Bordeaux
CB- Shelina Zadorsky | ENG / Tottenham Hotspur
FB- Allysha Chapman | USA / Houston Dash
FB- Ashley Lawrence | FRA / Paris Saint-Germain
FB- Jayde Riviere | USA / University of Michigan
M- Jessie Fleming | ENG / Chelsea FC
M- Julia Grosso | CAN / University of Texas at Austin
M- Quinn | USA / OL Reign
M- Desiree Scott | USA / Kansas City NWSL
F- Janine Beckie | ENG / Manchester City FC
F- Adriana Leon | ENG / West Ham United FC
F- Nichelle Prince | USA / Houston Dash
F- Deanne Rose | USA / University of Florida
F- Christine Sinclair | USA / Portland Thorns FC
F- Evelyne Viens | USA / NJ/NY Gotham FC
GK- Erin McLeod | USA / Orlando Pride
FB- Gabrielle Carle | USA / Florida State University
M- Sophie Schmidt | USA / Houston Dash
F- Jordyn Huitema | FRA / Paris Saint-Germain

カナダの象徴はクリスティン・マーガレット・シンクレア選手。カナダ女子代表を2度の銅メダルに導いています。カナダ女子代表で2000年から21年間もプレーしています。38歳になりました。しかし、ただの象徴ではありません。2020年に達成したカナダ女子代表での185得点は、これまで女子の世界最多だったワンバック選手(米国)の通算184得点を抜いて歴代位となる大記録。北米大陸では、とても大きな話題となりました。FIFA女子ワールドカップフランス2019では、準優勝したオランダ女子代表から得点。これは、FIFA女子ワールドカップ5大会連続得点という偉大な記録です。過去のなでしこジャパン(日本女子代表)との対戦では、目立った活躍はありませんが、油断ならない選手です。

『速い』よりも『強い』カナダの女子サッカーのイメージ

高尾真人さんが経営する『カナダスポーツ・語学留学のA tohttps://ato.academy)』は、日本からカナダへの留学・斡旋事業、プレナスなでしこリーグにカナダ出身選手を紹介斡旋する事業等を行っています。

高尾さんによると、カナダは「銃社会ではない治安の良い国」「アクセントのない聞き取りやすい英語を話す」「サッカーの環境が整っていて少年少女のサッカー人口がスポーツの中で1番多い」なのだそうです。そのようなことから、サッカー経験者のカナダ留学を勧めている、カナダのスペシャリスト・高尾さんにカナダの女子サッカーについて聞いていました。

「ダイナミックなサッカーをする傾向があります。若年層は、ボランティアの父兄コーチが大半なので細かなコーチングに限界がある傾向があるので、『走る』『蹴る』でゲームを進めていきます。どちらかというと『速い』よりも『強い』イメージがありますね。

カナダは人種のモザイクといわれる文化です。カナダは、元々、人口が少なく、移住政策で人口を増やし外資を入れる政策を取ってきたことが理由です。だから多様性に溢れています。」

カナダ国内では、女子サッカーはメダルの可能性があるといわれています。高尾さんによると「女子は競技人口が強いのが強さの理由」「アフリカ系の選手がいることも特徴」とのこと。世界各国からバラエティに富んだバックグラウンドを持った人々が集まるカナダ、そしてカナダの女子サッカーの面白いところです。

モントリオール・オリンピックセンター

カナダはLGBTQ2先進国

「私が住んでいるカナダで同性婚が出来るようになったのは2005年。もう10年以上も前からなのです!」と言うのは、2016年にカナダで同性婚をしたまどぅーさん。カナダでダンススクールを開いています。2019年には双子を授かり「ふたりママ」の生活をしています。

カナダはLGBTQ2(2は2つの性役割を持つ人のことで「Two-Spirit」を意味する)にフレンドリーな国とされています。高尾さんが言われる人種のモザイクといわれる文化が影響しているのかもしれません。「モントリオール・ラブパレード」には国内外から270万人が集まります。2019年から、パスポートに第3の姓「X」を記入できるようになりました。履歴書に性別の記入欄がなく、子供の出生証明には「母・父」ではなく「親」と表記されます……等々、現在の日本とは全く違う社会がカナダにはあります。詳しくはまどぅーさんのブログ(https://madokasuzuki.com/canadalgbtq/)をご覧ください。

バンクーバーの夜景

注目はカデイシャ・ブキャナン選手らフランスで活躍する3選手

カデイシャ・ブキャナン選手は、2020年シーズンの年のカナダ女子サッカー年間最優秀選手。フランスリーグ14連覇の記録を持つオリンピック・リヨン(フランス)で、世界最高のセンターバックであるルナール選手(フランス女子代表)とコンビを組んでいます。その結果、センターバックでプレーしていた熊谷紗希選手がアンカーポジションに弾き出されました。

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