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名門・藤枝順心高校監督に就任した中村翔さん インターハイ直前の若き指導者に聞く

筆者と藤枝順心高校の接点はただ一つ。全日本高等学校女子サッカー選手権大会です。藤枝順心高校は、2006年の第15回大会を優勝。私は決勝戦をヤマハスタジアムで観戦しました。当時の決勝戦は、8月の午前中に開催されており、とても暑かったことを覚えています。

筆者は #女子サカマガ で、いつか高校女子サッカーのことをお伝えせねば、と思っていましたが、やっと、その時がやってきました。2021年度 全国高校総合体育大会女子サッカー競技大会(女子インターハイ)の開幕を前に、藤枝順心高校の中村翔監督のインタビューをお届けします。

中村翔監督は、この春に藤枝順心高校の監督に就任した32歳。高校女子サッカーの名伯楽・多々良和之前監督の跡を継ぎました。どのような経緯で就任されたのか?そして、藤枝順心高校は、他の学校と何が違うのか?多々良先生や渡辺博尚コーチの指導を目の当たりにして身につけた「選手に気づきを与え能力を引き出す指導」とは?高校生年代の指導に必要なことをお聞きしています。

選手権連覇中の藤枝順心高校の監督という重責

中村翔監督は岩手県の出身。盛岡商業高校でプレーされていたお父様、そしてお父様の恩師である斎藤重信監督の影響を強く受けました。ご自身も盛岡商業高校でプレーし全国高等学校サッカー選手権大会で優勝。卒業後は国士舘大学に進学し、指導者の道に進むことを決意します。学校法人藤枝学園が経営する藤枝明誠高校で教員として採用され、サッカー部の指導も行うようになります。6年目に全国選手権に出場。その後、姉妹校である藤枝順心高校へ異動し、初めて女子サッカーの指導に携わります。

中村異動が決まったときは妹(中村楓さん:S広島R)から「大丈夫?」と心配されました。でも、実際に指導してみると、性別の違いはありますが、サッカーに対する思いや熱は変わりませんね。純粋にサッカーで成長したいと思う生徒の中で指導することが出来ています。目標を高いところに設定しながら、目の前を見て着実に進んでいくことの大切さを学んだ、藤枝順心高校での最初の一年でした。

提供:中村翔さん

戸惑いと葛藤があった藤枝順心高校への異動

中村以前に指導した藤枝明誠高校で、久々に全国高等学校サッカー選手権大会に出場したのですが、1回戦で敗退してしまいました。「来年、もう一度、ここに帰ってこよう」と考えていましたし、自分自身も成長のために、何かしていかなければならないと考えていたタイミングでした。そこで話があった異動だったので戸惑いと葛藤がありました。

僕にとって女子の指導は未知数でした。しかも、藤枝明誠高校では、男子クラスを担任していました。だから、女子との接点が、あまり多くありませんでした。妻からも「大丈夫?」と心配されました(笑)。

藤枝順心高校に移動されてみて、いかがでしたか?

中村当時の藤枝順心高校には、凄い個性を持った生徒がたくさんいました。例えば、今は、平成帝京大学でエースの今田紗良という選手がいます。僕が異動した年の3年生です。とにかく、よくしゃべります。しゃべる量も声の大きさも凄くて、どこにいても存在がわかる。そんな選手でした。

藤枝順心高校には、生徒の個性を活かして成長を促していく環境があります。そういう指導を見て、僕の戸惑いと葛藤は無くなっていきました。それからは、選手と一緒に成長できる環境で、指導者として、教師として取り組んでいます。

提供:中村翔さん

「中村君は絶対に出来ると思う」という突然の打診

中村監督就任の打診は突然にありました。選手権が終わって一段落した1月の末に、軽い感じで「ちょっと来てくれる?」と多々良監督に呼ばれました。お仕事をお手伝いするような感じです。別室に入ると「今年度で自分は退くので、来年度から中村君に(監督を)お願いしたい。」と言われました。どういうリアクションをしたら良いのかわからず、固まってしましました。既に、理事長、校長先生、学校の管理職の方々に「中村君に任せたい」と伝えてあるということでした。「中村君は絶対に出来ると思う」と言われました。僕が引き受ける以外に務まる人がいないだろうと思い、その場で「がんばります」と返事をさせていただきました。

コーチの時と監督になられてからで、何か違いはありますか?

中村これまでずっと、選手と何でも話をする指導をしてきました。選手が、上手くいかなかったり、苦しんでいるのを見ると、こちらから、すぐにフォローに入って話をしていました。今は、少しずつ変えています。選手が自分自身で乗り越える場面が必要だと考えています。自分自身で乗り越えると、より早く身につきますし、良い感覚が長く残ります。選手の自分からのアクションを見守り、その後で、別の考え方を僕が話してあげたり、乗り越えた方法を僕から質問して、選手に振り返る機会を提供することもあります。

元々、この方法は、僕に指導してくださった方々から教わりました。でも、僕が指導者になってからは、結果を出すために必死になりすぎて、この方法を忘れかけていました。多々良先生や渡辺さんの指導を体感して、以前のことを思い出し、これを始めました。

提供:中村翔さん

主体性を重視し、選手が自分自身で乗り越える場面を提供する

他の学校と藤枝順心高校の違いは?

中村まず、サッカー部の話の前に、一人一人の先生が生徒に目を向けて、とても熱心に指導している、魅力あふれる学校だということです。生徒が人間的に成長させてもらえる環境があると思います。

そんな中でサッカー部は、主体性を重視しています。選手が良いと思ったことを始めれば、そこから自分でより成長できます。ある目的に向かって、選手によっては、他の選手と違うルートからたどり着こうとする場合もあります。それは悪いことではありません。むしろチーム全体に相乗効果を生み出します。ルートの違いをお互いに理解することで、新たな考え方を得られることになります。全員の成長を促していくためにも、個々の選手に寄り添っていきたいと思っています。

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