WE Love 女子サッカーマガジン

シティ・フットボール・グループ日本法人のパートナーシップ部門セールスマネージャーから見たWEリーグの溢れる魅力(後篇)Jリーグとの連携を含む具体的なアクションアイデア

後篇では、マンチェスター・シティFC率いるシティ・フットボール・グループ日本法人でパートナーシップ部門セールスマネージャーを務める西脇智洋さんにWEリーグの、これからのブランドのあり方について、お話をうかがいました。実現するには難易度が高いかもしれないアイデアも含め、例を提示しています。具体的なアクションがブランド(リーグの期待や信頼)を高めていくというお話です。

シティ・フットボール・グループ(CFG)パートナーシップ部門セールスマネージャーから見たWEリーグの溢れる魅力(前篇)そして「僕ら男性が変わらなければならない」

これはWEリーグのようなトップリーグだけに適用されるものではありません。同じような構造が、プレナスなでしこリーグのクラブ、地域で活動するクラブにも適用可能です。「こんな方法あるかもしれない!」というヒント創りの一助になればと思います。

プレナスなでしこリーグのスタンド風景

サッカー界全体のためにJリーグと連携してほしい

西脇–JリーグはWEリーグと、リーグレベルで連携してほしいです。同じボール、同じピッチで行っているサッカーが、男性と女性で分かれている。ある意味、そこに矛盾があります。でも、WEリーグが求めることにはインクルーシブな(多様な立場の人と共生していく)部分があります。それをJリーグとしてサポートした方が、サッカー界全体が良い方向に動くと思うのです。マンチェスター・シティFCではセイム・シティ・セイム・パッション(SAME CITY | SAME PASSION)というプロモーションを行っています。

西脇–この動画が伝えているのは「It’s just Football. 男子も女子も同じフットボールだよね」ということです。本質はこのメッセージにあります。ここに、Jリーグとの合同プロモーションの発想が生まれるのではないかと、僕は思います。男子がプレーする象徴のJリーグが、女性に対して、何か出来ることがあるのではないでしょうか。WEリーグは、日本で初めての女子だけのプロスポーツリーグです。これを、これまで社会課題を解決してきたJリーグが、どのように受け止めてサポートしていくのかも重要なことだと思います。

—この動画の日本版が、DAZNのJリーグ中継のハーフタイムで配信されると、かなりの大きな影響力がありますね。

「女子サッカーを応援したい」という気持ちになってもらう動機付けができる場は「オン・ザ・ピッチ」ではないと思う

西脇–少しクラブのパートナーシップ営業に目を向けて考えてみたいと思います。クラブ自身のフィロソフィー(成り立ち)や、他のクラブと比べて何を有しているのか、いかにそのUSP(競争優位性)が際立っているのかによって、パートナーシップのビジネスにも価値が生まれます。アセットが増えて、営業が売りやすい環境を作れます。原理原則で言えば「クラブの魅力をどのようにポジショニングしているのか」を、まずは、今一度見つめ見直し、足りないところを作っていくことが大切だと思います。特に、長期視点で見ると重要です。(パートナー側にとって)パートナーシップの目的が何なのかが不明瞭なままに取り組むと、短期的には資金獲得というクラブ側の目的を達成することが出来ても、終わってみればパートナー側に何も生み出せなくなります。

—ジェフユナイテッド市原・千葉レディースというチームは、その点で積極的に取り組んでいると思います。例えば新体制発表会で体制や選手の発表は短時間でした。その代わり、女性と仕事と社会に関するトークセッションを長時間にわたって展開したりして、ジェンダー平等の分野ではWEリーグで一番を目指しています。その背景には、10年以上も前に胸スポンサーにピーチジョン(PJ)が付いたり、海外でのサッカー経験が豊富な選手・GMがいたり、マネージャーだった小林美由紀さんが今はWEリーグの理念推進部長になられたということがあります。

左から林香奈絵選手、千野晶子さん、河村乃里子さん、清水由香さん、三上尚子さん

西脇–良いですね!僕のイメージするところと近いですね。いかに「女子のサッカーを応援したい」という気持ちになってもらうかの動機付けができるのは「オン・ザ・ピッチ」ではないと思うのです。プロサッカーチームである以上は勝利に貪欲になるのは当然です。でも、ファン・サポーターに「応援したい」という気持ちになってもらうためのストーリーが必要です。その起点の一つが「WEリーグのビジョンを体現していくこと」だと思います。体現するためにはパートナーの力も必要です。

そして、クラブレベルで、どのようにクラブのフィロソフィーを明確にし、どのように他と違う独自性のあるアクションを起こすかが重要だと思います。

具体的なアクションがブランドを育てる

西脇–WEリーグは、ある意味、これまでのスポーツリーグとは全く違うことをやるべきだと思います。例えば「選手が社会問題を提起する」。自らワークショップを開いて行動する。そんなことをやっているリーグは国内にありません。その他で言えば、例えば、他のリーグが行っているようにTwitterFacebookなどで発信するのではなく、社内リソースを戦略的にTikTokでの発信に絞るとかとか……。

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