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リオ五輪予選の後遺症が解消されていなかったなでしこジャパン 24歳・25歳の空白 次の強化のために必要なことは

東京2020を振り返る2回目です。今回は高倉麻子監督が、なでしこジャパン(日本女子代表)のボランチに誰を起用してきたかを確認します。そして、リオ五輪予選敗退の後遺症をいまだに引きずる、なでしこジャパン(日本女子代表)の現実にも注目します。さらに、その根底にある原因を考えます。FIFA女子ワールドカップや五輪は国を挙げての総力戦です。監督の目先の采配だけでメダルを獲得できるほど甘くはありません。振り返ってみれば、それが、如実に現れた東京2020であったと感じます。

とはいえ、グループステージで、なでしこジャパン(日本女子代表)と引き分けたカナダ女子代表が米国女子代表を破って決勝戦に進出。なでしこジャパン(日本女子代表)の力が、大きく劣っていたわけではないということも書き添えておきます。

24歳・25歳の招集に穴が空いていたリオ五輪予選のなでしこジャパン(日本女子代表)

ここで、ロンドン五輪から東京2020まで、メンバーの年齢バランスの遷移を見てみましょう。FIFA女子ワールドカップドイツ2011の世界一メンバーで挑んだロンドン五輪(左)と比べると、リオ五輪予選(中央)では重心が上にかかり、メンバーの高齢化が進んでいることが分かります。上の方にオレンジ色のメンバーが固まっています。そして、東京2020(右)では22歳から25歳に主力選手が多く含まれていることが分かります。

「即興性」を左右するはずだった29歳・30歳の経験豊かな選手

東京2020では「選手の即興性が上手くいかなかった」と指摘する声が多く聞かれます。高倉監督は「0秒切り替え」「5秒間プレス」等の決まり事を明確に定め、偽サイドバックに「似た」ポジションで中央を厚くする戦術等を採用してきました。併せて、選手たちにはピッチ上での相手の状況に合わせた攻撃のアイデアを要求してきました。多くのメディアで、それを「即興性」「アドリブ」と表現しています。

この即興性を成立させるためには経験とリーダーシップを持った選手が必要だと考えられます。特にセンターラインと言われる中央のポジションでリーダーシップが重要視されます。東京2020のメンバーを見ると29歳・30歳の選手が一人だけ。28歳の選手も岩渕真奈選手だけです。いわゆる脂の乗った世代と表現される選手が少ないことが分かります。

「ヤングなでしこブーム世代」はどこに消えたのか?

なぜ、この世代に穴がいてしまったのかを考えるために、リオ予選のメンバーを見てみました。すると、東京2020の29歳・30歳にあたる24歳・25歳が空白になっていることが分かります。つまり、その一因に、リオ五輪予選のメンバー構成があると考えます。リオ五輪予選は、どうしても負けられないという日本国民の声が、選手・監督に重くのしかかった予選でした。

池田咲紀子選手の年齢は、ちょうどFIFA U-20女子ワールドカップ日本2012の世代になります。いわゆる「ヤングなでしこブーム世代」です。この大会のU-20日本女子代表の多くが、2021年に27歳から29歳を迎えています。

FIFA U-20女子ワールドカップ日本2012の最終メンバーは18人。その中で高倉監督が繰り返し招集したのは池田咲紀子選手、高木ひかり選手、土光真代選手、猶本光選手、中里優選手、横山久美選手、田中美南選手の7人。高倉監督が就任する以前から招集されていたのは猶本光選手、横山久美選手、田中美南選手だけでした。そして、最終的に東京2020のメンバーに加わったのは池田咲紀子と田中美南のみでした。田中陽子選手、道上彩花選手、仲田歩夢選手、西川明花選手……といった将来を嘱望された選手が加わることはなく、どうしても、この世代の伸び悩みを感じざるを得ません。

そして、負けられないプレッシャーがゆえに、リオ五輪予選で、FIFA女子ワールドカップドイツ2011の世界一メンバーを重用し続けてしまったことのツケが、2021年になっても、まだなでしこジャパン(日本女子代表)に付き纏っているように感じます。

世代交代のタイミングになるはずだった2013年9月のナイジェリア女子代表戦で、田中陽子選手が途中投入された後に途中交代で下げられてしまった試合は、その象徴的な采配例でした。

リオ五輪予選での24歳・25歳の空白は、どうしても見過ごすことができません。東京2020の敗因に繋がる、大きな空白であったと思います。

人間的に成熟した選手が背負うべきだという背番号10は岩渕真奈選手。リオ五輪予選では阪口夢穂選手が10番を背負っていた

ボランチは攻守の要のポジションです。「守備的ミッドフィルダー」と呼ばれていたのは、日本代表の森保一監督が選手として活躍していた頃の話。現在では、ピッチの中央部で試合を制圧する役割を担います。

FIFA女子ワールドカップドイツ2011で世界一に輝いたときのチームを思い出してください。このポジションで、大会得点王に輝いた澤穂希さんと、天才プレーヤーの阪口夢穂選手がコンビを組んでプレーしていました。試合によっては、ここに宮間あやさんが加わることもありました。グループステージで敗退したFIFA女子ワールドカップ中国2007との大きな違いは、このボランチの選手起用にありました。

東京2020で起用されたのは中島依美選手、三浦成美選手、林穂之香選手。途中交代で杉田妃和選手

いずれの選手も、東京2020では実力を発揮したとは言い難いプレーに留まりました。チーム全体の推進力を中央で発揮できたわけではなく、サイドにボールを展開する役割が多かった印象です。なでしこジャパン(日本女子代表)は「なでしこらしいサッカー」をOG、関係者、ファン・サポーターから要求されることが多いチームです。しかし、攻守の要のポジションが、多くの人々がイメージするFIFA女子ワールドカップドイツ2011で世界一に輝いたときのチームと、全く異なるタイプの選手で構成されているので、その要求に答えることは難しかったと考えられます。高倉監督が、佐々木則夫監督の育ててきたサッカーとは異なるサッカーを志向した理由はここにあります。ただ、その選択は、積極的に行われたものなのか、それとも、止むを得ず消極的に行われたものだったのか、どちらだったのかによって、このチームの解釈は大きく異なります。筆者は、止むを得ず消極的に行われたものだったと推察しています。

高倉監督が就任以来、各大会(親善試合等)に誰を招集してボランチを構成していたのかを一覧にしてみました。ご覧ください。数字は招集された大会数です(例えば試合の大会の場合は少数された大会数は1)。

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