人種差別、代理人トラブル、救ってくれたのはチームメイト 十川ゆき選手(ラシン・サンタンデール)インタビュー
十川ゆき選手は #女子サカマガ に2回目の登場です。レアル・オビエドでプレーしていた十川選手は、今シーズンからラシン・サンタンデールに移籍します。ラシン・サンタンデールの試合はYouTubeで生配信されるので日本でも視聴することが出来ます。楽しみです。
? INCORPORACION?
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BIENVENIDA A TU NUEVA CASA?
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— Racing Féminas (@RacingFemenino) July 6, 2021
さて、今回のインタビューのテーマは「チームメイトの大切さ」です。十川選手の2020−21シーズンには、2つの大きな事件がありました。1つ目は移籍を巡る代理人とのトラブル。2つ目は人種差別事件の当事者になったことです。2つの事件で十川選手を救ってくれたのはチームメイトでした。
誰とでも、ナチュラルに仲良くなれる性格だという十川さんですが、初めはチームに溶け込むための努力をしたのだそうです。話しかけられていなくても、自ら積極的に会話に加わろうとすることで、いつの間にか「ゆきも来なよ」とチームメイトに話しかけてもらえる存在になったのだとか。
スペインで生活する十川選手にとって、チームメイトはどのような存在なのか?チームメイトは、どのように十川選手を救ってくれたのか?そして、これからの関係は……帰国していた十川選手にお話をうかがいました。
もっとやれるはずだった昨シーズン
十川—チームメイトでルームメイトの子とは、めちゃくちゃ仲が良くて、休みの日に、その子の実家に行って過ごしたりしました。今回の帰国前も、その子の家で過ごしていました。その子の実家はマドリードにあります。
—昨シーズンを振り返っていかがでしたか?
十川—昨シーズンは2部の北グループの3位に終わりました。ずっと1部への昇格争いをしていたのですが、最後の4試合のうちの2試合を負けてしまって、勝ち点を引き離されてしまいました。北グループの1位のチームしか抜けられないので難しいリーグです。
私は、試合のほとんどに出場して2得点5アシスト。もっとやれたと思います。結果は微妙な感じです。エースの選手が不在で、難しいシーズンでした。このチームでプレーするのは2年目だったので、やり方やプレーの強度には慣れました。1年目よりも落ち着いてやれました。監督から求められたことを、シーズンを通してやれたと思います。特に守備の部分は成長したと思います。
—やはり、監督からの要求に答えられるようになったことで出場試合数が増えたのですか?
十川—はい、そうですね。でも、私自身としては、あまり満足できない結果です。求められたことはできました。でも、それ以上のことを、もっとエゴイストになってやっても良かったかもしれません。私も得点を取れるようにプレーしていかなければなりません。アシストが私の一番の特徴ですが、得点を自分で狙える選手になっていかなければ、と思います。
—相当良い左脚のシュートをお持ちだから、たまには見せてほしいですね。
十川—シュートが苦手なわけではないのですが、試合になると、ちょっと、なんか……。今シーズンは、もっとシュートを打っていきたいです。
今シーズンはラシン・サンタンデールでプレーへ
十川—ラシン・サンタンデールに移籍します。レアル・オビエドのチームもチームメイトもスタッフも大好きですが、自分は同じ場所にいるのが好きではなくて、新しい場所に行くのが好きだからです。知らないところに行って、その土地や人を知ることが好きなので移籍を希望していました。
ラシン・サンタンデールは知名度が高いクラブです。クラブの基盤がしっかりとしています。プロフェッショナルな文化が根付いているので、学ぶことが多いと期待しています。街は港町。良いところです。それから、昨シーズンのレアル・オビエドの監督が、今シーズンはラシン・サンタンデールで指揮を執ります。
土壇場で代理人と契約解除、移籍交渉をやり直し
十川—私はスペインの会社に代理人業務をお願いしています。移籍を検討することになり、いくつかのクラブから代理人にオファーが届きました。そのときに、代理人が1つのクラブだけを強く勧めてきました。そのクラブは大なクラブではなく、女子チームだけのクラブでした。私は、そのクラブへの移籍に乗り気ではありませんでした。移籍市場のクーロズまで1ヶ月くらい時間があったので、もう少しオファーが届くのを待って、各クラブのオファーを比較して良い条件のクラブへ移籍しようと考えました。
待っていると、いつの間にか、来ていたいくつものオファー交渉が消滅していました。気がつくと、代理人が強く勧めてきた女子チームだけのクラブしか私に選択肢がなくなっていました。代理人から「どうする?」と言われて「どうするも何も、そこには行かない」と答えました。
私は、移籍について、仲の良いチームメイト2〜3人に報告・相談していました。その子たちは、みんな「そのクラブへはいかない方が良い」と言ってくれました。たから、そのクラブに移籍したくなかったのです。
チームメイトからの進言もあって、私は代理人に他のクラブとの交渉をお願いしました。でも「もう交渉先がない」と言われました。それで、代理人との契約を解除しました。
すぐに、次の代理人と契約しました。チームメイトの代理人を紹介してもらったのです。移籍交渉を最初からやり直しましたが、オファーが、いくつものクラブから来て、最後にラシン・サンタンデールを移籍先として選ぶことが出来ました。
—そういう、ご苦労があるのですね。でも、代理人が変わって、すぐに、またオファーが届いたのですから、実力が高く評価されていたということですね。
十川—移籍市場の終盤で、代理人との契約を解除したので、スケジュールは響きました。でも、3位のチームで、ずっと出場していたということが評価されて、たくさんのオファーをいただけたのだと思います。移籍が決まるまでの時間はストレスでしたが、チームメイトに相談したことで助けてもらいました。
—良いチームメイトに恵まれていますね。
十川—単なる、チームメイト以上の関係になれる友達は重要ですね。海外で生活していると孤独です。サッカー以外で生活に関わってくれる人は、本当に少ないです。そこで頼りになるのがチームメイトです。いかに仲良くなって、楽しい時間を過ごせるかが重要です。
今の、仲の良いチームメイトは、きっとサッカーを引退しても、ずっと友達だと思います。
メディアでも大きく報じられた人種差別事件
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