WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグの独自性が読み取れるオフィシャルガイドブックの面白さ 発売・発行のぴあ株式会社に制作意図を聞く

オフィシャルガイドブックは面白い。リーグの意図や、社会の中でのリーグのポジションが誌面に反映されています。

『Yogibo WEリーグ オフィシャルガイドブック2021−22』を手に取ってみると、さまざまな仕掛けを感じます。これまで女子サッカーの印刷物では取り入れられていなかった表現が見つかります。同じプロ化でも、Jリーグのスタート時とは、かなり表現のトーンが異なります。

『Yogibo WEリーグ オフィシャルガイドブック2021−22』は、なぜ、面白いのか?なぜ、このような表現になったのか?なぜ、このような項目を掲載したのか?マニアックすぎないか?誰が制作したのか?……今回はぴあ株式会社スポーツソリューション推進局 編集・制作担当の碧山緒里摩(あおやまおりま)さんに、お話をうかがいしました。

「僕自身はサッカー畑の人間ではない」と謙遜される碧山さん。雑誌『ぴあ』のスポーツ担当ご出身です。現在はスポーツに関するソリューション(主にプロモーション)を担当しています。例えば、WEリーグの開幕に合わせて小泉佳穂選手(浦和レッズ)、南萌華選手(三菱重工浦和レッズレディース)、横山玲奈さん(モーニング娘。‘21)の対談記事。また、ぴあニュースに掲載するスポーツニュース記事を担当されています。

東京2020の結果を反映した対談から始まる 

碧山弊社は『プレナスなでしこリーグ/プレナスチャレンジリーグオフィシャルガイドブック』を2016年から制作させていただいています。そうした実績もあって、引き続き、WEリーグのオフィシャルガイドブックを制作させていただきました。弊社はチケット販売、プロモーション、単行本販売も含めてスポーツソリューションで総合的にWEリーグをお手伝いしていく考えです。そうした弊社のサービス提供も、WEリーグ事務局にご評価いただいたのかもしれません。編集作業はエル・ゴラッソの株式会社スクワッドさんにお願いしています。

—とてもタイトなスケジュールの中で制作されたそうですが、読んで驚きました。巻頭で東京2020の結果を反映した対談が行われていました。かなりギリギリのスケジュールですね。

碧山まず、巻頭に何を持ってくるべきかを考えました、スペシャル対談では、日テレ・東京ヴェルディベレーザ×三菱重工浦和レッズレディース、INAC神戸レオネッサ×大宮アルディージャVENTUSの開幕2大カードを取り上げることにしました。登場していただく選手は、なでしこジャパン(日本女子代表)または元代表となるので、東京2020を避けて通ることはできないと考えました。他のページの制作を全て終わらせ、最後に、スペシャル対談の取材を行うスケジュール調整をしました。もし、なでしこジャパン(日本女子代表)が決勝戦に進出しても、間に合うスケジュールを確保していました。

オフィシャルガイドブックを手に取ったお客様が「オリンピック前の対談か」と思われるとがっかりされますので、東京2020を踏まえたスペシャル対談を制作することは『Yogibo WEリーグ オフィシャルガイドブック2021−22』の大前提でした。

—スポーツをお好きな方、スポーツに深く関わられた方が制作されていることを感じます。

碧山株式会社スクワッドさんの機動力と瞬発力に助けられました。また、クラブ、リーグの皆様のスケジュール調整のおかげです。綱渡りのスケジュールで進めました。

岡島喜久子チェアのページに「WEリーグならでは」が詰まっている

—巻頭の企画の中で、特に見ていただきたいところはありますか?

碧山スペシャル対談からは選手の仲の良さが見えてきます。WEリーグならではのファミリー感が伝わると思います。それに加えて岡島喜久子チェアのページを見ていただきたいです。ジェンダー、SDG s……真正面から向き合っておられます。チェアの言葉から、それがうかがえます。「クレド」に関して「○○を約束します」という文言の○○を選手たちが持ち帰って考えた話が出てきます。世の中には、上の人がスローガンを掲げて下に降りてくるだけの組織もあります。でも、WEリーグは、選手が一緒に取り組んでいる。これはWEリーグならではだと思いますね。

この岡島喜久子チェアの文章を読むと、選手と選手だけではなく、チェアと選手、リーグと選手の関係にもファミリー感があるように伝わってきます。巻頭全体からWEリーグ・ファミリーのあり方が、とても感じられると思います。

—Jリーグ立ち上げ時に発行された『Jリーグオフィシャルガイド1993』を見ると「これからこの男がプロになる」を強調していている印象が強いです。それに対して『Yogibo WEリーグ オフィシャルガイドブック2021−22』は「みんなでやっていきます」という印象が強く、同じサッカーのプロ化でも、コミュニケーションが全く違うのだと思いました。この辺り、私は制作者の狙い通りに受け取っているのでしょうか?

碧山狙い通りです。

歴史の重みも伝える各クラブの紹介文

—チーム紹介のテキストに、もの凄くたくさんの人の名前が出てきます。こんなに名前を出さなくてもチームの紹介をすることはできますが、あえて、過去のレジェンドを含めて、多くの人の名前からチームの歴史を辿っています。

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