決戦!WEリーグ1位2位対決で笑顔あふれる仙台 #女子サカ旅 はベストゲーム
仙台には何度も足を運んだことがあります。好きな街の一つです。過去の主な訪問目的はJリーグ観戦です。まだ、無名だった羽生結弦選手がピッチに登場した試合も見た記憶があります。また、東日本大震災の復興関連の仕事をしていたとき、仙台市内で打ち合わせをしたこともあります。津波の被害を受けた保育園に遊具を届けて回ったこともあります。
今回は女子サッカーで旅をしました。女子サッカーで東北へ向かう旅はJヴィレッジ訪問以来です。仙台での女子サッカー観戦は初めて。色づく晩秋。あちらはずっと寒いかもしれない。何を着ていけば良いのだろう。そう思いながら、前夜に準備をしました。
今回の旅の目的は2つあります。一つは、ここまで2位につけているマイナビ仙台レディースが首位のINAC神戸レオネッサを迎え撃つ大一番を見ること。もう一つは、マイナビ仙台レディースを応援する皆さんとお会いすることでした。
東京駅7時16分発のはやぶさ101号。日曜日の早朝ということあり、乗車率は半分弱でしょうか。ゆったりとした気分で北に向かいます。
「リベンジ消費」の勢いに驚く
8時49分に到着。驚いたのは仙台駅の駅ビル内の人混みでした。土曜日を仙台市内で過ごした観光客たちが、今か今かと土産物店の開店時間を待っているのでした。その姿はまるで、100m走の選手が、はやる気持ちを抑えられずに、常に身体を動かし続けているかのようでした。
COVID―19(新型コロナウイルス感染症)の影響で、自宅にこもっていた人が、急に大きな、または大量の買い物をすることを「リベンジ消費」といいます。旅行業界にも「リベンジ消費」の恩恵が現れていると聞いてはいましたが、こうして東京を離れて旅の現場を見ると、「リベンジ消費」の力強さを感じます。人は群れたがる動物。そして、大した目的がなくても旅に出たくなる動物なのです。こうして、筆者も仙台にやって来たわけですが……。
仙台の街の背は低かった
アーケード街を歩こうとパルコの方向に向かいます。すると、パルコの隣のAER(アエル) というビルに展望テラスがあることに気がつきました。登ってみることにします。見晴らしの良い窓のテラスが2箇所。仙台の街並みを、どこよりも高くから見渡せます。
ただ、この景色を眺めなが「あれ!?」と思いました。視界に入るのは、下の位置にあるビルばかり。50階以上のタワーマンションが立ち並ぶ佃〜勝どきエリアの近くに住んでいる私から見ると、仙台の街は、あまりに背が低い。調べてみると、仙台で最も背が高い建物は仙台トラストタワー(37階)で、このAER(アエル)は4番目の高さだそうです。一説には、仙台の企業は環境影響評価制度(環境アセス)を嫌って「高さ100m以上の建築物」を建築しないのでは?という噂もありました。そんな噂が流れるのも、杜の都だからですね。仙台は木々の緑や紅葉が美しい街です。
クリスマス装飾とベガルタゴールド
仙台のアーケード街は仙台駅前から国分町にまでつながっています。仙台駅付近は庶民的な店が多いですが、夜の街・国分町が近づくと、カルティエ、スワロフスキー、ロレックスといった宝飾品や高級時計のショップが増え、最後の曲がり角には東北一の名門百貨店・藤崎本館があります。
時計の針が10時を回ると、多くの小売店が開店します。アーケード街が一斉に賑やかになります。あっという間に人の波が仙台駅付近から流れ始めます。歩いていくと、クリスマス装飾されたアーケード街をベガルタゴールドが彩っていることに気がつきました。
前日、ベガルタ仙台は、湘南ベルマーレとのベルマーレとのJ1残留争い直接対決に敗れました。通りがかった読売新聞社 東北総局の壁には今朝の新聞(とうほく報知)が掲出されていました。手倉森監督の責任を問う厳しい見出しです。試合後に、サポーターが「選手バス囲み」をしているときにJ2降格が決まったそうです。
今日13時から、昨日の試合と同じユアテックスタジアム仙台で、マイナビ仙台レディースは優勝争いの試合をすることになります。
地元グルメを味わう
キックオフは13時。スタジアム内では動き回る予定なので、スタジアムに向かう前の11時に昼食をとる必要があります。今回の旅では、食事は、この1回のみ。地元グルメを食べておきたいところ。ただ、過去に、牛タン焼きは数度、塩竈のすし哲も何度も、仙台かき徳の牡蠣料理、生牡蠣、オストラ デ オーレのホヤの天ぷらも食べた経験があります。何か違うもの……で、かつ、11時から食べられる店をと思い、歩いているとラーメン末広本店がありました。昭和6年創業の老舗です。ここで、麻婆ラーメンをいただくことにしました。店内に券売機はなく、入店時にお姉さんから食券を購入します。地元グルメへのこだわりは、あっさりと妥協。妥協も旅には必要です。
豆腐が熱く、口の中を火傷しそうです。味は、予想に反してちょっと甘めです。本来のグルメレポート記事ならば、ここからたっぷりと味について書く必要があるはずですが、今回はここまで。なぜなら、筆者は年に2回くらいしかラーメンを食べないので、ラーメンの美味しさを表現する方法を知らないのです。2021年は11月にして、これが初ラーメンでした。
マイナビブルーに染まる市営地下鉄南北線
ユアテックスタジアム仙台は市営地下鉄南北線の終点・泉中央駅から徒歩4分ほどの距離にあります。ベガルタ仙台も、このスタジアムで試合をするので、サッカー観戦に関心のある仙台市民のほとんどは、この路線を使用することになります。
東京にいると気がつきませんが、マイナビ仙台レディースは、想像以上にプロモーションに力を入れていました。市営地下鉄南北線の改札内、車輛内で試合の告知が大量に掲出されています。この路線の利用者で、マイナビ仙台レディースを知らない人はいないかもしれません。特に驚いたのは仙台駅。ベガルタ仙台とマイナビ仙台レディースがワンセットで告知されているではありませんか。事業譲渡により、今シーズンより、ベガルタ仙台とは全く別の資本で経営されているマイナビ仙台レディースですが、多くの仙台市民の間では、今も気持ちの上では、切り離せない存在なのかもしれません。
泉中央駅で戸惑う
仙台駅から16分で泉中央駅に着きます。改札口を出て「さあスタジアムへ」と思ったときに、自分でもビックリの感覚に襲われます。何度も来たことがある駅なのに、スタジアムの方向が分からないのです。同じ駅で、同じスタジアムに向かうのにも関わらず、試合の空気感が違うと、方向感覚が狂うのです。残念ながら、今日の泉中央駅には、J1開催時の熱気がなく、私は、人の流れをつかめなくなっていました。もしかすると、これが、今のWEリーグの課題なのかもしれません。試合に向かう高揚感が欲しいところです。
気を取り直して階段を登り、ユアテックスタジアム仙台に向かいます。ベガルタゴールドとマイナビブルーのフラッグが交互に並んでいます。その向こうにスタジアムが見えます。ここで、気持ちが盛り上がってきました。
テンション爆上がりの販売テント
スタジアムは何でできているか?筆者は「人でできている」を答えとしたいです。スタジアムにはたくさんの人が集まります。プレーする人、運営する人、応援する人……ただ連れてこられただけの人もいます。人がいないスタジアムはただの箱です。人が集まってこそ、熱が起こり、本当の意味でのスタジアムになるのです。
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