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コンビを生かし短期でチームを熟成させる 方向性が見えてきた池田太監督のなでしこジャパン(日本女子代表)

なでしこジャパン(日本女子代表)は、オランダのカーズ・ジーンズ・スタディオンでオランダ女子代表と対戦。0−0で引き分けました。池田太監督が就任した新生なでしこジャパン(日本女子代表)の欧州遠征2試合は0勝1敗1分で終わりました。

カーズ・ジーンズ・スタディオンは、ADOデン・ハーグのホームスタジアムとして知られ、2017年までは京セラ・スタディオンと呼ばれていました。1万5千人収容のコンパクトなスタジアムです。無観客開催ですが応援音声をスピーカーから流しながらの試合となりました。

これがチーム結成2試合目。前線からの守備が効果的で、終始、試合の主導権を握りました。オランダ女子代表の決定機は74分の1回だけ。

オランダ女子代表は、11月26日に開催予定だった女子ワールドカップ予選のチェコ女子代表戦が大雪で延期。この試合は中1日開催となり、レギュラー選手の多くを温存。先発メンバーに初代表の選手が多く並びました。それゆえに、欧州で活躍する熊谷紗希選手らから0−0で終わったことに対して厳しい発言がありました。

勝たなければならなかった試合

熊谷紗希選手「このオランダには勝たなければならなかったという反省があります。戦えていない部分も多く出ました。もっと戦えるように自分も含めてなっていかなければならないと思っています。」

熊谷紗希選手

岩渕真奈選手「毎試合、勝って、世界一の目標が見えてくるのが理想です。当たり前に世界一という目標を言うべきだと思います。でも、正直、やるべきことがたくさんあると感じています。一歩一歩、ゴールへ向かうバリエーションであったり、個人のゴールへの意識(を高めるところ)から始めて、その先に大きな目標が見えてくれば良いと思います。今の段階では、このチームで世界一を目指しているというのは少し早いと思います。」

アイスランド女子代表戦では、熊谷紗希選手が、アイスランド女子代表でプレーするチームメイトに「ゴール前の怖さを与えられていない」ということを言われたそうです。

岩渕真奈選手

収穫の見えたハーフペース攻略の連携

では、ダメな試合だったのか?そうではありません。この試合ではアイスランド女子代表戦と比べると多くのチャンスを生み出しました。特に目立ったのはハーフスペース(サイドバックとセンターバックの間のスペース)に侵入する攻撃です。

39分の攻撃は右サイドバックの清水梨紗選手がオーバーラップするフリーランニングを囮にして、宮澤ひなた選手がペナルティエリア角からミドルシュートもあり得る構え。その間に、ハーフスペースに侵入した長野風花選手がスルーパスを受けゴールライン近くにまで侵入。絶妙なタイミングでの折り返しのパスをゴール前に戻しました。菅澤優衣香選手のシュートはディフェンダーに当たってしまい枠に飛ぶことはありませんでしたが、このようなボランチの選手によるハーフスペース攻略は効果的です。そして、こうした攻撃を難なくできる選手が池田太監督によって召集されています。

23分には左のハーフスペースに左のウイングポジションから宮澤ひなた選手が侵入。51分には岩渕真奈選手がフリーランニングで左のハーフスペース侵入しスルーパスを受けるシーンもあり積極性を感じられました。

アイスランド代表戦では、ディフェンスの外をパスが回る時間が長かったのですが、このようなペナルティエリア内に侵入して縦に突く攻撃が目立って増えたのは、無得点であっても良い兆しであったと思います。

池田太監督は、攻撃に関して、このように話しています。

「攻撃のところで(複数選手が)関わりを持って侵入したトライはありました。まだまだコンビネーションや回数、共通のタイミングを作ることは高めていく必要があります。」

守備の連携は大幅に改善

守備ではオランダ女子代表を完封。前から奪いにいく動きと、後の選手のポジションの押し上げやマークの確認に狂いがなく危なげない試合運びをしました。池田太監督もキャプテンの熊谷紗希選手も手応えを感じていたようです。

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