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日常が戻ってくることが一番 横浜市青葉区で総合型地域スポーツクラブを目指す新富士病院グループ 日体大SMG横浜 エグゼクティブ プロデューサー 中島秀彦さん

トップの写真は2021年シーズンのU-18チームにSMGから寄贈されたユニフォームです。SMGはトップチームだけではなく、下部組織の支援も行ってきました。

なでしこリーグ1部の「日体大FIELDS横浜」が 2022年シーズンから日体大SMG横浜へチーム名を変更しました。「SMGとは何?」「チームの運営体制が変わる?」という疑問が浮かび、インタビュー取材をすることになりました。そして、インタビュー取材にお答えいただく新富士病院グループの中島秀彦さんの肩書が「日体大SMG横浜 エグゼクティブ プロデューサー」だとお聞きしたとき、また新たな疑問が浮上しました。日本体育大学(日体大)の学生が中心に運営してきた日体大の女子サッカーチームは日体大SMG横浜となって、どのように変わるのでしょうか。「日体大SMG横浜 エグゼクティブ プロデューサー」の役割、総合型地域スポーツクラブの目指す姿についても後半でお聞きしています。

SMG(Shin-fuji Medical Group)新富士病院グループについて教えてください。

中島東京都、神奈川県、静岡県で医療・福祉の事業を展開しているグループです。10の病院を中心として在宅医療の充実や、訪問看護・介護、デイサービス、看護小規模多機能型居宅介護、特別養護老人ホームなど約50の施設を整備してきました。従業員数は約3千500人。地域の皆さんが、安心して暮らしたい気持ちを叶えるお手伝いしています。静岡県富士市が発祥の地ですが、現在は横浜市、川崎市を中心に関東(東京都、神奈川県)の施設の方が多くなりました。

日体大のある横浜市青葉区には医療法人社団博慈会 青葉さわい病院があります。整形外科に特化した病院です。2021年は、なでしこリーグに選手登録する際のドクターチェックのお手伝いをしています。

ドクターチェック 提供:新富士病院グループ

今シーズンから始まる、日体大SMG横浜のプロジェクトに踏み切った経緯を教えてください。

中島新富士病院グループは、これまで、高齢者が暮らしやすいと感じていただく地域作りを中心に考えていました。しかし近年、今後を考えると、若い世代から高齢者に至るまで、さまざまな人が「この地域に住んでよかった」「この地域は楽しいな」と思ってもらえるような基盤づくりが必要だと考えるようになりました。

コロナ禍が始まるか始まらないかの時期に日体大SMG横浜のプロジェクトを具体的に検討し始めました。出口のないコロナ禍の戦いが始まる中で少しでも明るいニュースを作りたいと思い、日体大SMG横浜のプロジェクトに踏み切りました。

2021年シーズンのキャプテン・李雅誠選手にスパイクを進呈する中島さん 提供:新富士病院グループ

同じなでしこリーグ1部には、亀田病院によって設立されたオルカ鴨川FCがあります。また、同じ横浜市にはニッパツ横浜FCシーガルズのオフィシャルクラブトップパートナーになっている医療法人横浜未来ヘルスケアシステムもあります。医療法人グループがスポーツチームを応援する意義を教えてください。

中島医療業界で働く人の中で、エッセンシャルワーカーの大半は女性です。そして、子育て世代が多いです。女子が活躍するスポーツを応援することは、職員の楽しみややりがいを提供することにつながると思います。

日頃から「このグループで働いてよかった」「この病院で働いてよかった」と思ってもらえることが嬉しいです。私たちは、職員の満足を上げることが大切と考えています。特にコロナ禍では、制約された生活をしている上に、仕事量が多く、今までよりも職員の生活が大変です。スポンサー活動をすることで、職員のお子様がテレビやネットで日体大SMG横浜を見て「お母さん、お父さんの職場はすごいね」「一緒に試合を見に行こうか」となってくれると良いですね。

職場の皆さんのために環境を整えていく視点のお話が多いですね。オフィシャルパートナーだった昨年に、2021プレナスなでしこリーグ1部18節のスフィーダ世田谷FC戦で「新富士病院プレゼンツ 青葉さわい病院スペシャルマッチデー 2021」が計画されていましたが、コロナ禍で中止になってしまいましたね。

中島企画したものの、感染者の多い時期に人を集めることは良くないと考えて、直前に中止とさせていただきました。

昨シーズンは、コロナ禍で地域に向けた取り組みが十分できませんでしたが、メディカルチェック、スポーツマッサージ研修、栄養指導、地域小学生に向けたサッカー教室、ホームゲーム会場でのイベント実施などをしてきて、グループ職員や家族の楽しみややりがいを提供してきました。定番イベントとなったキックインセレモニーやMIP(Most Impressive Player)賞では、選手たちのモチベーション向上につながったとお話を聞けただけでなく、グループ職員のご家族お子様に登場いただき、普段はできない経験を提供することができました。

シーズンの後半では、ホームゲーム来場者やYouTube視聴者に向けてMIP賞投票を実施しています。多くのファンからの投票を反映し、ファンの応援メッセージを表彰時に紹介するなど、接点や楽しみを提供してきました。

2021年までの女子サッカー以外のスポーツとの関わりを教えてください。

中島各法人で活動しています。町田市で展開する医療法人社団 三医会(鶴川記念病院等)はフットサルチームを持っています。医療法人社団博慈会 青葉さわい病院は、歩いて行ける距離にあるフットサルパークで活動している東急SレイエスFCとボンズパートナー契約を締結しています。子ども向けフットサル大会の主催や付帯イベントを通じて、青葉区エリアの子供たちに、クラブが掲げる、地域の方々の「健康づくり」未来を担う子ども達の「心身の育成」家族や近隣の方々とのつながりを生み「活気ある街づくり」に貢献しています。

地域で活動しているクラブを支援されるのは良いことですね。それから、今シーズンの発表の中で気になったのが、陸上混合種競技のアスリート大玉華鈴選手を支援し、総合型地域スポーツクラブを目指すということでした。どのようなお考えでしょうか?

中島女子サッカーという競技だけにとらわれることなく、スポーツをしたい方、地域活性の活動をしたい方から、声をいただければ、色々なことをやっていきたいと考えています。今回は、このプロジェクトを始めるタイミングで「卒業後も競技を続けてオリンピックを目指したい」という選手の支援について依頼がありましたので、選手を職員として迎え入れ、アスリート活動を支援することにしました。これが卓球であろうが、セパタクローであろうが、サーフィンであろうが、地域で活動する夢をお持ちの方の支援をしていきたいです。

陸上混合7種競技 大玉華鈴選手 提供:新富士病院グループ

総合型地域スポーツクラブと聞くとグラウンドを用意する、体育館を用意するといった施設を用意するイメージを持ちがちなのですが、そうではなく、あらゆる競技の夢を追いかけるアスリートを支援するという考え方なのですね。

中島主に、そのような考え方です。今の段階では、日体大さんが施設をお持ちですので、タイアップしながら進めていきます。今後も、取り組みを大きくしていきたいです。

今回のプロジェクトが生まれる機運や土壌は、以前からあったのでしょうか?

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