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2022プレナスなでしこリーグ1部がアツい開幕 ニッパツ横浜FCシーガルズ、スペランツァ大阪、スフィーダ世田谷FC、バニーズ群馬FCホワイトスターの注目選手をピックアップ

トップ写真:蔵田あかり選手(ニッパツ)

2022年3月19日に2022プレナスなでしこリーグ1部が開幕しました。次代を担うニュースターが生まれるリーグです。 #女子サカマガ では、WEリーグだけではなく、なでしこリーグにも引き続き注目します。今回は、開幕戦から、ニッパツ横浜FCシーガルズ、スペランツァ大阪、スフィーダ世田谷FC、バニーズ群馬FCホワイトスターの注目選手をピックアップしてお届けします。

ニッパツ三ツ沢球技場はスタンドがエキサイトする熱戦に

3月19日にニッパツ三ツ沢球技場で開催されたのはニッパツ横浜FCシーガルズとスペランツァ大阪の開幕戦。スタンドの観客数は498名でしたが、最後までエキサイトする一戦となりました。どれくらいエキサイトしていたかというと、審判の笛にデリケートになって、スタンドから一斉に不満の声が上がるくらいのアツい雰囲気です(褒められる行為ではありませんが、それくらいピッチ上の熱がスタンドに伝染する試合でした)。

試合内容に加えて、ニッパツ横浜FCシーガルズの演出したスタンドの雰囲気作りも素晴らしかったです。今シーズンの横浜FCは、クラブとして男女共同参画社会に貢献するため、そして、横浜FCに大人から子どもまで男女ともに広くスポーツができる環境があることを伝えるため、トップチームとニッパツ横浜FCシーガルズで連携した、様々な企画を実施していく方針です。要田勇一監督は「横浜FCファミリーであることを強く意識して今シーズンを戦います」とコメントしています。

心が動くニッパツ横浜FCシーガルズならではの動画上映

スタンドの入り口でファン・サポーターを出迎えるのは、Jリーグでお馴染み、横浜FCマスコットのフリ丸。愛嬌を振りまいていました。関係者席には、いつものように、一般社団法人横浜FCスポーツクラブ 代表理事の奥寺康彦さん(横浜FCシニアアドバイザー)が来場しています。「シーズン明けましておめでとうございます」と、ご挨拶させていただきました。

試合前に、大型スクリーンへ映し出されたのは、トップチームとニッパツ横浜FCシーガルズの選手が一緒にボールを蹴って笑顔いっぱいに楽しんでいるシーンです。男女の隔たりなく、同じピッチ、同じボール、同じルールで楽しめるサッカーの素晴らしさが伝わってきました。

選手紹介は主にピッチ外で撮影された笑顔の選手たちのスローを多用した動画が投映されます。いずれもユニオーム姿の選手たち。そして、笑顔のシーンがつながります。なんといっても、ユニフォーム姿と笑顔の組み合わせは美しいです。動画は

Road to Champion というメッセージで締めくくられました。

横浜FCファミリーでなくても、この動画を見た人は心が動いてしまうに違いありません。ニッパツ横浜FCシーガルズの今シーズンのスタンスが伝わる、素晴らしいプレゼンテーションでした。

キャプテン・小須田璃菜選手がチームのハンドルを握る

チームの軸となるのは中盤の底を任される10番・キャプテンの小須田璃菜選手。長短のパスを織り交ぜて、ゲームの変化を彩ります。ハッとさせる大きな展開がスタンドを沸かせます。

「前半と比べ後半は緊張がとけ全員の動きが良くなってきた中でゴールまで迫るシーンが多くありました。それでも決めきれなかったのが今後の課題です。去年よりも前に早いサッカーを意識してトレーニングしているので、それを今後はもっと出していけるようにしたいです。」

小須田選手とニッパツ横浜FCシーガルズにとっては悔しい1−1の引き分けとなりましたが、前への早さは存分に感じられ、面白い試合を演出できていました。權野貴子選手とのコンビネーションも見事です。

スピードスター・蔵田あかり選手は予想以上の速さ

さて、開幕前の #女子サカマガ で紹介した2人の新加入選手が、見事な活躍を披露しスタンドを沸かせました。改めてご紹介しましょう。

左のミッドフィルダーをプレーした早稲田大学ア式蹴球部女子(ア女)から加入のスピードスター・蔵田あかり選手は、噂通りの直線的な仕掛けが強く印象に残りました。フィジカルコンタクトやパスを出した後に試合を傍観してしまう課題は残すものの、それでも存分に戦える実力を証明しました。ゴールライン付近まで侵入し角度のないところから強力なシュートを放つ気持ちの強さも魅力です。ペナルティエリア外に飛び出したスペランツァ大阪のゴールキーパー・伊藤楓選手と競争し、追い抜きファールを誘発したプレーは、ピッチ上で感じる蔵田選手が予想以上の速さであることを示しています。

こうしたプレーはスタンドのファン・サポーターから高く評価され、85分にベンチに退く際に起きた拍手は、ひときわ大きく感じられました。

潜在能力を感じる南條里緒選手 

右のミッドフィルダーとして、主にタッチラインぎわでプレーした南條里緒選手は、左サイドからゴール前に斜めにドリブルで侵入した蔵田選手のグラウンダーのクロスを予測して中央に走り込み、これをダイレクトで叩いてゴールネットを揺らし初ゴールをマークしました。

「なでしこリーグデビュー戦で今まで支えてくれた人や身近な人が応援に来てくれていたこともあり、絶対に決めたいと思っていたので得点できて良かったです。しかし勝ちきれなかったことは今後の課題なのでゴールをし、頑張っている姿を見せていきたいです。」

南條選手の最大の特徴は、半身の体勢で受けたボールを左右どちらの足の前に置いても、スムーズに相手の逆をとって素早くドリブルを始められることです。これにより、相手選手は、どちらのコースを切れば良いのかに迷いが生じます。

要田監督は、南條選手の潜在能力を評価し大きな期待をしているようです。南條選手がタッチラインぎわで受けたボールを前に運び、中の選手へ好パスをつなぎチャンスを演出。ニッパツ横浜FCシーガルズがゴールに迫ったシーンがありました。しかし、要田監督は南條選手を呼び「里緒、勝負しろ」という指示をしました。続いて、ドリブル突破からクロスを入れてあわやのシーンを作りますが、今度は「里緒、もう一個(前のスペースにまで)入れ」の指示。一つ一つのプレーに修正を加えます。2021年シーズンは山梨県女子サッカーリーグ1部や関東女子サッカーリーグ入替戦で活躍していた選手ですが、身についたテクニックやスピードは一級品。なでしこリーグ1部で磨きをかけ、大きな飛躍を遂げるかもしれません。

77分に、バックスタンド側のタッチラインから退いた南條選手が、メインスタンド下のベンチに戻ってくると、ピッチ上では試合が進行中なのにもかかわらず、メインスタンドのファン・サポーターから大きな拍手が贈られました。

全盛期のような中野真奈美選手

スペランツァ大阪は素晴らしい仕上がりで開幕戦を迎えました。特徴は、前への圧力。高い位置でボールを奪い、サイドに展開して素速く攻めるスタイルです。縦に強気のパスを躊躇なく差し込みます。昨シーズンから引き続きプレーする中野真奈美選手の直接フリーキックで先制しました。

「自分が開幕戦ゴールを狙っていたわけではないですが、チームとして点を取りたいと思っていた中、早い時間で取れたことは良かったです。守備は、身体張って全員でゴールを守ることはできていたし、攻撃は前半から裏を取ったりすることもできていました。さらに今季は交代選手も、背が高い選手やスピードがある選手など、バリエーションに富んでいるので、今後楽しみです。次節セレッソ戦に向けて、カウンターなどチームの強みを1週間でさらに磨き、一度のチャンスを決め切れるよう取り組んでいきたいです。」

中野選手は、なでしこジャパン(日本女子代表)で活躍していた頃を思い返す身体のキレと、相手を跳ね返してしまう強さが目につきました。チームの大黒柱です。

ベテラン選手が軸になり仕掛ける

そして、今シーズンは、経験豊富な2人のベテラン選手が加わりました。深澤里沙選手と南山千明選手です。いずれもオルカ鴨川FCからの加入で気心が知れた選手です。劣勢の時間帯が多い試合展開でしたが、落ち着いて、これに対処。スペランツァ大阪には、ブレない軸が生まれた印象です。

さらに、このスタイルでベテラン選手たちがプレーできるのは、前線に運動量の多い、仕掛けられる選手がいるからです。森迫あやめ選手の貢献にも注目です。

番狂わせが生まれたAGFフィールド

続いては、3月20日にニッパツ三ツ沢球技場で開催されたAGFフィールドで開催されたスフィーダ世田谷FCとバニーズ群馬FCホワイトスターの試合から、注目点をピックアップします。当日は、お隣の味の素スタジアムでJ2、武蔵野の森 総合スポーツプラザで日本ハンドボールリーグ第46回プレーオフ大会が開催され、ちょっとした賑わいになっていました。

スタジアムに向かう人々

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