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海外主要リーグでの活躍が日本の女子サッカーを変える 選手は「ハッピーファースト」な選択を(後篇) 元INAC神戸レオネッサ監督 石原孝尚さん

石原孝尚さんは2013年シーズンにINAC神戸レオネッサで4冠を獲得し、頂点を極めた後、アメリカ女子プロサッカーリーグNWSL(National Women’s Soccer League)のスカイブルーFC、オーストラリア女子プロサッカーリーグのメルボルンシティ・レディースでコーチを務めた国際経験豊かな指導者です。現在、チームメイキングプロデューサーとして活動しハッピーファースト(Happy First)をモットーとして、一人一人が輝く企業やコミュニティづくりをサポートしています。

現在も欧米の指導者と親交がある石原さんは、日本の女子サッカーが再び世界の頂点に立つために何が必要だと考えているのでしょう。そして、どうすれば、日本の女子サッカーは、さらに発展していくのでしょうか。

海外主要リーグでの活躍が日本の女子サッカーを変える 選手は「ハッピーファースト」な選択を(前篇) 元INAC神戸レオネッサ監督 石原孝尚さん

後篇では「なでしこジャパンが勝つためには、多くの選手が海外でプレーすべきなのか」「成功するために必要なこと」について、お話を進めてまいります。まずは、スカイブルーFCでのコミュニケーションについて石原さんの経験談をお聞きしました。

海外ではストロングなアイデアがあればリスペクトしてくれる

石原僕は英語ができなかったので「グッド」「バッド」「オーケイ」で乗り切ったみたいなところがありました(笑)。通訳がいないので、戸惑いながら指導していました。ビデオミーティングをするときは、事前に英語ができる友人に全て英語のテロップを入れてもらいました。ミーティングでは(重要な場所を指差して)「This!This!」と言っていました。ただ、選手たちは、僕のトレーニングに興味を持ってくれていました。監督は、トレーニング、ミーティング、ストラクチャー(チームコンセプトの組み立て)を僕に任せてくれました。言葉ができないから苦労はありましたが、海外ではストロングなアイデアがあればリスペクトしてくれます。

海外でプレーするには、周りの選手から愛される力が必要

日本人の女子サッカー選手の海外への挑戦についてどのように思われていますか?

石原今年、杉田妃和が移籍したポートランドには2万人のお客さんが入っていました。なほ(川澄奈穂美選手)はニューヨーク・ゴッサムFCでカーリー・ロイドと一緒にプレーしてきました。僕も、毎試合、対戦相手にアレックス・モーガンがいて、ワンバックがいて、サムカーがいて……。そういう環境で日本の選手にプレーしてほしいとシンプルに思います。ワールドカップは4年に一度、数日間しかないイベントです。女子サッカーの未来を考えれば、なでしこジャパンの成績は大事なことですが、「FIFA女子ワールドカップで優勝するために」とかではなく「ひとりのサッカー選手としてサッカー人生を豊かにするために」そうしたレベルに身を置いて日々プレーをして欲しいと思っています。

チェルシーやリバプールの関係者と話をしたときに、よく言われたのが「あのU-17(FIFA U-17女子ワールドカップコスタリカ2014)を優勝したメンバーは、今、どこで何をしているの?」でした。優勝メンバー(当時20〜22歳)が世界の(移籍)市場に上ってこない。日本国内でプレーしている。僕は、日本の若い選手に世界で活躍してほしいと思っています。

川澄選手をはじめ、世界で活躍されている選手の中で「ハッピーな状態」でプレーしていると感じられる選手はいるでしょうか?

石原みんな充実していると思いますが、苦労はあると思います。日本にいる方が海外でプレーするよりも楽だと思います。海外でのプレーは楽しいことばかりではないけれど、ジレンマを受け入れながら、毎日の出来事をポジティブに捉えられている選手は、何かを得る。何かの折り合いをつけて生活していると思います。日本のご飯の方が美味しいですしね(笑)。それを引き受けられない選手は、短期間で帰国を選択します。

一番成功しているのは熊谷紗希です。若くして欧州に行かれたことが大きかったです。FIFA女子ワールドカップの優勝メンバーであることを背負って行くことができたので、チームメイトからリスペクトも得られたと思います。

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