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日産自動車は、なぜ女子サッカーから学ぶ時間を創ったのか? NISSAN ジェンダートーク Powered by大和シルフィード

日産自動車は、職場におけるLGBTに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標」の最高ランク「ゴールド」を5年連続で受賞している企業です。全従業員向けLGBT eラーニングやLGBTセミナー等の社内啓発活動を定期的に実施し、2019年8月1日からは同性婚及び事実婚に対して、結婚事由により取得可能な休暇制度の適用と結婚祝金の支給を行なっています。

NISSAN ジェンダートーク Powered by大和シルフィード」を取材

そんなLGBTQに関する先進企業が、女子サッカークラブ・大和シルフィードとパートナーシップを締結し、2022年2月25日に社内研修イベント「NISSAN ジェンダートーク Powered by大和シルフィード」を開催しました。

大和シルフィードは2022年シーズンをなでしこリーグ2部で戦います。これまで、日産自動車が距離をとっていた女子サッカーとのパートナーシップが、なぜ、今、実現したのでしょうか。今回は「NISSAN ジェンダートーク Powered by大和シルフィード」を取材し、このプロジェクトを推進している日産自動車 日本マーケティング本部課長の小坂智さんにお話をお聞きしました。

オープンで先進的であると語られることが多い女子サッカー界のリアルを伝え 

NISSAN ジェンダートーク Powered by大和シルフィード」に参加したのは国内マーケティングにおける車種のマーケティングと宣伝領域のチームの職員。CM制作やSNSの発信をする職員が多く含まれています。

登壇したのは、大和シルフィードとともにプライドマッチ(LGBTQに関する理解の促進や、イベント等による発信が行われる試合)を開催した、プライドハウス東京アスリート発信チームのチームリーダーである野口亜弥さん(一般社団法人S.C.P. Japan)、LGBTQを公表している下山田志帆選手、大和シルフィードで唯一のプロ契約をしている濱本まりん選手、元選手で大和シルフィード職員の橋本紀代子さん。スポーツと性の多様性についてディスカッションを行いました。

まずは、野口さんによる講演。LGBTQ+とは何かをおさらいし、スポーツ界、サッカー界における事例を説明。特にスポーツ界では、女性と比べて男性カテゴリーでカミングアウトすることのハードルが高いこと等が紹介されました。

続いて野口さんのファシリテートによるトークセッション。下山田選手、濱本選手、橋本さんが意見を交わしました。LGBTQ+に対してオープンで先進的であると語られることが多い女子サッカー界でも、公表のリスクに怯える選手がいること。そして、何があってもクラブは選手を守る必要があること等は、企業に置き換えても参考になる意見でした。下山田選手からは「私自身の気持ちが楽になったのは所属クラブ(当時・スフィーダ世田谷FC)がプライドマッチを開催してくれたおかげだと思っています」というリアルな気持ちも伝えられました。

SDGsに積極的に取り組む大和シルフィード

大和シルフィードはプロクラブではありません。なでしこリーグ2部で戦うクラブが、なぜ日産自動車のパートナーに選ばれたのか、理由は2つあると日本マーケティング本部課長の小坂智さんはいいます。

「弊社は横浜F・マリノスを長くサポートしてきました。大和シルフィードと横浜F・マリノスは同じ大和市をホームタウンとしていて、また指導者間の交流やサポートなども加速していることもあり、今回の提携に至っています。そして、大和シルフィードが女性の活躍を応援され、SDGsに積極的に取り組んでおられることに、私たちが共感していることが大きな理由です。」

大和シルフィードはSDGs社会的インパクトの創出を目指して活動しています。SDGsの17の目標のうち「No.4 質の高い教育をみんなに」「No.5 ジェンダー平等を実現しよう」「No.8 働きがいも経済成長も」の3つを重点ターゲットと位置付けています。

大和シルフィードの選手たち 提供:大和シルフィード 

スポーツを介することで学びのハードルが下がる

当初は「スポーツと女性のサポートが結びつかなかった」という小坂さんですが、大和シルフィードとのパートナーシップの検討を進めるに従って、その意味、重要性を意識するようになったといいます。

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