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INAC神戸レオネッサが2021−22 YogiboWEリーグを優勝 リーグ優勝は2013プレナスなでしこリーグ優勝以来9年ぶり

「偉大なチームとは、偉大な選手を抱えるチームではない。一丸となってプレーできるチームのことだ。」

これは、ジョゼ・モウリーニョ監督の名言です。INAC神戸レオネッサにはFIFA女子ワールドカップで戦うなでしこジャパン(日本女子代表)の常連選手が集まるチームではありませんでした。一丸となって戦い、実績を積み重ねて、選手は続々となでしこジャパン(日本女子代表)に招集され、チームは勝ち点を積み重ねてきました。

2022年5月8日(日)相模原ギオンスタジアムで行われた2021−22 YogiboWEリーグ 第20節でINAC神戸レオネッサはノジマステラ神奈川相模原を3−0で下し初代WEリーグチャンピオンに就きました。

2得点した田中美南選手と高瀬愛実選手

 

星川敬監督の采配がノジマステラ神奈川相模原の反撃を食い止めた

勝負を分けたのはINAC神戸レオネッサ・星川敬監督の采配。56分に京川舞選手を投入しました。京川選手は前線に入り、高瀬愛実選手をトップ下に下げます。INAC神戸レオネッサはボールをポゼッションすると両サイドのミッドフィルダーが上がって4トップに近い布陣になるやり方でスタートしたのですが、これに修正を加えました。後半の立ち上がりから試合を支配していたのはノジマステラ神奈川相模原で、劣勢のINAC神戸レオネッサの星川監督は、それを挽回するために、後半早めにやり方を変える必要が生じたのです。左サイドの伊藤美紀選手がツートップの横に上がるのをやめ、高瀬選手が中央のトップ下から左サイドに上がる方法に変更。これによりノジマステラ神奈川相模原の縦への鋭い攻撃のできる場所だった中盤左サイドの穴を埋め、深く攻め込まれる回数を減らし、再び試合を支配していきました。

両チームの個性がぶつかり合い、戦術に修正を加えながら戦う好ゲームとなりました。あわや同点のシーンに何度も大きな歓声が湧きました。力強く縦に速い攻撃サッカーをウィンターブレイクに磨いたノジマステラ神奈川相模原の良いところが存分に発揮された試合でもありました。北野誠監督の取り入れた「日本の女子サッカーらしくない女子サッカー」とノジマステラ神奈川相模原の「類似点の多い伊賀FCくノ一三重からの主力選手補強」は、停滞感のあった日本の女子サッカーに新風を吹き込んだと思います。現在の順位は最下位ですが、歴史に名を刻むチームだと思います。

総合力がリーグ優勝の後押しに、一丸となってプレーできるチーム

INAC神戸レオネッサは安本卓史社長の陣頭指揮のもと、何が何でも優勝する意気込みを最も感じさせるチームでした。プロリーグになると戦力だけで勝負を決するわけにはいきません。クラブとしての総合力が優勝する力を生み出したと考えて良いでしょう。

攻撃陣では、成宮唯選手の活躍が目立ちました。しかし、筆者は、杉田妃和選手がシーズン途中で移籍した後に、サイドの難しいタスクを受け持ち続けた伊藤美紀選手、守屋都弥選手、水野蕗奈選手こそが優勝の原動力になったと考えます。そして、基本に忠実に最終ラインで高い壁となった竹重杏歌理選手の存在を高く評価してほしいと思います。

INAC神戸レオネッサの強みは「試合を勝ちきる力」

岡島喜久子チェアは、INAC神戸レオネッサの優勝に、このようにコメントしました。

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