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サポーターの歌声を背に受け、なでしこが韓国女子代表を撃破(無料記事)

トップ写真 (C)JFA

東アジアの頂点を競うEAFF E1サッカー選手権2022決勝大会が2022年7月19日にカシマスタジアムで開幕しました。緒戦の対戦相手は韓国女子代表。対戦するのは1月27日、AFC女子アジアカップインド2022以来です。そのときは、試合開始早々の1分になでしこジャパン(日本女子代表)が植木理子選手の得点で先制しますが85分に失点し引き分け。なでしこジャパン(日本女子代表)の各選手にとって悔いが残る試合運びでした。今回の対戦では雪辱を誓います。

湿度が高く小雨がちらつく、厳しいコンディションで試合が始まりました。欧州で活躍する熊谷紗希選手(バイエルン)、移籍が決定的と伝えられる南萌華選手が招集されていないセンターバックには乗松瑠華選手(大宮V)と高橋はな選手(浦和)が起用されました。

ゴール裏スタンドには、新型コロナウイルス感染症対策を講じて声を出して応援できる「声出し応援エリア」を設置。立って声を出して応援するサポーターが約30名。その数は多くはありませんが、選手は、国内の女子サッカーの試合としては久々に、サポーターの声に後押しされてプレーしました。対する韓国女子代表は、試合前のウォーミングアップから大きな声を響かせ、高いモチベーションを感じさせました。両チームの選手が健闘を誓いこぶしを合わせ自陣に分かれキックオフ(これもコロナ禍では、あまり見なくなった光景です)。双方共にラインコントロールが素早く、自由を制限された戦いとなりました。

宮澤ひなた選手(マイ仙台)が先制

試合が動いたのは33分。右のハーフ・スペース深くに侵入した成宮唯(I神戸)選手がマイナス方向のグラウンダーのクロス。これを宮澤ひなた選手(マイ仙台)が冷静に流し込みました。しかし、なでしこジャパン(日本女子代表)に得点時以外の決定機は少なく、前半の主導権を握ったのは韓国女子代表。ロングボールの多用と激しい守備のプレッシャーにより日本陣内で圧力をかけ続けました。とはいえ、これは、事前のスカウティング通りだったようです。試合後に、池田太監督は、ロングボールへの対応、センターバック2人の対応に及第点をコメントしています。

長野風花選手(マイ仙台→ノースカロライナ・カレッジ)が初ゴール

後半に入り、韓国女子代表のディフェンスラインと中盤のラインの中間でボールを受けることを狙って杉田亜未選手(N相模原)を投入。前線の活性化を試みます。ハーフタイムに池田監督は「奪ったボールをつないで、開けている逆サイドに展開する」指示。後半の立ち上がりに主導権を握ります。59分に左からのグラウンダーのクロスが日本のゴール前を横断。一瞬の空白が生まれたところをチ・ソヨン選手がゴール左隅に見事にコントロールしたシュート。韓国女子代表が同点としました。負けじと、なでしこジャパン(日本女子代表)は65分に植木選手が競り合いながら倒れずに裏に抜け出し右からペナルティエリアに侵入。これをマイナスに折り返り、長い距離を走ってきた長野風花選手(マイ仙台→ノースカロライナ・カレッジ)が韓国ゴールに蹴り込みました。これは、チームで共有してきたやり方による得点です。これでリードを奪った日本女子代表ですが、直後に、またしてもチ・ソヨンの強烈なシュートを浴び、あわや失点の場面を田中桃子選手(NB東京)が見事なセーブ。その後も、韓国女子代表の攻勢に苦しみ、辛くも2-1で逃げ切りました。

 凌いで勝ち切るなでしこ

「韓国が長いボールを入れてくるので、そのセカンドボールの対応に苦しんだが崩されたわけではない。」というのが池田太監督による試合後の振り返りです。なでしこジャパン(日本女子代表)に目立ったのは球際の弱さ。韓国女子代表の厳しいプレッシャーに苦しみ、適切な場所にボールコントロールできないシーンもありました。これが、コンタクトスキルによるものなのか、WEリーグがオフに入ったことによる試合勘やコンディションの問題によるものなのか、主な問題は明らかではありません。ただ、AFC女子アジアカップインド2022で85分に追いつかれ引き分けに終わった韓国女子代表戦を勝ち切ったことは大きな経験となったはずです。スタンドからは大きな拍手と声援が贈られました。

第2戦は7月23日に開催されるチャイニーズ・タイペイ女子代表戦(15時30分キックオフ)です。

 

(2022年7月19日 石井和裕)

 

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