Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【無料】残留争いクライマックス。有利なはずの甲府に吹き始めた向かい風、問われる真価<前編>

■頼みの外国籍選手に不安が続発
22日のアビスパ福岡戦は、ダヴィの今シーズン初ゴール、左ヒザの負傷から約1か月半ぶりに復帰したドゥドゥのゴールで終了間際に逆転勝利。順位は16位から14位に上昇して降格圏を脱出。J1残留に向けて光明が射し込んだのも束の間、29日にJ2降格がすでに決まった湘南ベルマーレ相手に「0対1」で敗戦。15位アルビレックス新潟、16位名古屋グランパスも揃って敗れ、残り試合が減ったのだから、残留の確率は高まったはずなのに、どこか重苦しいムードが拭えない。

湘南戦では、外国籍籍選手に攻撃を依存している現実が、まざまざと浮き彫りとなった。セカンド・ステージ16節までの甲府の総得点32のうち、14得点(43.8%)を外国籍選手があげている。シュートの数では全体の60%近く(257本中148本)が、外国籍選手によるものだ。福岡戦はダヴィとドゥドゥがそれぞれ3本ずつシュートを撃ったのだが、湘南戦ではふたりともシュート0。その結果、福岡戦では今年チーム最多の13本のシュートが記録され、湘南戦では6本に半減した。

「外国人選手の場合、まず自分の能力を見せることが、結果チームのためになるという考え方をしている。自分が活躍しないといけないって考え方が絶対にあるものだけど。きょうはダヴィとドゥドゥの『チームのために』っていう強い気持ちを、ものすごく感じた」
「ミスを怖れたと言うのか、安全なプレーを選んでしまう時間帯が長かった。逆にブラジル人選手たちは、『自分たちがやってやるんだ』っていう気持ちの強さが出過ぎていて。バランスがすごく悪いと感じていた」
前者は福岡戦、後者が湘南戦。それぞれのゲームを振り返るキャプテン山本英臣の言葉は、まるで表と裏だった。

後編へ続く


渡辺功

わたなべ・いさお。1972年、埼玉県生まれ。北海道放送のラジオディレクターとして、スポーツ、報道、バラエティ、音楽…。多岐に渡るジャンルの番組を制作。03年フリーに。05年から、さまざまな雑誌、WEBで、甲府の記事を担当する。サッカー以外のスポーツ・ライティング、テレビ・ラジオ番組の構成など、幅広く手掛けている。現在、タグマ!で「甲府余録」を展開中。

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