Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「超ミラクル」な昇格を果たした山形に学ぶ、J1昇格プレーオフを勝ち抜くポイントとは?【コラム】

明日から始まるJ1昇格プレーオフ。今年も初出場となる松本、岡山を含む4チームがJ1昇格を目指し鎬を削る。リーグ戦ともトーナメント戦とも違うルールの中で、勝ち抜くために必要な事はどんなことなのだろうか?
今回は、2014年山岸範宏選手の劇的ヘディングゴールが印象的なモンテディオ山形の当時の戦いぶりを、<Dio-maga>でも執筆していただいている佐藤円さんに振り返ってもらいながら、プレーオフを勝ち抜くポイントを考察してもらった。

・磐田戦、微塵もなかった敗退イメージ
もう2年も前のことになるが、いまだにあの衝撃を鮮明に思い起こせる人は多いだろう。テレビでライブ観戦した人はもちろん、ニュースやネットで後追いで知った人も。現地で目撃した人はなおのこと。そこで起きたのは、「ミラクル」という概念さえはるかに超える出来事だった。

2014年11月30日、J1昇格プレーオフ準決勝の4位・磐田vs6位・山形。レギュレーションでは下位の山形は引き分けでも敗退が決まる。山形は先制しながら前半アディショナルタイムに追いつかれ、同点のまま迎えた後半アディショナルタイム。コーナーキックを獲得すると、キーパーの山岸範宏は磐田ゴール前へ。その山岸が鮮やかなヘディングで決勝ゴールを決めた。決勝でも千葉に1-0と競り勝ち、4年ぶりにJ1復帰を果たした。山岸のゴール以降、山形の露出が増えたことはありがたかった。自動昇格の湘南、松本を差し置いて6位の山形が率先して取り上げられる状況には正直、恐縮したが、それほどのインパクトがあったということなのだろう。

いま振り返っても不思議に思うことがある。スタンドで観戦していた準決勝・磐田戦の試合終盤、同点のまま後半アディショナルタイムに入っても、このまま敗退するイメージが微塵もなかった。ゴールを決めたのが山岸だったことには多少の驚きがあったが、案外冷静に見ていられたのは、10分を残して早くも守りに入った磐田と最近の山形の勢いを比較して、「まだ何かがある」と思えたこともあるだろうし、スタンドで声を出している山形のサポーターから「もうダメだ」という雰囲気が皆無だったこともあるかもしれない。何より、ピッチ上の選手たちが勇敢に戦っていた。そしてあきらめていなかった。

(残り 732文字/全文: 2695文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ