Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

佐藤寿人は、どうして点がとれるのか。~得点を取る論理を導き出す「理系気質」~【コラム】


佐藤寿人は、ストライカーである。
「なにを今さら」
そう思うのも、無理はない。
J1通算161得点。J2も合わせれば前人未到の211得点を記録している選手が、「ストライカー」ではなくて何なのか。
では、ここで問いたい。
佐藤寿人は、どうして点がとれるのか。
身長170センチ。高さはない。瞬間の動き出しスピードには定評があるが、浅野拓磨のようなスピードもなく、大久保嘉人のようにドリブルももっていない。シュートは抜群に上手いが、常にスーパーゴールを決めてきたわけでもない。
だが、それでも彼は点がとれる。ストライカーという言葉の語源がクリケットの「撃つ人」から来ていると言われているが、寿人の場合は「撃つ」だけでなく「決めてくる」。日本サッカー史上最高のストライカーと言われている釜本邦茂は高さやスピードなどフィジカル的な能力も抜群に高く、その身体を生かしたゴールも多かったが、寿人は自らの肉体で勝負するスタイルではない。

佐藤寿人をJリーグ史上最高の「ストライカー」と為した要因、それは彼が所有する「理系気質」にある。中学時代はパソコン部に入り、広島では屈指のIT知識を誇る彼ならではの思考回路にある。

彼は200点を超える自分のゴール場面を全て、覚えている。どういう過程を経て自分にボールが入り、そのボールをどういう意識をもってコントロールしてシュートに持ち込んだか。その詳細を全て、自分の頭脳の中に折り込んでいる。それだけではない。自身の試合だけでなく、J1からJ2、海外にいたるまでたくさんの試合映像を収集し、イメージを積み重ねて頭の中に叩きこむ。それを現実化するために、まずはトレーニングで何度も試す。その結果として得られたデータを自分自身に積み重ね、検証し、分析を続ける。それが、寿人の日常だ。

だからこそ、彼のゴールは常に論理的なのである。

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