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Jクラブ選出の理事について「任期が長いだけではなく、クラブ経営で一定の改革や進歩・進化を遂げているか、そういう観点で選んだつもりです(Jリーグ・村井チェアマン)」~2月のリーグの理事会より(2)~

2月27日、JFAハウスにて2月のリーグの理事会が行われた。理事会後に記者会見が行われ、Jリーグ村井満チェアマンから決議事項・報告事項が発表された。

今回は理事会後の会見に出席した出席者のコメントをお届けしています。

関連リリース
https://www.jleague.jp/release/post-52692/


○村井満チェアマン

Jクラブ選出の理事について

「それから、Jクラブ選出の理事についてです。下川浩之(町田)さんから、竹原稔さん(鳥栖)、塚野真樹(鳥取)さん、沼田邦郎さん(水戸)、野々村芳和さん(札幌)、淵田敬三さん(浦和)、眞壁潔さん(湘南)の7名が、Jクラブ選出の理事となります。

共通しているポイントはいくつかあります。全員が実行委員の在任4年以上となっています。今Jリーグの54クラブの実行委員の多くは、就任してから3年未満の方です。そういった意味では理事会における発言や知見・見識の各クラブへの影響力を考えますと、十分な経験を持っているか。任期が長いだけではなく、クラブ経営で一定の改革や進歩・進化を遂げているか、そういう観点で選んだつもりです。

【Jクラブ選出の非常勤理事内定者/新任のみ】
役職/氏名/年齢/所属
下川 浩之(しもかわ ひろゆき)/56/株式会社ゼルビア 代表取締役
竹原 稔 (たけはら みのる)/57/株式会社サガン・ドリームス 代表取締役社長
沼田 邦郎(ぬまた くにお)/53/株式会社フットボールクラブ水戸ホーリーホック 代表取締役社長

人選にあたってはJ1からは4名を選んでいます。野々村さん・淵田さん・眞壁さんが留任、竹原さんは新任です。竹原さんは在任期間も長く、今回の(開幕戦での)金曜開催もアグレッシブに取り組んでいただきました。(ホームタウンの)鳥栖市は定住人口では54クラブの中でも最も少ない部類に入ると思われますが、7年間に渡って常にJ1のポジションを維持しています。彼自身のマネジメント能力も共有したい点が多々ありました。そうした観点で新たに(候補者として)選任させていただきました。

J2からは、下川さん、沼田さんを人選しています。

下川さんですが、まだJ3が無い時は町田は一度JFLに降格することもありましたが、J2、J3、JFLと幅広く厳しい中でもクラブ経営を経験されています。地域に根ざしたクラブになりつつあるという点でも、下川さんの手腕が大きいと思います。
それから沼田さんは、有名なところではグエン・コン・フオン選手を獲得して、ベトナムと水戸市の交流を非常に深め、茨城空港にベトナム航空の直行便運行を実現した実績があります。最近では全54クラブの実行委員会を新設のクラブハウスで開く予定にしております。

Jリーグで初めての、廃校を利用した(町営施設と複合の)クラブハウスで、プール、体育館、天然芝2面と素晴らしい設備が新たなクラブの拠点とするわけですが、地域との信頼関係があってこそだと思っています。今後、日本の地域クラブの一つの目指す姿として、廃校利用や地域との交流といった観点でも、ここに学ぶものが多いと判断し、沼田さんを今回アサインしております。

J3からは、塚野さんが留任となります。以上の7名に加えて木村さんもクラブ経験という意味で合わせると8名のクラブ経営経験の豊富な方々が、今後の理事メンバー候補者となります。

社外理事について

社外理事については、並木裕太さん、為末大さん、藤沢久美さん、山本浩さん、定員6名のところ、この度の候補者選出は4名に留めております。今後ビジョン策定の議論を深めていく中で、メンバーに必要な能力を見極めて、2名については今後補充しうる枠として確保しました。

役職/氏名/年齢/所属
理事(非常勤) 為末大(ためすえ だい)/39/DEPORTARE PARTNERS 代表
http://tamesue.jp/

まず為末さんですが、スポーツ界では一人の論客として様々なメディアでオピニオンリーダーとして発信されています。陸上のスプリント系では初の世界大会でのメダルを取られている方でもありますし、オリンピックも3大会連続で出場されています。これまでも大変親しくコミュニケーションをさせていただいていますが、スポーツ界だけではなく、日本社会をどうしていくのかとか、人格形成や人材育成をどのようにとらえていくのかといった点でも大変深い見識をお持ちで、私も多くを学ばせていただいておりました。今回、社外理事としてお迎えしたいと思います。

役職/氏名/年齢/所属
理事(非常勤) 藤沢久美(ふじさわ くみ)/50/シンクタンク・ソフィアバンク 代表
http://kumifujisawa.jp/profile/

それから藤沢さんは、国内外を対象とした資産運用会社を経て、日本初の投資信託の各付会社を起業されています。アイフィスという会社の代表を務められたのち、Standard & Poor’s社にその会社を売却します。当然財務のプロフェッショナルです。
今後、Jリーグがスタジアム建設を推進していく中で、プロジェクトファイナンスであったり、行政との連携における資金調達スキーム構築等が非常に重要な要素となっていくなかで、財務系の知見の高い方を探しておりました。2007年には世界経済フォーラムのヤンググローバル・リーダーに選出されていました。NHK教育テレビの番組「21世紀ビジネス塾」という番組で、コメンテーターをされていました。記憶に新しいところでは、日本版のダボス会議と呼ばれる2016年に行われた「スポーツ文化ワールドフォーラム」の準備室のリーダーとして、IOCをはじめ世界のスポーツ界のトップの方々をはじめ7,500名を集めた中でその模様を、私も聴講者として目撃しておりました。今後藤沢さんには、先ほど申し上げたスタジアム事業に加えて、文部科学省の参与もされていますので、我々のスタンスから行政ロビーができるような公共性の高い事業に関してのサポートをお願いしたいと思っています。

役職/氏名/年齢/所属
理事(非常勤・業務執行)並木裕太 (なみき ゆうた)/40/株式会社フィールドマネージメント 代表取締役
http://www.field-mgmt.com/

並木さんについてですが、マッキンゼー・アンド・カンパニーの最年少役員を務められ、経済系の世界トップ言われるアメリカのペンシルバニア大学ウォートン校で学ばれたのち、株式会社フィールドマネージメントを立ち上げ、コンサルティング事業を通じてスポーツ分野に関する情報収集を非常に深く丁寧にされていました。スポンサーを兼ねて湘南ベルマーレの取締役を務められクラブ経営の知見も持たれていますのでJリーグの非常勤理事として迎えておりました。並木氏の役職の部分に「業務執行理事(非常勤)」と記載しています。

これは常勤の役員が執行することは当たり前のことなんですが、常任理事の4名、村井、原、木村、米田ですべての業務をカバーすることは難しいため、非常勤理事の方にもスポットで契約を発注して、業務を執行いただける余地を残すように規定改定を行う予定です。並木さんに関しては、常勤勤務ではありませんが、業務執行理事としてマーケティング関係の業務執行を部分的にお願いし、木村氏にレポートするというような連携を今回から取れるようにお願いしていくことになります。このあたりの規定改定は、総会での決議事項となりますので、現在は仮の案です。

(3)へ続く

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