Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「Jリーグとしては、(東京)23区にクラブがもう少しあってもいいと思っていますし、そこに魅力的なスタジアムが本当にあればと願うばかりです(村井チェアマン)」~12月理事会後の記者会見より(1)~

12月12日、JFAハウスにてJリーグの理事会が行われ、理事会後に村井チェアマンによる記者会見が行われた。

今回は会見でのコメントをお届けします。

○村井満チェアマン
「12月度の理事会を終えました。本年最後の理事会でした。まず天皇杯を浦和レッズが制したということで、理事の中に浦和レッズの淵田社長がいるので、みんなで挨拶をして淵田さんからも挨拶がありました。天皇杯はJFA(管轄)となりますが、今シーズンの1130試合の全日程を終えています。もうすでに確認されている方もいらっしゃると思いますが、今シーズンの入場者数ですがJ1はワールドカップイヤーということもあって平日の試合数が昨年に比べて56試合増えています。そのうち11試合がフライデーナイトJリーグということで金曜日に開催しましたが、大半が水曜日でした。また今年は台風等の自然災害、北海道では大きな地震もあり、毎年災害の被害が大きくなっている感もあります。そういったこともあり、今年は入場者数が大幅に減ることを前提にしていました。その中で昨年を上回る2008年以来の1万9千人を超える方に来ていただき、厳しい観戦環境の中で多くのファン・サポーターの皆様に支えていただき、入場数を更新することとなりました。J2でも7千人台という過去最高の入場者数となりました。こうした中で2018年も幕を閉じることができました。ありがとうございました。

これはクラブの集客努力や選手たちの戦いで最後の最後まで筋書きのないドラマが続いたことも要因となっています。J1残留争いも勝点41で5チーム並ぶという-これまでは40を超えれば安全圏と言われていましたが-近年にない激しい展開となりました。またJ2の優勝争いも最終節に役員が4箇所で優勝対応で待機するというということで、最後の最後まで筋書きのないドラマが展開されたことも大きかったかなと思います。

また、今回ワールドカップイヤーということで、代表選手の活躍が我々にもサッカーの話題として大きくもたらしてくれました。本日先ほどアジアカップの日本代表発表がありましたが、Jリーグから選出された選手を含めて、アジアカップで活躍してほしいと思っています。一年間ありがとうございます」

Q:今年行ったフライデーナイトの反響と来季に向けて。
「フライデーナイトJリーグ、今シーズン11試合行いました。集客等々は週末の土曜日・日曜日の開催と遜色のない入場者数を記録しました。
また来場者の仮説ではありますが-データの取り方がなかなか難しい部分がありますが-オウンドメディア、Jリーグチケット経由で入られている方々の仮説としては、新規の来場者に来ていただきたいと。土日に仕事があったり、自分自身がサッカーをやっていたりする、そういった新たな層が来るのかなと言う中で一定程度感触を得ています。
また当然プロモーションに関して、ハーフタイムに人気タレントや歌手のコンサートなどいろいろとかけ合わせて行ったわけですけど、やはりエンターテイメント性の高いもの、それから新たな集客施策をしたものに関しては、その通りの属性のお客様に来ていただいています。来シーズンは倍までにはいかないと思いますけど、一定程度増やしていこうということには総意として得ています。

Q:来年大きなイベントとしてラグビーワールドカップが行われ、その期間は味の素スタジアムなどが使えません。その期間だけを見ると、現状では東京にはJ1基準のスタジアムが1つもありません。100年構想の背景を把握した上で聞きますが、世界的に見れば首都に大きなクラブがあるのは当たり前のことであって、大きな箱があることは競技を盛り上げる上でとても必要とことだと思います。例えばロンドンでは5万人規模のスタジアムが4つも5つもあります。今後国立競技場はできますが、長い目で見てJ1の基準を満たすようなスタジアムがここまで少ない点について、他の競技も同じ状況がありますが、どういう風に考えているか教えてください。
「人口で言うと東京は1400万人くらいでしょうか。世界と比べても巨大な都市です。今後の日本の大きな方向性や方針の中で、インバウンド、海外からお客様をお迎えするという玄関という位置づけで、それをお迎えするような23区におけるJ1クラブが、そしてそのスタジアムが、ヨーロッパ各国に比べれば悲しい限りで、まだまだ力不足というような現状の認識です。やはり東京には全国の方々が地方から出てこられている方もたくさんいらっしゃいます。東京をホームタウンにするチームだけでなくて、東京で行われるゲームがアウェイ観戦としてできる数も多いです。Jリーグとしては、23区にクラブがもう少しあってもいいと思っていますし、そこに魅力的なスタジアムが本当にあればと願うばかりです。ですので、この後の会見の話(※理事会後の会見の後、スタジアムに関する会見が行われた)は東京に限定した話にはなりませんが、ベースの思いとしては、東京にもという思いは強くあります。

一方で、今後の魅力なスタジアムを定義した話がこの後出てきます。いわゆる高齢化が進む日本において、車での移動や遠距離での移動がなかなか難しい中で、街中にあるスタジアムで、交通の要衝にあって利便性の高い立地であること、それから昨今台風などの様々な災害がある中でのいやわる防災拠点として、もしくは雨が多い日本において屋根があること、一夜を過ごせるような防災対策機能を含めた屋根のあるスタジアム。そしてサッカーだけではない様々なエンターテイメントやホスピタリティ、いわゆる楽しんでいただけるような工夫がなされているスタジアムが必要だと思っています。日本には野球場や陸上競技場、そしてフットボールスタジアム。こうした目的用途に合わせたスタジアムが充実してくることが望ましいと考えています。こういった要素を兼ね備えた環境がどうやったら豊かになるのか、この後そのプランを少しお話したいと思います」

(2)へ続く

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