Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「Jリーグも10年に渡って2000億円くらいの投資をしていただく立場として、ガバナンスがしっかりしている、社会的な立場をしっかり表明していくことがすごく問われている(Jリーグ・村井チェアマン)」~2019年第3回のJリーグの理事会より(2)~

3月19日、JFAハウスにて2019年3回目のJリーグの理事会が行われ、理事会後に記者会見が行われた。

今回より数回に分けて、理事会でのコメントをお届けしています。

(1)はこちら

○村井満チェアマン
~質疑応答~
Q:今の話に少し関連していることですが、ここ2~3年Bリーグ(バスケット)やTリーグ(卓球)などが開幕して、週末の時間の取り合いが起きていると思います。そういった中でJリーグとして、例えば日程が被っている競技よりもより魅力的に、それこそ関心が低い人たちの取り合いになっているかと思いますが、そういった層をJリーグとしてどうやって取っていこうと思っていますか?

「今日の理事会の場でも、そうした他の競技団体の関係性の話が出ました。DAZNの場合、全ての視聴者がサーバーにつながっていますので、誰がどの試合を何分間見ているのか、プロファイルがはっきりしています。

実はBリーグやVリーグ(バレーボール)の視聴者の6割以上がJリーグを見ていることがわかったり、プロ野球(NPB)の視聴者分析で言うと、2番目に見ているのはMLBではなくて、実はJリーグであったりしています。そういった意味では、取り合いや奪い合いという構造ではなくて、筋書きのないドラマを愛するスポーツ愛好家の方々は、競技を超えてよく見ていることがわかってきました。いわゆる他の競技団体と連携してスポーツを一緒に盛り上げたり視聴環境をアナウンスすることが、今後すごく重要な手段かなという議論が今日出ていました。
当然、限られたお小遣いや可処分所得の中でどこにどのくらいかけるのかという取り合いの構造はあるのかもしれませんが、スポーツ愛好家を育てていくステージなので、協力していくフェーズもあるのではないかと考えています」

Q:ちょっと直接的にJリーグとは関係ありませんが、現在スポーツ庁を中心にガバナンスコードと呼ばれる、組織統治やコンプライアンスに関係する一つの指針作りが進んでいます。その中で、スポーツ界には一定の抵抗感みたいなものがあります。政治主導だとかそういったルールの中には再選を○期までと限定してたり、70歳未満という数字に抵抗感があるようです。Jリーグや日本サッカー協会には、すでにそういった規則がきちんとありますが、こういったことについて政府が絡んでくることについての所感を含めてどんなふうにその動きを見ているのか。またJリーグとしてコンプライアンスやガバナンスへの取り組みについて、何か考えていることがあれば教えてください。

スポーツ庁:スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン(2018年12月20日)
日本経済新聞:競技団体理事、25%以上外部から スポーツ庁が指針案(2019年3月20日)
2018年10月17日掲載:JFA・Jリーグ・JSCが共同で「2018インテグリティセミナー」を開催。

「直接政治や行政からガバナンスやコンプライアンスについての要望が今届いているわけではありませんので、実感値として何か申し上げることはありませんが・・・。いわゆる経済界などではESG投資という言葉があります。、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(governance)がしっかりしていないと投資の対象から外れてしまうという、サスティナブル(継続可能)であるための要素が世界の潮流になっています。Jリーグも10年に渡って2000億円くらいの投資をしていただく立場として、そうしたガバナンスがしっかりしている、社会的な立場をしっかり表明していくことがすごく問われていると思います。
政治や政府はそれを代弁する形で取りまとめられるのかもしれませんが、個々人であったり、投資家であったり、そうした方々から見れば健全な経営が求められているので、その内容自体に何か大きな違和感があるわけではありません。

今日も議案の検討事項の中にあったのですが、役員候補者選考委員会発足という内容がありました。みなさんに決定事項としてお伝えする内容ではありませんが、チェアマンの選び方であったり、選ぶ体制に関しては、現職のチェアマンが一切介入しない。私のスタッフも介入することがない。そういった意味では、フラットに人選をするような体制を今整えています。4/1付でJリーグも内部監査室を設けて、いわゆる外部監査や幹事監査、それから理事が相互に我々を監査する体制に加えて、内部監査室を設けて私が私の部下をしっかり管理監督する体制を整えていくことを今日発表しました。Jリーグとしてはできることから社会の潮流に同期を取ながら進めていこうという話を理事会で話しています。

(会見の最後に)今日は随分と時間をかけて、各クラブが2万回以上懸命な努力をされているホームタウン活動について、それと昨年から新たに始めました社会連携、ESG投資でいうS(Social)の部分について、Jリーグがどうかかわるのか、この後藤村から今日理事会で話した内容と全く同じ内容をこの後お話しますので、ぜひ聞いていただければと思ます。

(3)へ続く

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