Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「トップレベルの選手たちがいきなりトップのコーチになれないのと同じで、一流の審判がいきなり一流のVARになれるわけではない(デービッド・エラリー氏)」VARに関するメディア説明会(3)


4月11日、JFAハウスにてVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)に関するメディア説明会が行われた。
これは、2019年シーズンからルヴァンカップ・プライムステージとJ1参入プレーオフ決定戦の最大14試合にVARが導入されることに合わせ、VARのプロトコルの説明と実機を使用したデモンストレーションを見学しながら、VARについての理解を深めるために行われた。こうしたメディア向けの説明会は昨年3月にも行われている。

概要の説明の後、具体的なVARの運用方法の説明が行われ、VARのデモンストレーションが行われた。

その後、IFABのデービッド・エラリー氏が集まった記者からの質問に答えた。

今回はVARが導入されるルヴァンカップ・プライムステージを前に、会見の内容を通して改めてVAR導入への理解を深めるために、お届けできればと思っています。

※説明会で配布された資料(サッカー競技規則、P135~/PDF)

「VARを来年度からJ1で導入することを視野に入れた議論をしています(Jリーグ・村井チェアマン)」~2019年第7回理事会後の記者会見より(2)~

VARに関するメディア説明会(2)はこちら

「VARは明らかなミスを特定して正すことであって、ベストの判定を見つけるものではありません(デービッド・エラリー氏)」VARに関するメディア説明会(2)

○デービッド・エラリー氏

~質疑応答の前に~
「皆さん方もこれからも目にするかもしれませんが、VARはスーツ等ではなくてジャージ等を着てやっています。VARは90分間部屋の中であれだけ集中して試合を見ているので、非常にプレッシャーのかかる作業ですので、当然熱くなることもあるでしょうし、そういった作業をしているのでジャージを着ています。2014年のブラジルワールドカップのFINALを担当した主審(ニコラ・リッツォーリ氏)が初めてVARをやった時に、『VARは、実際にイタリアで主審をやっている時よりもずっとプレッシャーがかかる』と語っています。

~質疑応答~

Q:VARは大変な仕事だと思います。私の個人的な感想なんですが、昨年のワールドカップを調べてみたところ、ほんの数人の人がたくさんの試合を担当していた印象があります。それはVARがまだ成熟の過程にあって、ワールドカップでVARをいきなり採用したこことで問題があったのではないでしょうか?

「トップレベルの選手たちがいきなりトップのコーチになれないのと同じで、一流の審判がいきなり一流のVARになれるわけではないんです。
一つ皆さんに覚えて置いていきたいのですが、VARは完璧ではありません。完璧ではないことに、メディアの皆さんも満足していただかなくてはなりません。なぜなら、完璧になってしまうとメディアの皆さんの書くことが無くなってしまいますからね(笑)。
初めてVARが実施されたのは2016年8月12日でした。それから2年もたたないうちに、フットボールにおいて一番大事な試合(FIFAワールドカップ)で使われました、(FIFAの)エンカンティーノ会長も言っていましたが、『VARは未来ではなくて今なんだ』とおっしゃっていました。VARの課題は、VARのテクノロジーの開発と発展、それとVARの育成です。

(残り 825文字/全文: 2127文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ