Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「何がしかクラブへ裁定を行う必要があれば、規約に基づいて裁定委員会に諮るステップを踏むこととなります(村井チェアマン)」2019年8回目のJリーグ理事会後の記者会見より(1)


○村井満Jリーグチェアマン
「冒頭、今シーズン台風の被害等で試合日程がなかなか組めないようなシーズンとなっております。今回の千葉の台風15号の影響で、まだ停電等で苦しまれている方が多いわけです。茨城や千葉では甚大な被害があり、鹿島アントラーズはシャワーを地域の方に開放するという対応もありました。今も千葉については連係を図りながら、対応を注視している状況です。そういった天然災害の話が一つありました。

議案に入るまでに、報道等でご存知かと思いますが、湘南ベルマーレを巡り監督が行き過ぎた指導があったのではないかどうかの事実確認の現状の共有を行いました。メディアの皆様にも私の方からお話する初めての機会になりますが、今日現在、具体的な調査結果は私の手元には来ておりません。ですので、具体的な事案の中身についてお話することはできませんが、ここまでのプロセスについて、少しかいつまんで共有させていただきます。理事会でも同様の内容については説明させていただきました。

まず、本件に関してはJFAの内部通報窓口(※)に連絡がありました。これはJリーグの事案ですので、JFAサイドからJリーグのコンプライアンス窓口に連絡をいただきました。これが7月の初旬でした。

【補足】
日本サッカー協会(JFA)では、法令違反又は不祥事の未然防止及び社会的信頼の維持向上を通じて倫理・コンプライアンスの遵守を強化するため、「内部通報者保護規則」が定められている。
内部通報者保護規則(JFA)

また相談窓口が下記のような形で開設されている
・暴力等根絶相談窓口
住所:東京都文京区サッカー通りJFAハウス内
電話番号:050-2018-1990 (開設時間:平日10時~15時)
FAX:03-3830-2005

内容に関しては匿名での通報でしたので、通常では誰がどういう責任を持って通報するかがあやふやなものについては原則としては動かないのですが、今回は手紙と電話で連絡をいただき、その内容が詳細にわたり内部の関係者でなければなかなか分かりにくいだろうと推定される通報でした。通常の憶測や伝聞とは一線を画す内容と認識を持ちました。ということもあり、我々のコンプライアンス担当弁護士に協議を行いました。

本来であればクラブ側と協力していく内容です。今回、クラブの全面的な協力をいただいておりまして、湘南ベルマーレに大変感謝しています。そういう意味では、リーグの方針で調査を開始することに合意をいただきました。

一部内容には、『クラブ側に同様の内容の改善を申し入れたが、改善が進まない』という表現もありましたので、クラブに100%調査に委ねるというよりも、本事案に関しては。中立的な立場である我々Jリーグが調査を行う必要があると判断しました。

7月中旬には、湘南の方へコンプライアンス事案について調査を行いたいと我々からお伝えしていました。具体的には、合宿やJリーグワールドチャレンジなど様々な夏場の競技日程もあった関係もあり、我々の内部では8月の中旬からクラブへの調査を始めることに7月中に合意していました。そのタイミング(8月12日)で、一部メディアで本件が報じられることとなりました。事の重大性を鑑みて、メディアにも出ていましたが、私の方から途中での報告は控えていました。また調査そのものが神経を使う事案でもありました。また被害者もいて、また身元が特定されてしまうとクラブに居づらくなく事案でした。
それから本件について、調査の中立性や独立性をしっかり担保する必要がありましたので、担当している弁護士の方4名とは私自身接触はしていない状況です。

クラブとしては厳しい状況にさらされています。残留争いをクラブ一致団結して戦っている状況を鑑みれば、弁護団にも協力いただきながら迅速の対応をしていただいていますが、調査対象が一定程度数多くなっているので、その分析をしていただいていると推測しています。

今後のスケジュールについてのイメージでは、直接接触していないので詳細は何ともわかりませんが、コンプライアンス担当窓口から弁護士の方に確認したところ、湘南の個々の選手、フロントスタッフ、監督をはじめとしたコーチングスタッフへの事実確認はほぼ終結しているとの情報を得ています。今は弁護士の方で事実認定をしたり分析をしている最中と認識しています。ですので早ければ今月中に何らかの答申をいただける可能性が高いかなと思っています。

今後のステップですが、何がしかクラブへ裁定を行う必要があれば、規約に基づいて裁定委員会に諮るステップを踏むこととなります。なんとか10月の上旬をめどに一定の方針を示せればと思っています。
何かしらの裁定が諮られたら、迅速に対応していきたいと思いますし、皆さまにお伝えできる内容についてはお伝えしていきたいと思います。こうしたことを理事会の冒頭に共有させていただきました。

それ以外に関しては、VAR等々については、最短で21年からという話をしていましたが、様々な施策のスピードアップ等々を図りまして、来シーズンからの導入を合意を得ています。私の方からは以上です」

【ミニ解説】裁定委員会とは・・・
裁定委員会とは、競技に関するもの以外の事案を裁く機関で、チェアマンの諮問機関(Jリーグ規約第131条)。裁定委員会は5名以内の委員を持って組織される。委員はサッカーに関する経験と知識を有しまたは学識経験を有するもので、理事会の同意を得てチェアマンが任命する。委員にはJリーグの理事もしくは法人組織の職員またはJクラブの役員もしくは職員を兼ねることはできない。
裁定委員会は、申立のあった内容について調査・審理した上で、チェアマンに対し、書面により裁定案を答申する(第138条)。

【解説】意外と知られていない?規律委員会と裁定委員会の違いとは。~G大阪サポーターによる不適切なフラッグ掲出に関してメディア向け説明会より(1)~

(2)へ続く

前のページ

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ