Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

湘南の裁定基準について「同じサッカーファミリーとして(JFAと)目線合わせの必要があるかもしれないと認識しました(村井チェアマン)」~2019年9回目のJリーグの理事会後の会見より(2)~

10月24日、JFAハウスにて2019年9回目のJリーグの理事会が行われ、理事会後に記者会見が行われた。


○村井満チェアマン
「本日(24日)の昼、広州の方から帰ってまいりました。浦和レッズが見事な戦いで決勝進出を決めてくれました。鹿島アントラーズが戦った時と同じく広州のファンほぼ満員の中、大変な雰囲気でしたが、日本からも数多くのサポーターの方に来ていただき勝利することができました。一昨年、昨年に続き、3年連続の決勝進出となりますが、是が非でもサウジアラビアのチームに勝ってほしいなと思います。

理事会の冒頭、台風19号に関する情報の共有を行いました。
まず、今回お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。そして被災された方に心からお見舞い申し上げます。理事一同そういう思いで情報を共有しました。

Jクラブでは、ご承知の通り大変な被害を受けた長野をはじめ、浦和はレッズランドが5m水没したり、大宮、湘南、水戸、藤枝など(被害のあった)いくつかのクラブの状況を共有されていただきました。
(15日に)原さんを中心に対策本部を立ち上げました。この6クラブを中心に本部長・部長クラスが現地に張り付いて、現在対応を協議しているところです。場合によっては復旧に補てん措置などが必要になる場合もありますし、まずは実態の把握を最優先にして取り組んでまいります。
現属継続中の事案でして、週末の天候によっては、被害がさらに拡大する恐れもありますし、今後も予断を許さない状況です。また、試合の中止等々の決定が今回トータルで12試合で中止・キックオフ時間の変更対応を行いましたが、我々の対応がスピーディに適切だったかどうか、我々の取り組みそのものの振り返りながら、総括を進めようという話をしました。

それから良い話としては、今週末にYBCルヴァンカップの決勝が行われます。川崎フロンターレと北海道コンサドーレ札幌、どちらも勝てばルヴァンカップ初タイトルとなります。天候も心配されていますが何とか持ちそうですし、現在チケットの売り上げも大変好調で、5万人超えも見えるところまで来ているということでした。
私は準決勝第2戦を札幌で観戦していましたが、コンサドーレ札幌のゴール裏には、『駅や空港を赤と黒で埋めつくそう』という横断幕も出ていました。サポーターの皆さんの熱量を高く感じました。新たなファイナリストとのマッチアップになりますが、大変楽しみにしています。

それから、コンプライアンス事案では、湘南ベルマーレの事案について、私の方から報告し、リーグとして暴力・暴言を根絶していけるように努力していきましょうということを再確認しました。今日は(理事会に出席した)眞壁さんからも反省の言葉もありましたし、『再発防止に向けて努力をしていきたい』という話がありました。大変難しい問題で、一朝一夕に解決できるものではありませんが、プロジェクトDNAというアカデミー世代の育成プログラムの中に、こうした倫理関係のプログラムをしっかりインストールしていく、そして5,500名規模で実施していますが、選手・監督・コーチ・フロントスタッフ・リーグ職員、すべてが参加するeラーニングでも、こうしたプログラムを組み込んでいくことにしております。その他、メディアの皆様にもご覧いただいているインテグリティセミナーの他、数多くの内容も、今準備を進めているところでございます。その他いくつか検討していることもありますが、決定次第ご案内させていただければと思います」

コンプライアンスを実践するキーワード「透明性を図ること。率先垂範を図ること。 みんなが正しいことを言う。そういう雰囲気を作っていくこと」(芝昭彦Jリーグコンプライアンス顧問弁護士)」~2018インテグリティセミナーより(5)~

Q:対策本部を立ち上げたのはいつでしょうか?補てん措置について、どういった案が考えられるのか、
「過去においても、クラブライセンス判定上必要な施設、自然災害で被害を受けた場合、一定のルールに基づいて補てん措置を行ってきた事例がございます。今回もそうしたルールに基づいて行っていきます。実情を精査することと、機動的にやっていきたいと考えています」

Q:台風に関してですが、対策本部が設置された日付を教えてください。また、補填措置に関しては、特例的に補助金などを出すことがあり得るのか、どのような判断となるのか教えてください。

「過去においても、クラブライセンス判定上の施設が自然災害で被害を受けた場合、一定のルールに基づいて復旧に向けた補填措置を行ったことがございます。今回も前提としては、そうしたルールに基づいて検討していくことになりますが、まずは実情をしっかりと精査すること等々、機能的に対応していきたいと考えております」

※担当者より補足
「緊急対策本部に関してですが、15日火曜日に役員の皆さんに集まっていただき立ち上げました。また、立ち上げたことに関しては、17日の実行委員会と本日の理事会でもご報告させていただきました」

Q:台風の関係ですが、水没などは河川敷の施設が多かったと見受けますが、被害の主な場所は、練習場と考えていいでしょうか。
「今回はスタジアムよりは練習場、それからクラブハウス、もしくはアカデミーの施設等です。おっしゃるように、長野、大宮、浦和、湘南、水戸は練習場等々の被害です」

Q:湘南の件について伺います。曺氏について、Jリーグとしては処分をしましたが、JFAに対してはどういう説明をされて、JFAからはどのような話があったのか、教えてください。
「まず本件に関しては、我々が裁定を会見などでお話をしたタイミングで、JFAに対しても詳細をお伝えしております。我々は制裁という形で、クラブを処分いたしましたが、JFAはいわゆる指導者資格制度を管理・運営しています。指導者に対してのライセンスを含め、JFAは指導する立場ですので、制裁という表現は使っておりませんが、今後指導者の指導をしていくために必要な手段を、今検討していると伺っています。JFAとして(理事会に)関塚技術委員長がいらっしゃったので、どのように指導していくかは、今現在、検討しているとのことでした。詳細内容はまだ決定していないということでしたので、今日は共有されていません。いつ頃などという点に関しては、次のJFAの理事会などになるかもしれませんが、あくまでも推測になります」

Q:湘南の件ですが、今回の場合はルール上、フロー的にも規程に沿ってJリーグが調査・裁定を下す手続きだったと理解しております。同じような内容のパワハラ行為があった時に、アマチュアの場合、JFAの基準に当てはめていくと、もっと重い裁定になったはずです。Jリーグの裁定基準とJFAが持っているものにかなりギャップや違いがあると受け止められますが、これに関しては何か見解はありますか?
「現行のJリーグの裁定基準は2つあります。ひとつはJリーグの中の規律委員会のように、オンザピッチにおける競技ルールで、例えばレッドカードで出場停止などのようなピッチ上の規律の問題と、もうひとつは本件のようなケースの場合にJリーグはチェアマンの裁定という枠組みとなっております。ある意味、裁定基準は独立しているという認識で、Jリーグとして調査しました。Jリーグとしていうよりは、外部の目線を持って調査し、そし裁定委員会の判断を仰ぎながら、Jリーグとして決めました。今後、自治の原則もあり、裁定は原則Jリーグで行うことではありますが、同じサッカーファミリーとして目線合わせの必要があるかもしれないと認識しました。今回は、調査を急ぐ必要があり、独自に対応させていただいた次第です」

※指導者に関する規則(JFA)

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