Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「クラブと連携をしながら、資金繰り等々の問題が起こらないか十分に配慮していくつもりです(村井チェアマン)」~2020年2回目のJリーグの理事会より(4)~

2月25日、JFAハウスにて2020年2回目のJリーグの理事会が行われ、理事会後に記者会見が行われた。

2020明治安田生命JリーグおよびJリーグYBCルヴァンカップ開催延期が決定(Jリーグ.jp)

その中で、Jリーグは、25日午後、3月15日(日)までに開催予定の2020明治安田生命Jリーグおよび2020JリーグYBCルヴァンカップのすべての試合について、開催延期を決定したと発表した。

前回に引き続き、会見での村井チェアマンのコメント(質疑応答部分)をお届けしています。

(3)はこちら

Q:今日の臨時のWeb会議では全会一致で決定ということで、難しい判断で賛否両論あるような性質の話だと思います。今日の段階で、賛否としてどのような具体的な意見がクラブの代表者から出ていたのでしょうか。また今回延期する日程をまだ見えていないかもしれませんが、どこにはめ込むか、オリンピック前なのか、オリンピック後なのかをお聞かせください。

「今日の11時のWeb会議は緊急を要する会議でした。特にJ1はルヴァンカップを控えている中で、ひとつひとつクラブごとに実現の可否を確認していきました。そしてアウェイで多くのファン・サポーターが移動する可能性もありますので、アウェイクラブにも一人ひとり、実際の運用を確認しました。18クラブ全員にコメントいただき、明日は延期ができるというコメントをいただきました。
むしろ、昨日朝の10時~、13時~、15時半からとのべ3回に渡り会議をし、相当議論をしました。その中では賛否がある状況でしたが、政府見が変わる場合は見解を変える必要があるということと、最終的にはチェアマンがある程度判断するべきだという事前に2回にわたる会議があったものですから、今日は表立った反対はなかったという認識でいます。

(延期した日程について)どこにはめ込むかは今同時進行でやっているところでございます。場合によっては一部オリンピック前に消化する可能性があるかもしれません。場合によっては、会場手配等の関係で、オリンピック後に回る可能性もあります。両方ありうると考えています」

Q:自然災害以外で、Jリーグが中止もしくは延期となったのは今回が初めてでしょうか?
「私が就任してからは・・・、すみません即答しかねます。後ほど確認します」

※後ほど、スタッフから今回が初めてという事が確認された。

Q:先ほどチェアマンも話されていましたが、今回のようなケースも大規模災害補填規定に当てはめることができるのでしょうか?
「補填ルール等々は、大規模災害規定のルールを準用することになると思いますが、最終的に補填措置を行うかどうかは、具体的には理事会決議事項になります」

Q:予算規模が少ないクラブは、こういった状況が続くと経営が破綻する可能性が出てくる場合が無きにしも非ずかと思います。その際の救済措置などは、どのように行うのでしょうか。
「救済措置については、まずは現状を把握することが大事だと考えております。純資産が薄いクラブで、入場料収入を当てにしないといけないクラブに関しては、キャッシュポジションをしっかり把握・確認をすることを今、同時進行でしております。クラブと連携をしながら、資金繰り等々の問題が起こらないか十分に配慮していくつもりです。その他、Jリーグには安定開催基金として10億円ほどの準備金もあります。こうしたものも視野に入れながら、今回は試合を中止するののではなく、試合の日程変更を行ってまいりますので、なるべく財務的な負担にならないような配慮は必要かなと考えております」

Q:今の質問と少し関連しますが、(財政的に)大変なクラブに対してJリーグの方でしっかりとアシストしていただけますよね?という質問です。
「まずは、日程変更などでは若干の入場数の減少等はあるかもしれませんが、まずはクラブの自助努力がベースになります。その上で、明らかに利益が損失していることが確認できた場合には、いわゆる大規模災害等の補填措置はルール化されていますので、それを適用することになります。
まずはクラブがしっかりと、本件の新型コロナウイルスの発症者をクラブからなるべく出ないようにする。もちろん、今回の発症は大変広範囲に渡っておりますので、いつ何時クラブから出ないとは限りませんが、まずはそのことに集中していこうということで、財務的なところは今のところ大きな問題は出てきているものではないと考えております」

※大規模災害補填規定の解釈について、Jリーグ・黒田氏が補足
「大規模災害時の補填規程がございます。これは大規模災害によってクラブが損害を受けたときに補填するもので、大規模災害というのは政府などが認定する激甚災害に当たるもので、もしくはそれに準ずるものです。今回の件がそれに準ずるかどうかは、今後の状況にもよりますが、明日の試合で発生している経費については、通常の雷とか台風で中止になった時の補填ルールを適用して、Jリーグが補填します」

※大規模災害時補填規程(PDF)
第2条〔本補填制度の趣旨〕
本補填制度は、大規模災害によってJリーグ規約第 40 条第1項に定める公式試合について予定日程どおりの開催が不可能な事態となった場合やJクラブが使用するスタジアム等の各種施設に損害が発生した場合に、代替地や代替日程によって大会を無事に終了させることまたはJクラブの活動を通常に戻すことを目的にJリーグがJクラブに資金補填を行うものである。

Q:今後の状況によってですが、日程が厳しくなる中、例えばルヴァンカップのグループリーグは行わずトーナメント開催にするというようなレギュレーションの変更などは考えられるのでしょうか?また普段の練習やクラブハウスでの取材対応、ファン・サポーター対応などはクラブに委ねることになるのでしょうか?
「大会方式の大きな変更に関しては、今は踏み込んでおりません。場合によっては大会の一部チューニング程度の変更はあるかもしれませんが、グループステージを全部やめてしまうような判断までを考えているわけではございません。

それから、現在試合は3月15日まで公式試合は行わないとしておりますが、選手個人はキャンプを通じて体を作っておりますし、最高のコンディションまで調整しておりますので、選手はトレーニングや強化試合などが組まれていくと思います。その際の一般の方々、メディアの皆さまとの接触・接点等々につきましては、クラブ判断で考えていくことになります。ただ時節柄、こうした公式試合までも中断している状況ですので、慎重に対応してほしいとクラブにはお願いするつもりでございます。メディアの皆さまにも主旨をご理解いただければと思います」

(5)へ続く

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