Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

リーグを再開する場合、目安となる条件とは?「1つは基本再生産数(R0)。これがある一定のレベル以下になること。もう一つは各球団(クラブ)の準備状況。教育啓発あるいは物品の準備。その2つがキーになると思います。(三鴨教授)」

3月9日、都内にて第2回「新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、その後記者会見が行われ、3人の感染症専門家(賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)、三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)舘田一博 氏(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授))とNPB(日本プロ野球組織)斉藤惇コミッショナー、村井満Jリーグ チェアマンが出席した。

会見では12日の最終答申を前に、専門家から「このタイミングで行うことに関しては延長することが望ましい」という中間答申を受けたことを発表。
Jリーグ本日午後6時から全クラブと情報を共有する会議を開き、今後の開催について判断することとなる。

今回は、前回に引き続き、会見での村井チェアマン、NPB斉藤惇コミッショナー、感染症専門家のコメントをお届けしています。

(1)はこちら

~代表質問~

Q:(村井チェアマンと斉藤コミッショナーへ)この後会議されると思いますが、中間答申を受けて、まずは延期というところは致し方ないというお考えでしょうか?

○村井満Jリーグチェアマン
「今日の会議を受けて、Jリーグとしては本日18時に全クラブとの本件に関する共有の会を持つつもりです。その上でご助言いただいた案(延期)について意見交換していきますが、現時点で私の思いとしては18日の再開は難しいという認識です」


○斉藤惇コミッショナー
「野球の方も、開催する条件として、今先生方からお話がありましたが、一人の患者さんから罹患する率―基本再生産数と言われるそうですが―これが1以下(が望ましい)。だんだん患者さんから移る率が落ちていかないと、たくさんのお客様が集まる場で2とか3で罹患者が増えていくような状況では、とても開催できないですよね。それが一つです。

また開催するにしても、(ウイルス予防の)最善の努力をした体制を引かなければいけません。体温を測るサーモメーターの準備やアルコールとか、あるいは球場を清潔にする人や用具の準備、そういったものがある程度条件が揃えないと、我々はベストを尽くしていますとはなかなか言えないと思います。結論としては個人的には今の段階では延長はやむを得ないと思っています。もちろんこの後、12球団と協議をしてご報告いたします」

Q:そうすると、当初の今日の会議の目的は、再開する場合であればどのような条件であれば開催できるのかという協議だったと思いますが、今の時点ではこうすれば大丈夫(開催できる)という状況だと判断してよろしいのでしょうか?

(賀来教授が回答)
「先にお二人の先生からも申し上げましたが、感染リスクをゼロにすることは非常に難しいです。その中で入場する時に37.5C以上の方には今回は入場をお控えくださいとか、あるいはサーモメータ―を使うのか体温計を使って入場のところでのチェックが必要になります。全て揃えるのは難しいという条件もあります。例えばトイレの場合も消毒が無い場合も、石鹸での手洗いをどのようにおこなうのか。そういったことも含めて考えると、いろいろな議論をさせていただきましたが、完璧に入場チェックも難しいでしょうし、観客の方々の意識も含めて、熱があっても行きたいという方もいるでしょう。そういった方々への啓発を考えれば、この1週間では難しいだろうと。これから同時並行的にチーム内での健康管理体制と、スタジアムでの環境管理体制を同時に行っていただくんですけど、100%できることは難しいかもしれませんけど、ある程度の入場時のチェック体制ができてくれば、もちろんそれは再開していただくことになると思いますが、そこの目安が難しいというのが現実であります。なおかつ患者数が増えている現状では、今開催するのは非常に難しいのではと考えています。そういったことを考えて判断させていただきました」

(三鴨教授が補足)基本的には2つの条件ですよね。
1つは基本再生産数。齋藤コミッショナーもお話になりましたが、これがある一定のレベル以下になること。これは1が良いのかもっと上がいいのかそこは議論しなくてはいけませんが、基本再生産数が減少すること。もう一つは各球団(クラブ)の準備状況。これは教育啓発あるいは物品の準備。その2つがキーになると思います。

【ミニ解説】基本再生産数(R0)日本疫学会HPより
基本再生産数(R0)とは・・・ある感染症に対して、その感染症に対する免疫を持たない集団にその感染症を最初に持ち込んだ一人の感染者が、感染力を失うまでに(免疫の獲得もしくは死亡により)、何人に感染させるかを数値化した感染性の指標。
R0 < 1 の場合: 感染の流行は、拡がりません(感染者ひとりがひとり未満の人数に感染させる)
R0 = 1 の場合:拡大も終息もせず、地域的に流行し続ける(ひとりの感染者がひとりに感染させる)
R0 > 1 の場合:流行の拡大(ひとりの感染者が複数に感染させる)

今回の新型コロナウイルスの場合、R0は、1.4 から 6.49 (平均:3.28)であると言われています。その他の感染症のR0は、麻疹(はしか)が12~18,インフルエンザが2~3と言われています。
※今後の疫学調査結果により値が分かる可能性があります。

 

(館田教授が補足)
今、国もいろいろな政策を出しながらこの対策を強めている所です。国民の皆様にこのウイルスの特徴や備えに関して、いろいろな情報を得ながら接触感染防止策の手洗いなど教育を受けている段階だと思います。ですからおそらく1~2週間先ほど言いました通り、刻々と変化する中で、2週間あるいは1ヵ月遅らせることによって、どれだけ政策の効果が出てくるのか、どれだけ国民の皆様のご協力のもと減らすことができるのか。そういった成果を見ながら、もう大丈夫だという判断の中でスタートするのが良いのではないかと思います。ですから、今の段階ではいつというのは難しいと思います。総合的な判断になると思います」

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