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【ニュース】JリーグとNPB合同の第14回新型コロナウイルス対策連絡会議を開催。「スタッフや選手が感染した時にぜひ責めないように、今後プロ野球とJリーグが試合をどのように続行していけるのか、応援する形で報道をお願いしたい(賀来氏)」

8月24日(月)、JリーグとNPB合同の「第14回 新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、会議後にWEB上で記者会見が行われた。

会見には感染症専門家の賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)とNPB(日本プロ野球組織)斉藤惇コミッショナー、村井満Jリーグ チェアマンが出席した。※舘田一博 氏/東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授) は都合により欠席。

会議では、特に先日起こった鳥栖の集団感染(クラスター)の状況についての報告がなされた他、感染者へ差別や偏見についての議論や検討が行われた。

今回は会見での専門家のコメント(抜粋)をお届けしています。


○村井満チェアマン
「今回の会議ではJリーグ側からは、先日起こりました鳥栖の集団感染(クラスター)の状況について皆さまの共有させていただきました。そこから得られた知見、共有すべき事項を、それに基づく専門家の皆様から様々なご助言をいただきました。大変貴重な回となりました。ありがとうございました」


○NPB・斉藤惇コミッショナー
「今日はいくつかケースをベースにした話題になりました。マスコミの皆さんを前にお伝えしたいのですが、スポーツでも社会でもそうですが、どうも発症が出ると、出た人を悪人のように差別や偏見というものが散見されていますが、そういったことは逆に我々の関心でもありました。実際に偏見や人権を無視した形でウイルスをコントロールして対策をしている国もあるわけです。(そういった国では)一見成功しているように見えるケースもありますが、我が国や多くの国々では、偏見や人権侵害を無しにコロナに向き合っていこうとしています。なおかつ今の段階ではある程度ウイルスとは共存というのはおかしいが、共存せざるを得ない―他の病原菌とも共存しているわけですから―そのへんのことを頭に入れながら善処していくという事に討議させていただきました。非常に重要なテーマだったと思います」


○賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)
「今日は、Jリーグ・プロ野球の事例を元に、それを皆さま方と共有しどこに課題があるのか。最終的な報告書は今後になりますが、誰もが(新型コロナウイルスに)かかり得る状況の中で、本当にちょっとしたところからの感染も起こり得ることを、改めてそういった認識に基づいて、皆さんと情報を共有しました。
先ほどコミッショナーからも話がありましたが、今の一番の大きな問題は、かかってしまったことに対して、それを責めるような差別するようなことが日本全体で大きな影響を与えています。ご存じのように、先週日本感染症学会の総会が開かれました。その中で確かに我々は第2波の真っただ中にありますが、一部の専門家の中からは7月の終わりにある程度ピークがあって、今は感染は爆発的に増えているわけではないと、徐々に低下傾向も見られている。ただこれは予断を許さない、オーバーシュート(感染の爆発的拡大)にはなっていないなど、新しい状況も含めて説明させていただきました。その中でマスクの着用が重要ではないかという話をさせていただきました。

現在は、毎日のように朝から晩までコロナの情報がメディアで出てきています。皆さんの非常に目に見えないものに対する恐怖が(報道の中から)生まれてきているのも事実です。冷静にいつも報道していただいていますが、ぜひ皆様方のお力も非常に重要で、スタッフや選手が感染した時にぜひ責めないように、今後プロ野球とJリーグが試合をどのように続行していけるのか、応援する形で報道をお願いしたいと思っています。

今日の議論は、経験した事例を元に院内感染が起きた時も同じですが、経験した時に反省と今後の改善点を見出していくようなことで、非常に貴重な議論をさせていただきました」


○三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)
「本日の会議では、Jリーグでの初のクラスター認定になってしまったサガン鳥栖の事例を皆さんで共有することによって、この事例からさらに対策を取ろうということで、事例の共有並びにディスカッションを行いました。
現在病院でも院内感染が起こっています。院内感染が起こると、当然その病院は対応を取るわけですが、その事例を多くの病院で共有して、参考にして起こらないように、事例共有、アウトブレイクから学ぶとよく学会等でも議論があります。今回の専門家会議では、まさにそういったことで事例が共有されて、今後のマニュアルの変更点が議論されました。したがって事例共有は極めて重要で、今後もクラスターは起きてほしくないが、散発事例はいくつか起きてくると思います。誰もが感染しておかしくない時代ですから、その起きた事例を皆さんで共有して対応を練っていこうと。プロ野球・Jリーグともに前向きな姿勢で取り組んでいます。ぜひこういった事例に関して、今度は国民の皆さんの参考になるように、報道していただけると嬉しく思います」

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