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【ニュース】第21 回新型コロナウイルス対策連絡会議を開催。外国からの帰国後の対応の進捗やアウェイで出向く時の移動の仕方、トイレ問題(スタジアムや移動時)、来季の検査体制についてなど議論される。

11月30日(月)、JリーグとNPB合同の「第21回 新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、会議後にWEB上で記者会見が行われた。

会見には感染症専門家の賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)、三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)とNPB(日本プロ野球組織)斉藤惇コミッショナー、村井満Jリーグ チェアマンが出席した。
今回の会議では、ACL組の帰国後の対応の進捗やアウェイで出向く時の移動の仕方について、トイレの問題(スタジアムや移動時など)、来季の検査体制についてなど様々な事が議論された。
今回は会見での専門家のコメント(抜粋)をお届けしています。

○斉藤惇コミッショナー(NPB・日本プロ野球組織)
「プロ野球は、25日に日本シリーズの優勝チームが決定して、今シーズンの日程をすべて終了することができました。本当にありがとうございました。
入場者数の制限がありましたが、最終的には482万人を超えるお客様にお越しいただきました。プロ野球の文化を守る目標に向け、ご努力いただいた各球団オーナーの皆様や選手はもちろん、今回の会議のようにバックアップしていただいた医療従事者の皆様や先生方、自治体や保健所、そして内閣府や厚労省等々の関係機関、難局を乗り切るために進めさせていただきました。重複しましたが特にこの会議のアドバイザリーの先生方には心から感謝申し上げます。
本日の会議では、NPBの方からフェニックスリーグの対応のケース、それからJリーグさんの方からはアウェイへの移動の情報共有があり、専門家の先生方からの評価とアドバイスをいただきました。
こういう経験から、我々は多くのことを学びました。今日は具体的に、専門家の先生方から飛行機や球場やスタジアムなどのトイレの問題が具体的に出てきました。
我々としては今までのすべてのケースをサマライズして、Jリーグと分析して、どういうケースが問題がなくて、こういくケースで思いがけないことが起こったとか、お客様への対応も含めて、具体的なケースをまとめてサマライズしたレポートを作り上げたいと思います。

○村井満チェアマン
「NPB・プロ野球が全ての日程、3月の初旬から数えて21回目となりますが、野球界のご努力を近くから見ていました。心から経緯を表しお祝い申し上げます。
Jリーグの方は、ご存じの取り終盤に差し掛かっています。J1は12月19日、J2とJ3は12月20日まで日程を残しています。J1、J3は優勝チームが決まり、J2は混戦模様でもつれる可能性があります。こうしたリーグ戦と、現在3クラブがカタールで戦っているACL、そして天皇杯、ルヴァンカップと日程を残しています。ここへ来て第3波と呼ばれる脅威を感じながら進んでいくことになりますが、専門家の先生や地域アドバイザー皆さまのご指導をいただきながら、最後までしっかりまっとうしてまいりたいと思います。
柏のクラスター事案の反省を元に、チームが移動する際の留意点を先生方からアドバイスを頂戴しました」


○賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)
「100年に1回と呼ばれる感染症の中で、ここまで無事に対応していただいたことは、関係者の皆様方また選手・スタッフの努力があったからだと思っていて、敬意を表したいと思います。専門家グループか少しでもお役に立てたのであれば嬉しく思います。

今日は世界で厳しい状況になっていることと、第3波がやってきています。どういう事に注意しなくてはいけないのかをお伝えしました。やはりマスクの着用が非常に重要なポイントになっていると思います。
WHOによると、ヨーロッパでのマスクの着用率を見てみると50~60%となっています。これが90%以上になればロックダウンが必要ないと言われています。あるいは最近のネイチャーの論文では、アメリカのマスクの着用率が50%前後ということでした。その中で着用率を90%以上に上げることができれば、亡くなることを確実に減らすことができるというデータが出てきていると紹介させていただきました。
あとはCOVID19は後遺症が残っているわけです。疲労感や呼吸が苦しいとか匂いがしないとか、こういった後遺症もトップアスリートの方々にとっても、コンディショニングを整えることにおいても大きな問題になってきます。そういった意味でも感染を防いでいくことが大事だとお示しさせていただきました。
またプロ野球とJリーグで得られた知見は、かけがえのないものだと思います。いろいろな危機的な状況がありましたけど、その中でどうオペレ―ションすることで対応できたのか。そうしてどういった行動がリスクにつながったのか、統括していくことが重要です。専門家の立場として、一年間の総括についても、プロ野球とJリーグの皆様と一緒に総括レポートをしっかりと作成していきます。

そのことが来年の東京五輪・パラリンピックパラリンピックを含めて、他の競技団体にとって有益な情報になると思っています。そういったことも、先ほどの会議でもお話させていただきました。
それからトイレの問題も、特に飛行機の中のトイレは非常に狭いので、そこでどう手を洗うのかについても、具体的なリスクも上がってきているので、そういったこともアドバイザーの方々のご意見もお聞きしながら、対応していきたいと思っています。
NPBの方からは、宮崎のフェニックスリーグについての話がありました。きちんと運営されてオペレーションが非常にうまくいったと、私共も評価させていただきました。

またJリーグの方は、外国から帰国した場合の対応をどうするのか、フローチャートをしっかりと作っていただきました。PCR検査の問題について、日数的な問題やどのポイントで検査するのか議論している最中です。
そしてアウェイで出向く時の移動の仕方について。事例に基づいて細やかなどう対応すればいいのかフローを作っていただきました。他のチームやプロ野球にとっても示唆に富むマネジメントフローを作っていただきましたので、その評価についてもしっかりしていると評価させていただきました。


○三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授
「まずは、プロ野球が全日程終了したということ、そしてJリーグもシーズンが成立したことに対して、それに対して両機構の幹部の方、選手スタッフの方々が努力された賜物だと思いますが、本当にほっとしています。
今後我々の活動を振り返ることはしなくてはいけませんが、専門家内の意見の違いもあきらになったこともあり、皆さんにもそこを厳しく追及していただいたこともあります。未知の感染症に対する対応をそれぞれの対応をまとめていくことは、賀来先生をはじめ両機構も本当に大変だったと思いますが、そうした議論がいい結果に結びついたと思います。

そんな中で両機構が努力された中で一番大きいのは、ガイドライン・マニュアルを作成されたことだと思います。明文化したことで、各チームに落とし込むことができたのは非常に良かったと思います。

しかしながら、残念ながらクラスター事例やクラスターには至らないが感染が多発した事例がありました。これに関しても、通常であればなかなか表にできない内容も、各チームのご尽力によって、本当に惜しげもなくすべてをさらけ出していただいて、次の対応に結びつけることができました。これについては私どもは科学的にアドバイスさせていただきましたが、クラスターや感染者多発への対応についても、本当に素晴らしいものになったと思います。

そして何よりも、私の方から申し上げたいことがあります。第3波は全年代にわたって、誰もが感染して感染させてしまうフェーズになっていますが、地域差が歴然としています。その地域差の中で、プロ野球もJリーグもいろいろな場所にある中で温度差に関わらず、ずっと同じ対応を取れたのは、斉藤コミッショナーと村井チェアマンのご指導の賜物だと思い感謝しています。

またここ数回の会議では、我々だけではなくアドバイザーの先生方にも加わっていただきました。これは賀来先生のご尽力の賜物でありますが、新たな視点で解析が始まっています。これについては解析して発表できるものは発表できる時に発表していきたい。これに基づいて、新たな対応策を練っています。トイレの問題もそうですが、あるいは検査体制の問題、これも頻度も含めて今後議論されていますので、多彩なアプローチになっていると思います。
いずれにしても今日議論の中で、大きく皆さんにここが変わったと言う事はありませんが、フェニックスリーグでのマニュアルや移動時のマニュアル等いろいろ情報共有できましたので、今後につながる会議であったと確信しています」

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