Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

クラブの財務状況について「実際に今年の予算と来年の予算、それから再来年の予算くらいで、予算だけではなくて増資も含めて債務超過をどう解決していくのか、個別にヒアリングしながら対応していく(Jリーグ・鈴木徳昭氏)」~2021年度第4回の理事会より(2)~

4月27日、Jリーグの2021年度第4回の理事会が行われ、理事会後WEB上で記者会見が行われた。

今回は会見後の記者会見の様子(質疑応答)をお届けします。

会見の様子(1)はこちら

※画像は4月19日のものです。

Q:リモートマッチ(無観客試合)の決定について。NPBの斉藤コミッショナーは「これだけのことをやってきたのに」とストレートに表現されていました。一方で村井チェアマンは社会を意識された受け止めをされている一方で、受け入れ難い部分もあるかと思います。今回の決定への受け止めと今後どういった対策がさらに必要になのか。NPBと連携していくことになるとは思いますが、どういったエビデンスがあればリモートマッチをせずに済むのか教えて下さい。

○村井満Jリーグチェアマン

「思うところはあります。今回のコロナばかりは誰が悪いわけでもないですし誰に責任があるわけではありません。Jリーグの責任者として、正直なところ本当に自分の力の無さを何の他意もなく心からそう思っている次第です。

昨年Jリーグでは、1042試合でお客様をお迎えしました。またリモートマッチは62試合でした。昨年の冒頭から豊かなスポーツ文化を振興するその担い手はファン・サポーターの皆さんで、とにかくお客様と一緒にやりたい我々の思いでした。もちろんプライオリティの一番は国民の健康を優先するという事でしたので、4ヵ月にわたる中断もしました。最終的には政府や行政の方針に従うことを一番最初にピン止めしてきましたし、その次にいろいろなことを飲み込んでもサッカーを続けようという事で、昇降格なし、交代人数の変更や飲水タイムなど、いろいろなことをやって不公平を飲み込んでもサッカーをしようと、お客様と一緒にやろうということで1042試合をやってきたわけです。そういう意味では、我々リーグやクラブができることではなくて、これを支えたのはファン・サポーターの皆さんでした。本当に胸が熱くなるような思いで、手拍子で言葉を飲み込みながら応援してくれているサポーターの皆さんの表情を見ていて、こうした皆さんの努力の中で1042試合ができたと本当に思っています。

そうしたファン・サポーターの皆様からすれば、お客様を迎えてもスタジアムが危険なものではないと証明してくれたわけですし、私が社会に対してもっともっと伝える力があれば、エビデンスやファクトを使って関係各所にしっかりお伝えできていれば、もう少しストーリーは変わったのかもしれません。

一方で、サッカーだけでの話ではなくて、多くの人々が市中を公共交通を使って移動することが、今のこの状況の中で一つのリスクであることもわかります。そういう意味ではサッカーだけの判断が通用しないこともよく理解しています。最終的には無観客を政府が裁定したことは、それに従わざるを得ないことは、我々の決めたプライオリティの中では所要の条件でしたので、そこに関しては私も納得しているわけではあります。ただ頑張ってくれたファン・サポーターの皆様の期待が、結果を違えることになってしまったことに関しては、今後引き続きファン・サポーターの皆様と安全・安心な空間を作り続け、そしてそれを社会にしっかり伝えて、少しでもスポーツがお客様と共に実現することを臨み続けていこうと考えています。そんなことをリリースでお伝えした次第です」

Q:クラブ経営本部の鈴木徳昭さんへお聞きします。各クラブの決算が少しずつ出始めています。各クラブの決算をどのようにご覧になっているか教えてください。かなりのクラブで(入場者数が)50%が大多数で、予算の段階で前年度を割り込んいると思います。クラブの財務について、前回の発表から修正すべきところや懸念する点について、現状を教えてください。

○鈴木徳昭クラブ経営本部長

「少し状況を説明させていただきます。昨年10月13日の会見の際に、2020年8月21日時点での決算のみ込み等を説明させていただきました。

「まだ限定的ではありますがファン・サポーターの皆様をスタジアムへお呼びできることからすると、ワーストのシナリオ(無観客時の想定)からは少しアップサイドになっています(Jリーグ・村山氏)」2019年度クラブ経営情報開示に関するメディア説明会より(3)

実際には5月末に経営情報開示の席で、決算状況については正式にご説明させていただきたいと思います。ただ本日時点で申し伝えるとすれば、その時(2020年8月21日時点)は超厳戒態勢でしたが、その後厳戒態勢での試合もあったので、そういう意味では、今回の決算見込みは、昨年ご説明した状況よりもやや上向きにはなっています。ただ今ご指摘があった通り、またここにきてリモートマッチになったので、これはむしろ前年度の決算というよりは今年度の予算と予算見込みの話になります。そこは引き続き厳しい状況だと思います。クラブライセンスチームの方では、各クラブと綿密に打ち合わせをしながら、実際に今年の予算と来年の予算、それから再来年の予算くらいで、予算だけではなくて増資も含めて債務超過をどう解決していくのかについて、個別でヒアリングしながら対応していこうと思っています。そういう状況ですので、今日は具体的な数値は申し上げられませんが、今そういう状態であることと、引き続きモニタリングをしながら、大きく資金繰りで困難になっているクラブは無い状況で対応しているということを共有させていただきます」

※司会より:経営情報開示の速報版は5月28日(金)に説明させていただくことになっています。

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