Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

鳥栖へのJリーグの調査について「我々は前回の報道も含めて、いわゆる社会的な信用問題になったり、Jリーグのブランドの棄損になっていることが否めないわけです。そういう意味では我々が介入していく、正当な理由があるのではないかと思います」~2021年度第9回の理事会より(5)~

9月28日、Jリーグの2021年度第9回の理事会が行われ、理事会後WEB上で記者会見が行われた。

今回は記者会見での質疑応答をお届けしています。

(4)はこちら

~質疑応答~

Q:緩和について、課題感みたいなことをお聞きしたいのですが、一連のNPB・Jリーグの対策連絡会議の流れを追っていますと、賀来先生は『国民的議論が必要で議論をしてほしい』ということをおっしゃっていました。その背景には検査がどれくらい簡単に誰にでも受けられるような状況になるのかどうか、そこには検査を受ける費用の問題もあります。これに関しては舘田先生が『受益者負担』と明言されていました。この辺についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

※画像は10月4日のものです

※村井チェアマンが回答
「おっしゃるように、国民的な議論が必要だという前提に立っていますので、今回のパッケージの緩和については9月3日に政府の(分科会の)尾身先生の談話からスタートしていますので、ある程度オフィシャルな議論の枠組みの中にあると理解しております。当然、国民の理解が得られるものではなければいけませんので、従前積み上げてきました感染対策を十分にするということを前提としながら、プラスアルファの部分をステップバイステップで広げていくというスタンスでいくべきだろうという風に考えております。

実は今後お話が出てくる可能性がありますが、我々サイドとして政府に要望していた観点では、今回の検査の検査キットと呼ばれているものが、政府の厚生労働省が認めている検査キットもあれば、そうでないものもあり、多種多様です。これは市販で手に入るものもあれば、まだ販売されていないものもあったりします。

その意味では、今回の検査パッケージにおいて、検査を浸透していくにあたっては、政府が認めている抗原定性検査のようなものを市販していく。流通の裾野を広げていっていただくこともセットでないと、仕組みはあるものの、一定程度信憑性がある検査キットが手に入らないのであれば、この施策がうまく進んでいかないと思われますので、政府にも認可している試薬の販売等々のご努力もお願いしたいと申し伝えていますし、その検討もされていると認識しています。

また、先ほど申し上げたように、誰もがそうした機会を得られるということと同時に、それを確認する・証明するという陰性証明を今後、飲食店に行ったときにお伝えするといったJリーグの取り組みが広く社会でも行われることも想定されますが、こうした時にワクチン接種の原本を持って歩くとか、そういうことは現実感がないので、スマホを使って簡便に情報が共有できる仕組みづくりみたいなものも、改めてNPB・Jリーグが併せてお願いしている次第でございます」

※10月11日、新型コロナの抗原検査キット 薬局で販売開始 自宅で検査も(NHK)

Q:検査代を受益者負担とするという前提があるとすれば、これがチケット代に検査分が反映してきてチケットを安くするなどのお考えもあるのでしょうか?

「すみません、チケッティングの価格優遇や上乗せについてまでは、正直そこまで今はまだ議論には及んでいません」

Q:緩和の件について。ルヴァンカップ決勝の前にどこかで合意が得られたクラブと行うということですが、リーグとしては10月のどのくらいの時期に開始したいと思われていますでしょうか。

※コロナ対策室の仲村氏が説明

「リーグが決められるものではないので明確にはお答えできないのですが、可能であればできるだけ早く実施したいと思っています。

※その後、10月4日の実行委員会後の会見で、10月のリーグ戦で行われるワクチン検査パッケージの実証検証について発表された。
https://www4.targma.jp/jwatcher/2021/10/04/post9076/

Q:緩和されていく中で、世の中ではお酒の扱いも注目されていますが、本日はそのあたりのスタジアムでの扱いについて議論がありましたでしょうか。
※コロナ対策室の仲村氏が説明
「本日の理事会では、スタジアム内での飲食に関する議論はございませんでしたが、今後、一般的な飲食店の制限の緩和があると思っておりますので、スタジアムでそれを適用するかどうかは並行して検討していきたいと考えていきたいと思っています」

Q:リーグとして容認するというよりは、各クラブの判断にゆだねるという色合いの方が強いのでしょうか。
※コロナ対策室の仲村氏が説明
「今でも緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置以外の経過措置もしくはその他の都道府県となりますと、自治体の了承さえ得られれば時間の制限内で販売が可能ということにイベント制限内でもなっております。
そのように自治体とうまく調整していただければ、各クラブでもすでに売れる枠組みがございます。今後、10月1日以降、ほとんど経過措置ということになってまいりますと、スタジアムでも販売できることになりますし、仮に制限が強くなっていっても販売できる方法はもしかしたら検討していくのかなと考えています。いずれにせよ、各クラブと自治体の最終的な調整で決定していくことになります」

Q:鳥栖の件について。先ほどリーグの方で独自調査をされるとおっしゃっていましたが、具体的にそう決めた理由をもう少し細かく教えてください。前回の報告にない事実が確認されたからなのか、もしくは疑いがあるからなのでしょうか。


※コンプライアンス室長の萩原氏が回答
「すでにご存じかと思いますが、前回の事案というのは特定の選手への足払いの件で、それに関してクラブとして処分されたということだったと思います。発生している該当する事案が一つ特定されたものであって、報告されたものもそれに従った報告でした。
その後、それ以外の過去に遡る部分も含めて様々な声が聞かれたこともありますし、一部報道にありました通り、我々は『通報』と呼んでいますが通報の書簡が届くなど、いろいろなことが我々のところに情報として入ってきましたので、特定のものだけではなくそれ以外のことを調べに行かないと、一連のクラブを取り巻く状況が解明できないだろうと考えたということもございます。

もちろん、我々は前回の報道も含めて、いわゆる社会的な信用問題になったり、Jリーグのブランドの棄損になっていることが否めないわけです。そういう意味では我々が介入していく、正当な理由があるのではないかと思います」

Q:今のお話ですと、通報が来た時点で速やかに調査が行われるものだと思っていましたが、これだけ時間がかかったということはどのような手続きがあったのでしょうか。

※萩原氏が回答
「通報は一つではなく複数から入ってきています。ある程度広く情報を集めた上で、我々の方で行くべきか行かずにいるべきか弁護士の先生と話したりもちろん社内でも話をするわけです。我々も1日でも早くやりたいという気持ちは一緒ですが、それはやはりある程度事実と思われるような情報を持ってクラブに行かなければ調査も中途半端なものになりますので、それなりの準備が必要だということになります」

Q:実際に調査される組織は、コンプライアンス室内で行うのか、外部も交えて行うのでしょうか。
「(2019年の)湘南ベルマーレの件も同様でしたが、Jリーグの中にコンプライアンス室という部門があります。そこから弁護士事務所に実際の調査を委託しております。ですから我々が事務局として弁護士をサポートしながら、弁護士が先頭に立って調査するという構造になっています」

【ニュース】湘南ベルマーレへの調査結果について「(クラブの)管理監督責任は重いという認識をしています(村井チェアマン)」

Q:我々記者目線の質問ですみませんが、現在記者がリーグ戦などを取材に行く際、現在は健康調査票などを記入しています。そういったことがだんだん緩和する流れになるのでしょうか。いろいろな規制があるかと思いますが、毎日体温を測ったりしていますし、ほとんどの方がワクチン2回接種しています。毎日体温を測って申請書を出してというような取材の規制は緩和される方向になるのでしょうか。

※コミュニケーション部長の勝澤氏が回答
「今、私たちもルヴァンカップ決勝を一つの目標にして、どのような形で皆様に取材していただくのが取材し易いのか、ミックスゾーンをオープンすることが本当に皆様のためにいいのか、逆にオンラインでの対応の方がいろいろな選手の話を聞けて良いのかなど、いろいろと検討させていただいております。我々広報としては取材していただいているという部分を忘れることなく、その中でどのようにルールを変えていくことがベストなのかリーグ内で話し合っているところです。またもう少し詰まってきましたら、改めて皆様に相談の上、新たなやり方法をご提示したいと思いますので、少々お時間をいただければと思います」

Q:緩和の話が出ている中で、この長いコロナ禍でクラブの経営にもかなり負担がかかっている状況かと思います。観客をこのまま増やしていけるのかまだ分かりませんが、そのあたり経営面に対する期待感というかそのあたりをチェアマンはどのように感じていらっしゃるか教えてください。

※村井チェアマンが回答
「確かに、入場数は2019年比で大幅に減少しております。そういう意味ではクラブ経営でも、特に入場収入を中心としてクラブが痛んでいるのは事実でございます。こうした状況の中で今回の緩和というのは、ひとつのクラブの経営にとってみればひとつの明るい兆しだろうと思いますが、クラブのメリットというよりは、こうした形を端緒に社会経済が少し活力を取り戻し、例えばパートナー企業様の業績が回復していく、もしくは我々のサプライヤーや、応援してくださるファン・サポーターの皆様が少しずつでも経済面でもいい兆しが出てくることが、クラブ経営にとっては直接的なメリットだと思っております。ですので入場数が緩和されるということよりは、地域と共に社会の活力を創出していくという方向で今回は捉えている次第です。

冒頭申し上げたように、緩和をしてもある意味プラスアルファの領域ですので、昔のような100%に戻るということを短期的に期待できるものとは難しいかなと思っておりますので、こうした活動の延長線上で地域の活力を共に構想していくということに、私自身は意味を感じているところであります」

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