Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【ニュース】Jリーグが3月の実行委員会を開催。村井チェアマンをはじめ現執行部が最後の挨拶。

3月8日午後、Jリーグの実行委員会が行われ、その後WEB上で記者会見が行われた。

今回の実行委員会では、昨日のNPB・Jリーグ新型コロナウイルス対策連絡会議を経ての議論がなされ、ガイドラインの修正が発表された。

また、今月15日のJリーグ社員総会を持ってJリーグを退任する村井チェアマンをはじめ、常務執行理事がそれぞれ挨拶を行った。


○村井満Jリーグチェアマン
「今日の実行委員会が私のチームでの最後の実行委員会となりました。私自身も8年、原さんは6年、木村さんは4年、佐伯さんも含めて我々のチームで今回退任する人にとって最後となります。15日に総会を残していますので実行委員会のメンバーにはその時にご挨拶をさせていただきますが、メディアの皆様は今日が最後の会見となりますので、後ほど1人ずつ簡単にご挨拶させていただければと思います。

今日の実行委員会では、ガイドラインの改定です。医機能の連絡会議でも話ましたが、連絡会議が50回、ガイドラインの更新回数は今日で45版に及ぶということで、2週間に1回更新してアップデートしながら、いまだにそれに続いている状況ではありますが、クラブの対応力も増してきていますので、それに見合った今回の改定となります。

その他では、プロジェクトDNAについて、テリーさんに1月度と2月度の活動報告をしていただきました。ロンドンから毎回のように時差がある中毎回出席いただいています。

Jクラブの中からも育成の星を獲得するクラブも現れはじめました。また追ってご報告させていただきますが、これまで人任せ・クラブ任せだった育成が、リーグとして個々のクラブの特徴や個性を生かしながらも、互いに競い合ったりそれを学び合ったり、そうした風潮ができつつあると思います、そういったことを今回もテリーさんにご報告いただきました。

その他、15日の総会に向けて、先般理事会後の会見でもお伝えしましたが、役員候補者選考委員会、そして野々村さんの方から今回の業務執行理事以外の人選の意図や背景について説明する機会を設けさせていただきました。最後の総会に向けてそういった議論をしておりました。今日の実行委員会の内容については以上です。

冒頭申し上げた通り本当にお世話になりました。就任時に『記者と犬は逃げると追ってくる』と当時の広報部長から言われました。本当にその通りでしたが、逆に言えばメディアの皆様に情報を開示したり説明したりする中で、情報のありかがわかったり、本質の問題意識を教えていただいたり、皆さんとやり取りをする中で経営の勘所や要諦が見えてきたように思っています。そういう意味では1人で成しえないことをメディアの皆様と築いてこれたことをうれしく思います。

野々村さんは本当に有望ですし、経験も豊富で実績も十分です。たぶんにまだ未経験の部分もありますが、彼も謙虚に皆さんや社会から学んでいく姿勢がありますので、今後とも引き続きご指導いただければと思っています。

私は15日以降にどうするのかは全くのノーアイデアでこれから考えていこうと思っています。まずはリフレッシュして、自分の思うがままにサッカーを楽しんでいきたいと思います。自分を鍛えていただいたサッカー界に何か恩返しできる人間になりたいと思っていますが、具体的にはまだイメージは掴めていません。本当にお世話になりました。ありがとうございました」


○原博実 副理事長
「Jリーグに来て6年間、終わってみれば早かったなという思いがあります。毎試合どこかへ行ってサポーターやクラブの方といろいろと話しながら、自分なりにやりたいことはやってきたし、楽しかった6年間でした。
この2年は皆さんともなかなか会えなかったですが、JリーグTVやジャッジリプレイなどで、できるだけ一般の方々との交流をしながら、開かれたJリーグを自分なりにやってきたつもりです。それは本当に楽しかったし、今の世の中の状況や外部環境がいろいろ変わっても、それに対応していけるJリーグ・日本のサッカー界、スポーツ界であってほしいと思っています。

僕も何をやるのか決まっていません。15日までは今まで通り週末に試合に行って、その後はゆっくりしながら、サッカーは好きですから大学だったりJFLやWEリーグなども見に行きたいと思っています。でも温泉にでもゆっくり入りしながらよく考えたいと思います。またどこかであったらまたよろしくお願いします。日本のサッカー界ではこれからもいろいろあると思いますが、ぜひみなさんで新しい体制を盛り上げていただいて、よりいいJリーグ・日本サッカー界・スポーツ界にしていってほしいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました」


○木村正明専務理事
「皆さん4年間ありがとうございました。私は12年間ワンマンオーナーでしたが、村井さんのサポートに徹すると決めてJリーグに来ました。やはりコロナ対応が思い出深いですが、コロナ対応は本当に苦しかったですがプラスにしていくしかないと思い水際対策にせよ入場制限緩和にせよ、Jリーグのプライドを持って政府筋とも激しく応酬をしてきました。その結果、Jリーグに対する理解が国の重要な意思決定をする人たちに広がったかなと思います。今後いくつかの税改正や政府からの拠出もいただいして、Jリーグとしても今後の何らかのプラスに変えていける部分が少しはできたのかなと思っています、
ただ2年目にJ1が平均2万人、J2も平均7千人になって世界で4番目の2部リーグの数となって、クラブとJリーグが一緒になって方向性が見えてきた矢先だったので、30周年に向けてもう一回この勢いを取り戻していきたいと思っています。

最後になりますが、やっぱりヨーロッパとの真剣勝負の舞台がクラブ単位でないということが、すごく気になる点です。選手個人は移籍できたり、代表は真剣勝負の場が用意されていますが、最大の市場に関与できないというのは、スポーツを産業として見ると厳しいと思います。日本と世界の差をずっと比べられているので、そういう意味ではアジアのサッカーをどう強くしていくのか、我々のすべきテーマだと思っていますので、今後皆様の力で押し出していただければと思っています。

私は地方で親会社の無いクラブ出身ですがクラブ内の会議ではそういうことを常に言ってきました。地方のクラブでもヨーロッパのクラブとも真剣勝負できる機会ができれば、Jリーグの醍醐味であるし喜びだと思うので、そういった世界にJリーグもなれればいいなと思います。引き続きJリーグをよろしくお願いします。ありがとうございました」


○佐伯夕利子理事
「みなさん、短い間ではありましたが本当にお世話になりました。ありがとうございました。私は2018年から特任理事で2020年から常勤となりました。特任理事として外から見ている時と中に入ってJリーグを見た時に全く違うなというのが第一印象でした。様々な違いがみれる中で、まず違和感を大切にしようと、違和感にしないで一つ一つ皆さんにとって応用しながら何か気付きや学びが得られたらと、日本サッカー界の向上に微力ながらお手伝いできればと思いながらやってきました。

ちょうど2年前、JFAハウスあたりに家を探しておりましたがついに住むことはなく、21年は定住せずに全国を回りながらクラブも訪問したいなと思っていましたが、当然叶うことはありませんでした。残念な気持ちはありますが、特殊なこの2年間お世話になったことに何か意味があったのかなと考えています。

この先、私はヨーロッパに戻ってヨーロッパのサッカー界で勝負したいなと思います。またNPOを立ち上げてヨーロッパのスポーツパーソンを支援していきたいと考えています。

やはり日本からヨーロッパを見た時に、スポーツの立ち位置が圧倒的に違うなと改めて感じています。
例えば私はフットボールと社会連携を担当していましたが、その時にやはり出てくるのは、EUというのはコロナからの復興レジリエンスの施策でも必ずスポーツに対して財源を確保してきます。ですのでスポーツに対する支援が圧倒的にあります。だからこの苦しい状況でもスポーツの進化・成長が止まらないという背景があるということを感じながら、では私たちは社会連携で何ができるんだろうと、そういうことを考えながらこれまでやってきました。

またフットボールにおいては、先ほど村井チェアマンも少しおっしゃっていましたが、これまで日本でもいい選手はそこそこ生まれていましたが、でもこれって偶然だったかもしれないということで、これを意図的に・意思を持って必然に変えていくというのが我々のプロジェクトです。ですので、そこに各クラブの意図が生まれることで、必然的に生まれてくることを今後は1つの進化として生み出していくことができればなと思っています。

またトップリーグの競技力、これが一番時間のかかる長期戦だと思っています。今やっていることがいい悪いとか方向性が間違っているといった狭い視野での議論ではなくて、本当に一番時間がかかるからこそ、みんなで力を合わせて取り組んでいこうという姿勢が必要かなと感じています。

またJリーグの一番いい所は、ヨーロッパにいるとスタジアムへ行くのが嫌です。怖いですし恐ろしいですし、子供を連れていけませんし、女性や男性に守られながらスタジアム周りを歩かなければいけません。それがJリーグのスタジアム周りというのは、圧倒的にやさしく安全・安心・平和です。あの空気を絶対に壊してはならないなと思いました。

それから、ゴール裏の過激なグループというのはヨーロッパにおいてはやんちゃな子たちで大声を張り上げているというレベルではなくて、本当に過激で危ない深い深い解決できない思想が絡んでいます。ですのでそれを真似ることなく、そういった思想であったり過激なグループが変な方向に走るようなリーグになってほしくないなと思っています。

今後は人権と世界という舞台に立つ、そういう思いを持って前に進んでいけば、Jリーグはきっと今目指す世界観に近づいてくるんじゃないかと思います」

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