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2021年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会(1)入場料収入について「前年度比では高い成長率になりますが、制限がかかっていた影響でコロナ前(19年度)と比較すると、まだ53%までしか戻ってきていないという状況です(Jリーグ・大城氏)」

5月26日、Jリーグは2021年度 クラブ経営情報開示(先行発表) に関するメディア説明会をWebにて開催した。

今回は2021シーズンのJ1・J2・J3の全57クラブのうち、3月決算の3クラブ(柏、湘南、磐田)を除いた54クラブについての経営情報が開示された。

会見にはJリーグ窪田慎二理事、 鈴木德昭クラブ経営本部本部長、クラブライセンス事務局 クラブライセンスマネージャーの大城亨太氏がが出席し、大城氏が概要の説明を行った。
会見でのコメントを追いながら、今回から数回に分けて2021年度の経営情報開示(先行発表)を見ていきたい。

Jリーグ公式サイトでは、クラブ別経営情報先行発表の資料が公開されています。
2021年度 クラブ決算一覧(先行発表)(PDF)
クラブ経営情報開示資料(先行発表/2022.5.26現在(PDF)

 


○大城亨太 クラブライセンスマネージャー
「2021シーズンは東京オリンピックというスポーツ界のビッグイベントがありました。ただJリーグの運営という意味では、緊急事態宣言が長く続く地域も多く、入場者数も100%入れられない状況で、経営面では厳しいことも多いシーズンでした。

まず初めに今回の概要ですが、2021シーズンのJ1からJ3クラブの全57クラブのうち3月決算クラブを除いた54クラブの経営情報を開示させていただきます。全クラブの経営情報については7月に開示させていただく予定です。
例年この2段階発表を実施する背景ですが、1つ目はJリーグおよびクラブをサポートしていただいている皆様に迅速に情報提供を行うため、もう一つはクラブライセンス制度の透明性・公平性を担保するためです。

まず初めに全体のトピックスをお伝えしたいと思います。


1点目、営業収益は54クラブ合計で1,147億円となりまして、115%の成長率となりました。全体としてコロナ前の19年と比較すると93%ということで45クラブが増収となり、全体としてコロナ前の規模に戻りつつあると評価しています。ただ入場料収入については制限がかかっていて前年度比では高い成長率になりますが、コロナ前と比較するとまだ53%までしか戻ってきていないという状況です。

2点目、営業費用は54クラブ合計で1,204億円となり、営業収益と同様にコロナ前の規模に戻りつつあります。(19年度対比97%、20年度対比105%)。またチーム人件費についてはコロナ禍においても横ばいで推移しています。

3点目、単年度赤字のクラブは20クラブで昨年度(34クラブ)より大きく減少しました。。債務超過のクラブは10クラブ(20年度は10クラブ)で横ばいでした。ただし、現時点で経営の継続(資金繰り)が困難に陥っているクラブは存在していません。
厳しい状況は続いていますが、コロナ前の状況に戻りつつあるのが全体感です。

こちらが営業収益の内訳の棒グラフです。
青が2019年度、赤が2020年度、緑が今回の2021年度です。

スポンサー収入やその他収入を見ていただくと、2020年度に落ち込んだ部分は2021年度に盛り返してくれている状況ですが、先ほども申し上げたように入場料収入についてはまだ青色の2019年の水準には戻ってきていません。

営業費用については、先ほど申し上げたようにチーム人件費はコロナ禍においても横ばいで推移して今年も微増という形になっています。あとは試合関連経費やチーム運営経費については、収入と同じくコロナ禍で少し落ち込んでいたものが戻ってきている状況です。

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