「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

FW 9 工藤壮人 特別インタビュー 「後半戦は、攻撃でよりインパクトを残す」

いよいよ再開する後半戦。柏レイソルの浮沈の鍵を握るのは、やはりエース・工藤壮人になるだろう。今回は、韓国キャンプで全南ドラゴンズとの練習試合を終えた後に行ったショートインタビューをお届する。

(取材日:6月24日)

 

―ここまで韓国キャンプも1週間が過ぎました。ここまでの出来や仕上がり具合はいかがですか?

「韓国キャンプに来る前に、柏で走り込みを3日ぐらいやって、こっちに来てからは戦術的な練習を中心にやっています。前半戦に詰めていけなかったこと、後半戦に向けて必要なことを確認できていると思いますし、こういう環境の方が集中できているので、非常に良い状態できていますね」

―全南ドラゴンズとの練習試合は内容と結果が伴い、スムーズな攻撃ができていました。

「相手は比較的パワーで押してくるチームでしたけど、僕たちは下でパスをつなぎながら、攻撃のチャンスを窺い、欲を言えばもう少し前半で2点、3点と畳み掛ける攻撃ができればよかったです。でも崩せてゴールを取れたのは収穫ですし、監督が話しているセンターフォワード+シャドーの2枚、その3枚での崩し方、コンビネーション、そこでのパス交換はもっと増やしていかなければいけないと、今日の試合をやりながらも感じていました。でも守備面はチームとして整理ができていますし、ブロックを作った中で誰がボールホルダーに対してプレッシャーを掛けるのか、誰がカバーをするのか、そういう動きは非常にスムーズにできたと思います。今日の試合は後ろの選手もラインを高くして、よりコンパクトな陣形で守備ができていたので、そこからどう攻撃につなげていくか。また後半戦の開幕に向けて、練習試合や天皇杯を通じて、うまくチームで消化していきたいと思います」

―攻撃陣の間でコミュニケーションは?

「(狩野)健太君は2本目にも出場したので話せませんでしたけど、レアンドロとは話しました。多少、まだ前線の3人の距離が遠い時があるので、もっと近い距離でパス交換をするとか、そういうところはどの選手も感じています。そこは共通意識、共通理解を深めていきたいです。前半戦もできていた部分もあれば、できなかった部分もありましたから、そこまで攻撃ができていないと重く捉える必要はないですけど、感覚的に攻撃の成功回数を増やしていったり、公式戦で勇気を持ってトライすることはリスクもあるので、練習試合のような失敗してもOKな状況の時に、どんどんトライと失敗を繰り返していくつもりです」

―工藤選手自身は、個人的にどういうところを中断期間に高めていこうと考えていますか?

「前半戦はチームのバランスを考えたというものあって、僕が前に出ていくことによってチームの攻撃の厚みが増すことはできませんでした。なかなか守備に追われる場面が多くて、攻撃に出ていくパワーを出すのが難しかったり、その葛藤は難しいところがありましたけど、後半戦は、もちろんチームの戦術で守備は大事でも、より攻撃でインパクト残したり、ポジショニング、動き出し、最後にフィニッシュに絡むプレーをより意識していかなければいけないと思っていますね」

―実際にキャンプを通じて、その部分はできていますか?

「監督も、『後ろを気にし過ぎず、自分が出ていけると思ったら出ていけ』と、より攻撃的に行けと言ってくれているので、(高山)薫君、(鈴木)大輔、バラ(茨田陽生)、右サイドの選手たちが僕を前へ前へ押し出そうとしてくれるのは感じています。そこは僕としては助けられていますし、前に押し出してくれた分、結果を残さなければいけないです。後半戦は前半戦より前で仕事ができるような形が作れる手応えは感じています」

―後半戦のゴール数など、具体的な数字は?

「最低限、シーズンで二桁ゴールはクリアしたいですね。僕自身チームの中でPKを蹴れるような立ち位置にいるわけではないので、流れの中からゴールを取るというところにはより執着してプレーしていますし、前半戦の3点というのは、チームの事情があったにしても少なかった。後半戦はいろいろな人の期待を背負っているのは感じていますから、それをプレーに移して、最低限二桁をクリアすればチームもタイトルに近づくと思うので、そこは早めにクリアできるようにやっていきたいです」

―現在、クラブ記録のJ1最多ゴールは北嶋秀朗の52。工藤選手が今季二桁に乗せれば49を越えることになり、歴代最多も射程圏に入ります。

「キタジさん(北嶋)の記録、存在というものは、僕自身も乗り越えなければいけないと思っています。チームにとっての存在感では、僕自身簡単に越えられるとは思っていませんが、記録のところでは目標を持つのは大事だし、シーズンの日本人最多記録も去年更新して、一つひとつ自分ができることをしていけば、自ずと結果は付いてくると思います。また、そうやって素晴らしい記録に対して挑戦する権利も得ているので、1試合1点とは言わず複数得点できるように、そういう気持ちを持っていればチームも自然とタイトルに近づくでしょうから、そういう意識は常に持っていたいと思います」

―ここ数年は毎年タイトルを獲ってきました。工藤選手の言葉を聞いていると、やはりそこへの執着心が強いと感じます。

「選手だけじゃなく、サポーターも最低1つは毎年何かタイトルを獲るという目標を持っているでしょうし、もうレイソルは残留が目標のチームではありません。サポーターに毎年タイトルを期待されるのは嬉しいプレッシャーです。そのプレッシャーを楽しみながら、タイトルを獲る・獲らないに限らず、トーナメントならば準決勝や決勝まで勝ち進んだり、リーグならば最後まで優勝を争う2、3チームに入る。今はそういうチームだと思っているので、それを毎年続けていかなければいけないとは思いますね」

―後半戦は、どのような試合を見せていきたいと思っていますか?

「前半戦では守備陣が0に抑えて、1-0で勝つという試合が多かったですが、前の選手がゴールを決めて3点を取ったり、1人じゃなくて前線の選手が揃って点を取るとか、複数のゴールを奪って勝利を手にするという試合を、後半戦は見せていきたいと思います」

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