「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【ユース年代有力選手紹介】 浮田健誠(柏レイソルU-18) (2014/09/15)

U-18プレミアリーグ第13節のJFAアカデミー福島戦で1得点1アシスト。1-1で迎えた81分に、チームに首位返り咲きをもたらす貴重な決勝弾を挙げた。文句なしにこの試合のマン・オブ・ザ・マッチだ。

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184センチ、77キロ。この数字が示す通り、浮田健誠は恵まれた体格を持つ。今年の春先に2学年上の先輩、中谷進之介に浮田の特徴を聞いたところ、彼は一言「パワフルです」と答えた。

そのパワフルな面は、JFAアカデミー戦でもふんだんに発揮されていた。CBを背負った状態でもがっしりと受け止め、味方からの縦パスを収めて、効果的なポストプレーで空いている味方に散らすか、さらに今回際立っていたのは機を見て自ら体を反転させて前を向くターンだ。1得点1アシストという数字以外にも、このポストプレーが柏U-18の攻撃に大きなアクセントを加えた。その一連のプレーについて、キャプテンの中山雄太は「まるでイブラヒモビッチみたいだった」と評価を与えた。

柏U-18のエースストライカーと言えば、現在2種登録選手で、トップチームの天皇杯でゴールを決めた大島康樹の名が挙がる。その大島がトップに帯同して練習参加のみならず、Jリーグの遠征にも向かう機会が増えたことで、U-18の練習では、1トップを浮田が務めるケースが多くなった。そういった経緯もあり、夏場過ぎから浮田はメキメキと実力を伸ばし始めた。このJFAアカデミー戦では、大島がU-18に戻り、スタメンで使えた状況だったが、下平隆宏監督は「健誠が伸びてきているので、ここでスタメンで使った」と起用の意図を述べた。その監督の期待に応える素晴らしい活躍だった。

 

一方で、浮田自身にスタメンの気負いはなかった。

「自分はスタメンでも途中からでも、常にベストを尽くすことを考えています。今日も気持ちはぶれずにいつもどおりできました」

ただ、最近の2連敗、札幌U-18戦と流通経済大柏戦でノーゴールで、FWとしてチームの力になれなかったことについては責任を感じていた。スタメンの気負いはなかったが、ゴールは貪欲に求める。神経を研ぎ澄ませ、非常に良いテンションでJFAアカデミー戦を迎えたように思える。その証拠に、決まってもおかしくない惜しいシュートがGKやバーに何度か阻まれても、気持ちが切れることはなかった。「シュートは多く打てていたので、打っていれば入ると思っていた」とチャンスを狙い続けた。

シュート数が増えた理由も、練習からその意識を持って取り組んでいるからだ。「打てば相手に当たったりして入ることもある」。そういう意識の変化が、下平監督の話した「最近伸びてきた」という言葉と見事にリンクする。81分に見せたニアを射抜いた豪快な左足のシュートは浮田の真骨頂である。

パワフルなシュートが最大の魅力だが、ポストプレーでの繊細さや、前からの積極的な守備でも存在感を見せ始めている。この2年生の大型ストライカーの台頭は、エースの大島にも刺激を与えるだろうし、今後柏U-18が勝ち進む上でも、このストライカーの熾烈な争いはチーム内の活性化を促し、非常に良い循環を生み出そうとしている。

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