「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【ユース年代有力選手紹介】 会津雄生(柏レイソルU-18) (2014/09/29)

U-18プレミアリーグEASTの東京Vユース戦で見せた70分の決勝弾は、浮田健誠が前を向いた瞬間に「シュートを打つのは感じていた」と、GKが弾くことを予想してこぼれ球を詰めるアクションを起こした。こぼれてくるかどうか分からない。しかし“その時”を信じてゴール前へ飛び込んだプレーが、「初優勝王手」を決める重要な試合での決勝弾を生んだのだ。信じてあそこまで走り込む献身性がなければ、一連の場面は浮田の豪快なシュートを止めたGKの「ファインセーブ」で終わっていただろう。それほど、試合の流れを左右する大きな局面だった。

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会津雄生は、5月に大島康樹や中山雄太とともに2種登録された1人。瞬間的なアジリティーとテクニックをベースに敵陣深くで見せる切れ味、そしてゴールに絡む感覚が持ち味ではある。ただ、会津のストロングポイントはそれだけではない。

「守備の部分でも自分は運動量があって、そこはストロングだと思っています。ディフェンスもしっかりして、ボールを奪って、左サイドから攻撃が始まっていけばと思っています」

そう話すように、東京V戦でも豊富な運動量をベースに上下動を繰り返し、下がって守備をしながらも、チャンスと見るや高い位置取りをして味方からのパスを受けて攻撃へと転じる。今回も、試合を通じて見せた彼の献身性は際立っていた。そして、その意識を持ち続けたからこそ、あの決勝点は生まれた。冒頭でも触れたように、こぼれてくるかどうかも分からない局面でも、こぼれてくることを信じてゴール前へ飛び込んだ。

下平隆宏監督も「自分が持っているプレースタイルを全面的に出してくれるようになった。チームを活性化させてくれる存在で、助かっている」と、高い評価を与えた。

だが、殊勲の決勝弾にも、会津はしっかりと足元を見据える。

「周りのチームは気にしない。僕たちは勝ち点3を積み重ねるだけ。1試合1試合を全力で戦っていこうと思う」

昨年は、プリンスリーグ関東で終盤戦まで首位を快走しながら、土壇場で前橋育英に優勝を明け渡した。あの時に味わった“悔しさ”は、“経験”として「今に生きている」という。だからこそ、「周りのチームは気にしない。自分たちが、自分たちのサッカーをして勝ち点を稼ぐだけ」と、相手がどうこうではなく、優勝は自分たち次第という意識を貫く。

 

優勝に王手をかけた次節も、会津はぶれずに目の前の1試合を全力で戦うだろう。その積み重ねが、最終的にチャンピオンシップ制覇につながる。

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