「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【ユース年代有力選手紹介】 熊川翔(柏レイソルU-18) (2014/10/28)

決勝トーナメント進出のためには大量得点が必要とされたJユースカップ予選リーグの群馬U-18戦では、右サイドでのアグレッシブな攻め上がりが際立っていた。この日、柏U-18が挙げた4ゴールのうち、1ゴール2アシストと3ゴールに絡む活躍でマン・オブ・ザ・マッチ級の働きを見せた。

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熊川翔は、以前にこちらで紹介した浮田健誠、伊藤達哉と同じ2年生である。昨年の時点ですでに何度か出場機会を掴んでおり、今年は不動の右SBとして定着している。縦のユニットを組む中盤右サイドの選手にボールが収まった時が、熊川の真骨頂だ。ボールを収める味方選手の前方に広がるスペースを見つけると、後方からスピードに乗って味方を追い越し、ダイナミックなオーバーラップと鋭利なクロスでチャンスを創出する。

熊川と初めて話したのは3年前のU-15時代、彼が中学3年生の時だった。当時の熊川は、右SBとしてイメージする選手として、迷わず柏アカデミーの大先輩で、2011年当時はトップチームの右サイドを駆け上がっていた酒井宏樹(現ハノーファー96)の名を挙げた。もちろん、それは今でも変わらない。

「クロスに関しては酒井君を一番意識してやっています」

そう話すとおり、敵陣の深い位置へ駆け上がり、そこから放たれる鋭利なクロスは、現在の柏U-18の多彩な攻撃の中でも大きな得点源である。右サイドでユニットを組む白川恵士朗、この群馬戦では伊藤と組んだが、その連携でサイドでの数的優位を作り出すと、熊川のスピードはマーカーを置き去りにして、相手の守備組織に穴を空ける。

そしてもう1人、彼が目標としているのがバルセロナのダニエウ・アウベスだ。酒井、アウベス、この名前が挙がるだけで、熊川がいかにアグレッシブな右SBであるかが分かると思う。この日は1トップに浮田が入ったため、「ニアを意識してクロスを送りました」と言う一方で、大島康樹が入った場合は、「シマ(大島)はゴール前で駆け引きをしてくれるんで、そこに合わせることをイメージしています」と、FWのタイプに応じてクロスの質やタイミングを使い分けができる。

 

本人が言うには課題は「まだまだいっぱいある」とのこと。具体的にはオーバーラップのタイミングの改善や、さらにもっと克服が必要とされるのが彼自身も感じている守備の部分だ。

「今日もカウンターを受けた時に入れ替わってしまいました。そういうところで潰せれば、相手のカウンターを防げました。もっと1対1の対応を良くしなければいけないと思います」

まだ2年生、伸びしろはふんだんにある。それに1ゴール2アシストという活躍した部分だけに目を向けるのではなく、しっかりと自分自身の課題を認識している点は、彼の持つ向上心の表れだろう。決勝トーナメントに進出したJユースカップ、佳境を迎え優勝目前のプレミアリーグ、そしてその先のチャンピオンシップで柏U-18の試合を観戦する時は、右サイドを疾走する背番号2に注目だ。

Text by 鈴木潤

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