「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【レビュー】 「柏がプレミアリーグEASTを制する!」 U-18プレミアリーグ第17節 柏レイソルU-18 vs 青森山田 (2014/12/01)

11月30日 U-18プレミアリーグEAST第17節

柏U-18 0-0 青森山田

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柏U-18

GK1木村真、DF2熊川翔、7麦倉捺木、15加藤颯人、20上島拓巳 37古賀太陽、MF4中山雄太(C)、6手塚康平、14山崎海秀、FW8会津雄生、9大島康樹

 

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青森山田

GK21廣末陸、DF2小笠原学(C)、3平松遼太郎、13北城俊幸、19常田克人、MF6霞恵介、7山下優人、8野口雄輝、FW9木戸隆生、10丹代藍人、11松木駿之助

 

前節の結果により、今節は柏が引き分け以上で優勝という条件を得たが、この試合に先立って行われた市立船橋対清水の試合で、清水が敗れたことで、試合前にはすでに柏の優勝が決まってしまったという、やや拍子抜けの展開になった。

「優勝が決まったからと言っても、今日のゲームを攻略していくことの重要性を話した」と、試合前に下平隆宏監督は伝えていたが、そういった状況が少なからず影響したのか、この試合に入り方は普段と違って足が地に着いていないようにも見受けられた。イージーなミス、軽率なボールロストが目立ち、圧力を掛ける青森山田のショートカウンターを浴びてしまう。18分には青森山田の左FKが右ポストを叩き、全体的に見ても、前半の途中までは青森山田の攻勢が目立っていた。

しばらくは左右のオープンスペースへのフィードによる打開に頼り、いつもの流れるようなパスワークが見られなかった柏。原因はパスを引き出す動きが極端に少なかったからだ。たとえ引き出したとしても周囲と連動していないため、パスが3、4本とつながっていかない。

ハーフタイムに下平監督が「相手が引いているから、サイドバックが高い位置を取りすぎると、どんどん相手は引いて崩しにくくなるから、うまく引き出す動きをしながらやっていこう」と指示を出し、後半は前半には見られなかったマークを外す動きが、前半に比べれば格段に出てきた。柏がボールを握り、青森山田を押し込む。しかし、青森山田はが4バックと両SHまでも最終ラインに降りて守備をしていたため、ゴール前にはスペースがなく、柏は大島に当てたくさびの縦パスから、麦倉捺木、山﨑海秀が受け、右サイドの熊川翔、加藤颯人、左サイドの会津雄生、古賀太陽が絡んで、青森山田の作るブロック攻略を試みるが、効果的に相手守備陣の位置を剥がせず、意図的にスペースを作れないため、最終ラインの背後を取るシーンはほとんどなかった。

66分にはドリブラーの伊藤達哉、70分にはパサーの山本健司、77分にストライカーの宇野木悠佑ら、スタメン組とは違ったテイストを持つ選手を次々と投入することで、リズムの変化を狙ったが、何かが大きく変わったということはなかった。時折発動する青森山田のボール奪取からカウンターが鋭く、ボールを握っているのは柏だが、青森山田もわずかに得点の気配を漂わせる。

この試合でも最もスタンドが沸いたのは、後半アディショナルタイム。山本が個人技で中央を突破し、ゴール前まで切れ込んで角度のないところから放ったシュートが右ポストを叩いたシーンだろうか。

全体的にシュートが少なく、90分を通じて柏が7本、青森山田が4本。柏は彼らのスタイルである「ボールを握る」という部分に関しては問題なくできていたが、「最後のところが崩しきれない。うちとしても課題が残ったゲーム」(下平監督)というように、あと一工夫が欲しい試合となった。ただ、プラスに考えれば、チャンピオンシップを前にこうした課題が噴出したのは好材料である。

「まだチャンピオンシップの前に清水戦が残っているので、そこをしっかり勝って、チャンピオンシップに向けて頑張っていきたい」

キャプテンの中山雄太がそう話す通りだ。この試合で浮かび上がったものを次節の清水戦に生かし、チャンピオンシップは万全の状態で挑んでもらいたい。

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●試合後のコメント

 

○下平隆宏監督

「青森山田の粘り強い守備に手を焼きました。攻撃している回数は多いんだけど、最後のところが崩しきれない。うちとしても課題が残ったゲームでした。パスをしっかりつないでボールを大事にしていくスタイルは今日も十分できたと思うんですが、ただ、スペースを理解する意味では、今日は全体が前がかりになりすぎて、相手を揃えた状態になってしまったので、引いた相手をわざと引き出したり、そういうスペースを駆け引きするところもやれればよかったと思います。

プレミアに昇格して、チャンピオンを目指していこうという目標をチームとして掲げて、その目標に到達できたことは満足している部分であります。リーグ戦は1年通してやっていくので、自分たちが年間を通して力を発揮しなければいけない。当然それが選手の育成にもつながるのではないかと思っていました。例えば一発勝負のトーナメントよりも、年間を通して力を発揮していくことが大事なので、優勝できてチームとして達成感はあります」

 

○4 MF 中山雄太

「まず目標としては、プレミアの1つの試合として考えて、気持ちを入れすぎないというように捉えていました。結果としては引き分けだったんですけど、課題としても自分たちのサッカーができた部分で点を取れなかったり、守備の面でもやられている部分があったので、課題もありました。今日はチャンピオンシップに向けて、1つ目標が達成できただけなので、まだ先がある中で、プレミアEASTは通過点と考えています。

今日は自分が持った時に、前半は前の動き出しがなかったり、あとは自分たちの気持ちが出ていた部分は良かったと思いますけど、1人でやろうというところがちょっと見られていたので、そういう部分でチームのつながりがなくて、そこで引き出す動きがなくて、その引き出した動きに周りが付いていかないところがあったので、そこは前半ダメでした。後半、ちょっとずつ良くなったので、今後は点につながるプレーにつなげていきたいです。まだチャンピオンシップの前に清水戦が残っているので、そこをしっかり勝って、チャンピオンシップに向けて頑張っていきたいです」

 

○9 FW 大島康樹

「自分の出来は100点満点でいうと30点ぐらい。ボールを落ちて受けることはできたけど、自分に求められることはゴールなので、そこで仕事ができなかったのは悔しいです。自分は1人でなんとかするというタイプじゃないので、ボールをはたいたらゴール前に行って、どんどん顔を出すというのを意識していたんですけど、今日はうまくいかなかったです。(麦倉)捺木と(山﨑)海秀の特徴は把握しているつもりなんですけど、その3人で崩せるようにならないとチャンスは生まれないので、もっともっとやっていかなければいけないと思います」

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