【レノファうぉっち】岡山戦でオナイウ阿道の決勝ゴールを支えたチームの連動
J2の第40節でレノファ山口はホームの岡山と一進一退の攻防を繰り広げた。均衡を破ったのはオナイウ阿道のゴール。ペナルティエリア内の左から右足で見事にゴールネットを揺らしたが、良い守備から良い攻撃に転じ、周囲が効果的に連動したことが鮮やかな決勝弾に導いた。
■布陣
岡山 3−5−2
————–金山————–
—-増田—-阿部—-喜山—–
-下口——-上田——–三村-
——–塚川——武田——–
——–仲間——赤嶺——–
山口 3−5−2
——オナイウ—山下——–
——–大崎——三幸——–
-瀬川—-ワシントン—-高木-
—-廣木—-坪井——-前—–
————-吉満—————
※大崎は先発の佐藤健太郎と交代でIN
【展開】
岡山のビルドアップで喜山康平から左の三村真に出たパスが内側にズレたところを右サイドの高木大輔が鋭く前に出てスライディングでクリア。そのボールが左前方に流れると、ボールを追うオナイウがイーブンボールを巡る阿部海大とのデュエルをする間に右横から大崎が抜け出す。
阿部がオナイウと競りながら後ろ足で蹴ったボールが大崎への絶好のパスのような形になるが、大崎は構わず縦に持ち出し、得意のドリブルでゴール方向へ仕掛けると、動き直したオナイウが左側を並走し、ともにエリア内まで侵入した状態で大崎がパスを出すと、オナイウはノートラップで右足のシュートを放ち、ゴール右隅に決めた。
【解説】
高い位置からのディフェンスを得意とする山口ですが、ここは何度か山口が攻め込んだ後に岡山がロングボールのセカンドを拾い、そこから全体を押し上げていた流れで、山口も引きながら対応していた状況でした。しかし、相手のパスが緩く、しかもズレたところを高木が逃さずに、しかもスライディングでそのまま前方に蹴り出すというアグレッシブなディフェンスで、そのまま効果的なカウンターに繋がりました。
ここからオナイウが持ち前の身体能力を発揮するわけですが、大崎が追い越してマイボールにするタイミングが見事でした。ディフェンスの阿部は事情としてはちょうどオナイウとせめぎ合っているところで大崎にかっさらわれそうだったため、なんとか後ろの味方に託そうとしたキックが弱くなり、結果として後ろ足で絶好のパスを出してしまった形でしょう。
ここでもう一人、忘れてはいけない選手がいます。オナイウと2トップを組んでいた山下敬大です。実は高木がカットする前に、出し手の喜山にプレッシャーをかけていたのが山下でした。そこから高木がスカイディングしたボールの行方を確認すると、山下はオナイウより少し遅れ気味に前方へ走り出しています。
しかし、大崎がオナイウを追い越すボールサイドには寄らず、まっすぐ中央のやや右を走ることで、ディフェンスの一人である喜山にバランスを取らせ、結果として増田繁人が一人で大崎とオナイウに対応しなければならない状況を作り出していました。
山下は約3試合のスタメンですが、前から献身的な動きをして攻撃を活性化させるとともにディフェンスでも効いていました。その象徴的なプレーがオナイウによる先制ゴールを影から演出することになったわけです。その直後に山下は従来のレギュラーである岸田和人と交代しましたが、素晴らしい仕事をしたと思います。
オナイウのフィニッシュは見事でしたが、守備から攻撃にかけてのレノファ山口らしい連動が実ったゴールでした。