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無料記事【Jうぉっち】[アルビレックス新潟]新井直人の初ゴールをお膳立てした3つのキープレー

アルビレックス新潟はフクアリでジェフユナイテッド千葉と戦い4−1で今シーズンの初勝利を飾りました。

後半アディショナルタイムに4点目を決めたのは新井直人。今年2月9日に加入が発表された22歳のルーキーはセンターバックで先発し、後半38分に柳育崇が投入されたことによりポジションを中盤に上げていました。

新井のフィニッシュも素晴らしかったですが、そのゴールを助けた3つのキープレーがありました。

①カウエ&加藤大の粘り強いボールキープ

②渡邉新太の判断の切り替え

③矢野貴章のポジショニング

これらのキープレーが新井のクレバーなビジョンとかみ合わさった結果のゴールだったと言えます。

後半44分に矢野貴章のゴールで新潟が3−1とリードしましたが、ジェフも諦めることなく攻撃を仕掛けたことで、4分間の後半アディショナルタイムは両者のめまぐるしい攻防が展開されました。

アディショナルタイム4分が回ったところで生まれた新井のゴールにつながるチャンスもそうした目まぐるしい展開から生まれます。相手のロングボールをセンターバックの大武峻が、パワープレーで前線に上がっていたDF増嶋と競り合いながら跳ね返すとボールを中盤でカウエが拾いますが、ジェフの小島がプレッシャーをかけて来ました。

カウエが小島を半身で押さえながら、なんとか左サイドにパスを出すと、左サイドハーフにポジションを替えていた加藤大が後ろを向いてボールをおさめます。そこに田坂が背後から猛然と襲いかかりボールを奪いにかかりました。加藤がバランスを崩しながらも粘り強くキープしてボールを前に掻き出すと、前線から渡邉新太が素早く下がってボールを拾います。

ここから中盤の右に出た新井が渡邉からパスを受け、二人のディフェンスを引きつけながら右オープンスペースの戸嶋祥郎に展開。フリーで前を向く戸嶋に対して左サイドバックの乾がチェックに来ますが、それによりインサイドにスペースが生じます。

新井は逃さずスペースに侵入しようとしますが、もう一人同時にそのスペースを狙っていた選手がいました。渡邉新太です。一度は彼も新井と同じスペースに入ろうとしますが、新井の動きを確認するとすぐに切り替え、手前に引いて戸嶋からパスを呼び込みます。

ボールを受けた渡邉新太が前を向いた時点では新井はディフェンスの裏に出ていましたが、オンサイドに一瞬引いてから飛び出して渡邉新太のスルーパスを受け、右足でニアハイを打ち抜きました。ここでポイントになったのは新井のポジションです。

実は渡邉新太からパスが出た時点で新井はボールサイドにいたディフェンスのエベルトと堀米より前でした。それでもオフサイドポジションにならなかったのはファーサイドで矢野貴章が熊谷アンドリューと田坂に対峙することで、ニアサイドと段差を作っていたためです。

矢野としては必ずしも新井に決めさせるためにそのポジションを取っていた訳ではないかもしれませんが、ラストパスの選択肢として相手に警戒させることで相手のディフェンスを分散させ、同時に新井がオフサイドにならない段差を提供していたのです。

新井選手の記念すべき初ゴールはチームのビジョンと献身が結実した見事なゴールでした。

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