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無料記事【ACLうぉっち】[サンフレッチェ広島]失点シーン検証。なぜサンフレッチェのディフェンスは広州恒大に崩されたのか

サンフレッチェ広島は広州恒大のACL開幕戦に挑み、0−2で敗れました。

前半19分に見事なコンビネーションから先制点を決められ、さらにセットプレーから追加点を与えてからは良いプレーも見られましたが、ACLに戦い慣れた広州恒大のゲームコントロールで無難に逃げ切られてしまった感もあります。

広州恒大の先制点に繋がったコンビネーションはサンフレッチェの”5バック”を効果的に崩した形で、5バックの崩し方の教科書のようであり、サンフレッチェ側からすれば注意して行くべき形です。特に4ー3ー3のチームは要注意でしょう。

センターバックのパク・ジスからアンカーの何超がボールを受け、左サイドバックの李学鵬に渡ります。この時点で皆川がパク・ジスを深追いしないまでも、何超にプレッシャーはかけたかったところです。

それにより李学鵬がスムーズにボールを受けて前を向き、一気に縦のギアを上げたために右シャドーの渡大生のスライドも遅れてしまいました。

5バック気味に守るというのは2シャドーが状況に応じて本来はサイドハーフやウィングバックが対応できるエリアも柔軟にカバーできないとうまく成り立ちません。しかし、このシーンではアンカーの何超に全くプレッシャーがかからなかったことで、渡も後ろで中央に備えなければならず、サイドラインの持ち上がりを許す結果となりました。

この中盤のサイドエリアを使われても後ろに5枚いるのだから十分に対応できるとイメージされやすいと思いますが、この時の広州恒大はそのエリアで左サイドバックがボールを持つことで、左ウィングの于漢超と左インサイドハーフのパウリーニョが同サイドの前方で崩しに関与できるわけです。

ここで非常に厄介な動きをしてきたのが百戦錬磨のブラジル代表MFパウリーニョでした。サンフレッチェの右ウィングバック(自陣での守備時は事実上の右サイドバック)の森島司と右センターバックの荒木隼人の間に斜めから入り込むことで二人を下げさせてスペースを作り、そこに少しタイム差を付けて左から于漢超が斜めに飛び出します。

この間にボールホルダーの李学鵬は渡を斜め右に破り、一度パウリーニョに下げさせられた荒木をもう一度引き出すことで、森島とのギャップを作りました。そこからタイミングよく森島と荒木の間を抜ける于漢超にスルーパスを通します。

その先にはリベロの井林章が入りますが、その井林と左センターバックの清水航平の距離が空いたところにセンターFWのガオリンが走り込み、清水がガオリンに厳しく付きに行くことで、空いた背後のスペースにもう一人のFWタリスカが飛び込んできました。

ここで于漢超がグラウンダーのボールを蹴ってくれたらサンフレッチェのディフェンスもなんとか対応できた可能性はありますが、浮き球のボールを長身のタリスカに合わされたことで為すすべがない状況になってしまいました。

GKの中林洋次も一度ニアを消してから瞬時に移動してタリスカのヘディングシュートを防ごうとしますが、タリスカに打たれたコース的にもGKにはほぼノーチャンスだったと言えます。

さて、ここまで全く触れていないボランチの松本と和田ですが、皆川が前線からケアしなかった中央に意識を向けていたため、サイドにも後ろにも参加できないままゴールまで行かれてしまいました。皆川としては前線でバランスを取る意図があったかもしれませんが、メカニズムとしては彼のところからズレが始まったのは明らかです。

アンカーの何超がボールを持った時にパウリーニョが二人の間をすっと離れて行きましたが、そこから李学鵬に渡った時に、松本は何超にリターンされた場合に備えてステイしており、一方の和田は中央のスペースを埋めていました。

もう少しサイドラインにプレッシャーがかかっていれば、和田も全力で下がれば最終ラインのカバーに入れたかもしれませんが、あまりにスムーズに持って行かれたため、ここは誰がボランチであれ、最後のところに参加することは難しかったかもしれません。

90分あれば特にディフェンスが間延びしやすい後半にはこうした現象が起きがちですが、前半19分という比較的早い時間帯にやられてしまったことはサンフレッチェの課題で、そこから正確に崩してきた広州恒大の狙いもクオリティもさすがでした。

現在のサンフレッチェはディフェンス時も位置や相手との関係、時間帯などで、両アウトサイドのポジショニングにより3バックと5バックを可変させていると思いますが、後ろ3枚には3枚の、5枚には5枚のメカニズムがあり、ケアするべきポイントも変わってきます。

5枚にした時は2シャドーがサイドエリアをケアするべきで、ただそのためには1トップの選手が中央のボールホルダーをチェックして行く仕事をサボらずやることが必要だと思います。その上でサイドを破られた時に後ろの選手と2枚のボランチがどう連動して対応するべきかを検証整理する機会になるのではないかと思います。

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