今夏のJリーグ移籍市場の深層をベテラン代理人が明かす(J論)

カワジうぉっち

【マリノスうぉっち】ポゼッションのベースは整ってきている。さらなる飛躍の鍵は機を見たカウンター

アンジェ・ポステコグルー監督が横浜F・マリノスの監督に就任して2年目。ここまで9試合を終えて4勝3分2敗の8位とまずまずの序盤戦を送っています。

もちろんリーグタイトルまで考えれば物足りない部分もありますが、終盤戦まで残留争いをしていた昨年よりは格段に安定度が高まっており、新戦力が軒並み活躍していることで従来の主力も厳しい競争を強いられるなど、特定のポジションに怪我人が多いことを差し引いても、選手層が厚くなっていることは間違いありません。

2017年まで3年間マリノスを率いたエリク・モンバエルツ前監督は欧州スタンダードの戦術を植え付けました。高い位置からブロックを組んでコンパクトにボールを奪う守備戦術やポジショナルプレーの原則であるメインテイン・ポジションの考え方、連動性のあるカウンターなどです。

仮にモンバエルツ監督が4年目もそのまま率いたら成績面で昨年を上回っていたことはほぼ間違いないでしょう。しかし、マリノスはさらなる進化を目指して大きくかじを切ります。ブラジルW杯からロシアW杯の最終予選までオーストラリア代表を率いたポステコグルー監督は”いい守備からいい攻撃”という前任者の戦い方から”アタッキングフットボール”に大きくシフトしました。

まず形から入ったこともあり、高すぎるライン設定やGKのポジショニング、”偽サイドバック”のポジションにこだわりすぎるなど、革新的なスタイルは格好のスカウティングの標的ともなりましたが、相手を見ながらスペースを見つけていくポステコグルー監督の指導が徐々に身を結び、固定的なスタイルの中でも状況に応じたディフェンスや攻撃の形を選手間で共有することにより、目に見える欠点も解消されて行きました。

飛躍を目指す今シーズンはビルドアップ能力の高い畠中槙乃輔が最終ラインの主力に定着し、三好康児やマルコス・ジュニオールといった個人でも違いを生み出せるタレントをチームにうまく組み込んだことで局面の打開力を高めたことに加えて、新たに10番を背負う天野純がゲームコントロールを担い、アンカーの喜田拓也とともにバランスワークを買って出たことで、ボールを保持しながらゴールを目指すスタイルを変えることなくリスク管理やセカンドボールの回収を維持することができています。

ここまでボール保持率は9試合の平均で60.2%で、全ての試合で相手を上回っており、シュート数も15.9本を記録している一方で、相手には10.6本しか打たれていません。しかしながら13得点12失点という結果はまだまだ改善の余地があることを示していることは確かです。

もちろん高い位置で攻めているところからの精度やボールを失った瞬間のディフェンスなどさらに高めていく必要がありますが、昨シーズンから継続的に取り組んでいる部分が今季中に飛躍的に向上することは困難です。特に夏場ともなればインテンシティーは落ちていくので、ボールを持つわりに運動量が多いマリノスのスタイルを考えると、さらなる強みにしていくことは難しいと思います。

そこで飛躍のカギになるのはカウンターです。攻撃面の変革にトライしていた昨シーズンはポステコグルー監督がカウンターに着手しなかったのは妥当な判断だと思います。ベースを組み上げている時に別の要素まで入れようとすると、方向性がセットバックされてしまうからです。

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