サッカーの羅針盤

【柏レイソル】他サポも注目!仙台戦に見るゴールのメカニズム

ここまで18得点をあげている柏レイソル。そのうちの8得点を叩き出している”怪物”オルンガに注目は集まりますが、そのオルンガを攻撃の頂点として、しっかりと崩しのビジョンを共有して、選手たちが実行できていることがベースにあります。

しかもオルンガを筆頭に一人一人の個性が強く、まさしく組織と個人の融合を示しています。前節ベガルタ仙台との試合ではレイソルの本領が発揮される形で5ー1の勝利につながりました。

「フットボールチャンネル」で「柏レイソル、オルンガが止まらない! 個人能力だけではない、得点量産の理由」と言う記事を寄稿しましたが、オルンガの3得点を含む5得点がどのように生まれたのかを整理して、レイソルの得点が生まれるメカニズムを解析したいと思います。

今シーズンのレイソルは4ー2ー3ー1をベースに、4ー1ー4ー1や3ー4ー1ー2も使いますが、基本はオルンガを1トップに左右のサイドハーフがワイドに張って、中盤の三角形が細かく可変するような形です。攻撃時には左右のサイドをウィングエリアに上げて、マリノスのような前線が幅を取る4ー2ー1ー3になることもあれば左右のサイドハーフが中に絞って、サイドバックを高めの位置に上げ、擬似的な3ー4ー2ー1になることもあります。

大事なのはそう言った形の変化にどういう意図があるか。”ネルシーニョはクラシカルなスタイルで、そこに試合途中から選手交代などで変化を加えてくる”と言ったイメージは一旦捨てて現在のレイソルを見直した方がいいかもしれません。そもそもネルシーニョ監督というのは自分の戦術をメディアに対してもあんまり具体的に語る監督ではないので、ピッチの減少を見極めるしかないと思います。

何れにしてもレイソルのベースは質の高いアタッカー陣にあります。オルンガ、江坂任、クリスティアーノ、瀬川祐輔に加えて神谷優太、仲間隼斗、呉屋大翔が台頭し、今のところ分かりやすい結果は出ていませんがマテウス・サヴィオもいます。ただ、彼らが単に局面で個人能力を発揮するだけでなく、しっかりチームのビジョンやユニットとしての狙い、さらにスペースを作り、使うと言ったことの共有により多くのゴールチャンスが生まれていることは軽視できません。

そうした視点からベガルタ戦の5つのゴールを整理しました。

前半20分 仲間隼斗(←江坂任)

カウンターからの得点。前線からオルンガ、さらに中盤で大谷秀和がプレッシャーをかけて、ベガルタの強引な縦パスを右サイドバックからやや中に絞っていた古賀太陽がカットすると、そのまま縦に入ったボールをオルンガが金正也の背後からのチェックを受けながらも左手前の江坂につなぐ。

右サイドの神谷はディフェンスの流れで相手の左サイド柳貴博とともに自陣よりでボールサイドから消えており、広い意味での3対3という局面だった。

ベガルタは残ったセンターバックの吉野恭平が構えて柏の攻撃を遅らせようとする。その間に金正也が最終ラインの守備に復帰しようとするが、左サイドから仲間隼斗が斜めのランニングで、江坂に正対する吉野の脇を狙ってダッシュ。しかも、直線ではなく弧を描くような”オブリック・ランニング”で吉野の視野外から裏を狙う。

そこにベガルタの右サイドバック蜂須賀孝治が遅れ気味に外から並走してくるが、江坂がタイミングよく吉野と金正也の間を通す右足の浮き球パスを送り、転々としたボールを仲間は勢いのままスライディングシュートでGK小畑裕馬の逆を突いてゴール左に決めた。

江坂のパスはちょうど自分が引き付けた二人のディフェンスの背後、しかも走りこむ仲間が蜂須賀のブロックより先にフィニッシュできるポイントにボールを出したところで勝負有りだが、柏ボールになってからオルンガ、江坂、仲間に渡る流れに一切の無駄がなく、ベガルタに立て直す隙を与えなかった。

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