【フクロウの時報】祝ミシャJ1通算200勝達成。杉浦大輔通訳兼コーチが語るミシャのこと <後編>
10月24日(土)札幌ドームで横浜FCに3-0で勝利し、ミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督はJ1通算200勝を達成した。
外国人監督では初という偉業。試合後には選手・スタッフが200勝記念Tシャツを着て記念撮影。
杉浦大輔コーチはミシャと腕を組み、微笑みながら写真に収まった。
2006年から、あるときは女房役、あるときは仕事のパートナー、あるときは息子のような存在としてミシャと毎日行動を共にし、互いを知り尽くした杉浦コーチ。
ミシャの63歳の誕生日には、広島でのスタートから、浦和時代、札幌での今など、これまでの15シーズンを振り返り「こんなこともあったね、あんなこともあったね」とふたりで思い出を語り合ったという。
「深いところでお互いしっかりと信頼し合って仕事をしているなと思う」とミシャとの関係を語る杉浦コーチ。
見るものを魅了する攻撃的なサッカーで、広島、浦和、札幌の3クラブ15シーズン走り続けてきた中での200勝達成の節目に、常にミシャの隣で仕事をしてきた杉浦コーチの言葉の数々をお届けする。
Q、今シーズン、なかなか勝てない時期に監督と話していたことは?
「我慢の時期だねと、常に話してきた。
やっていることには間違いがない。結果は遅かれ早かれついてくるというのは、監督も僕もよくわかっている中で、勝てないと監督ももちろんイライラもするし、周りに対して申し訳ない気持ちも出てくる。
ただ、どこかで割り切らないと得られるものもない中で、今年はこういうシーズン、僕らはこのシーズンをいかにムダにせず、この先に繋げていけるか。それを考えた上での今シーズンの戦い方。
1番は、選手の個の能力が伸びていくということ。
試合中、一対一の局面が多い戦いで選手が非常に伸びている。
戦い方としても、世界のトレンドがそういう傾向になっている中で、自分たちも、もう一歩、変化を加えていかないと、という思いの中での戦い方。
若い選手を積極的に起用する中で、勝敗という部分では、勝ちに恵まれない試合が多かった。
ただ、僕らは、勝ち負けだけに一喜一憂してはいけないという思いがあった。
そこは頑として曲げないのがミシャだということを僕もよく知っているし、戦い方を変えることなくやり続けているというのが今シーズンだと思う」
Q、監督の人間的な強さについて感じることは?
「これをやりきる、と決めたときの監督の覚悟はものすごく強いものがある。
そう決めたときの監督は、物事の核心を必ずついてくる。
それでダメならしょうがない、俺が辞めればいいだけだ、そういう覚悟でいつもやってる。
その強さは、あまり他に類がないくらい芯に強さのある監督だと思う」
Q、この先、目指す戦いは?
「常に、他のチームの一歩先をいくサッカーをするのがミシャだし、ミシャのチームだと思う。
今年の継続の中で、いかに安定した戦いをしていけるのかが、来年だと思う。
もちろん、若い選手たちが多い中で、まだまだ若い選手たちが育つ過程で監督が我慢しなければならない部分が多くあると思う。
今年から来年にかけて、その選手たちの成長とチームの安定感が、来年は必要になってくる。その中で、他のチームに差をつけていくために今があると思っている。
監督のサッカーはトータルフットボール。
全員守備・全員攻撃、それが今後も継続すると思う。
その中で、選手のトータル的な能力が上がらなければいけないと思う。
もっともっとチームとしてやるべきことを整理し、その中で、もっと選手個人が自分の能力を上げていかなきゃいけない。
よりアグレッシブに、より攻撃的に、というのを今後も継続してやっていくと思うし、あとは、Jリーグの中で上位を争うところで戦っていきたいと強く願う」
Q、練習や試合以外で監督とのコミュニケーションはどれくらいしているか?
「ふたりで話すのは、行き帰りの車の中と試合前後に監督の家でコーヒーを飲む時ぐらい。
あとは、トレーニングやミーティングが終わって監督を家に送り届けたあと、あった出来事を報告するというのを必ず毎晩やっている。
メディアに何が出ているのか、メディカルからの報告、コロナの新規感染者は何人か、そういうのも含めて、毎日必ず電話する」
Q、コーチと通訳を兼任するメリットと難しさは?
「メリットは、通訳という立場だけだと選手と突っ込んで話をすることはできないと思うが、コーチを兼任してると、監督とも普段の戦術的な話やチームについての話をするし、選手により深くアプローチできる。
たまに僕と監督でサッカーを見るときに意見が割れる時がある。
そういう時は、コーチとしての立場はあるけれども、あんまり言い過ぎないようにするとか、そういう調整の仕方をする。デメリットがあるとしたら、そういうところかもしれない」
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