「川崎フットボールアディクト」

【インタビュー】WSW・田中裕介「高卒ルーキーの気持ちで、ガツガツと」前編

1月13日にハワイでの自主トレから帰国した田中裕介は、その翌日の14日に成田空港から新天地へと旅だった。契約を満了したフロンターレから田中裕介が新たに選んだ移籍先は、オーストラリアのウエスタンシドニーワンダラーズである。

今回は出国前の田中裕介と、その代理人である大野祐介氏のお二人に、この移籍に関する質問に答えてもらった。
取材日 1月14日 成田空港にて

田中裕介選手
大野祐介代理人

 

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■契約上は、どの試合でも出場可能。あとは外国人枠がの問題

――移籍の経緯はどういうものだったのでしょうか?
大野氏
田中選手は、Jリーグでは名前も実績もあり、J1でもちろん十分やれる。その一方で、昨シーズンは風間監督に使われない時期が少しあり、彼(田中裕介)自身も悩んでいる感じもあり、僕は代理人として、川崎との契約がどうなるかまだ分からない中、下調べを始めたところ、他のJクラブからの感触も悪くなかった。そのような状況の中、川崎からは延長しないという通告を受け、いよいよ本格的に移籍先を探す為に動いていました。
こう言うと語弊があるかもしれないですが、今オフのJリーグの移籍マーケットの特徴としては、J2からは、予算が限られたクラブが上がってきた一方、予算を持っているクラブが多くJ2に降格するということがあり、結果として田中選手には意外と選択肢が限られていた。そのため、J1もあるけど海外も考えたほうがいいかなという動きを始めました。

――オーストラリアはいつぐらいから具体化したんですか?
大野氏
僕自身が昨シーズン、ベガルタ仙台の監督に就任したアーノルド氏の代理人をやったこともあり、豪州の情報は比較的多く入ってきていた。その後彼が豪州に戻り、シドニーFCの監督になったので、彼といろいろと情報交換を始めたところ、オーストラリアのクラブは日本人選手を求めているという話になった。
アーノルドも『ぜひ日本人も』と言う。短い間ではありましたが彼自身が日本のサッカーというものを見たし、選手もわかる。積極的に取りたいという話もあったので、結構頻繁に話をしました。
その中で彼(田中裕介)の名前も出し、僕の契約選手だとセレッソ大阪に決まった関口訓充選手だとか、僕がアーノルドの代理人をやっている事を知った何人かのJリーグ選手がオーストラリアについて相談があったりしたので、いろんな選手の話をしていました。
オーストラリアの移籍ウィンドウが開くのが、1月4日ごろ。日本もウィンドウが開くのが同じ1月初旬で、閉まるのは3月(2014年の場合、2014年1月3日~3月28日)ですが、日本は年越しを避ける習慣もあるため、12月にはだいたい決まる。オーストラリアも同じようなペースで動くのかなと思ってたら、意外とウインドウが開くぎりぎりになるまで動かない。ただ、オーストラリアは、12月のクリスマス前後も普通にリーグ戦があり、元旦も試合をやってたりする事もあって、クリスマスを過ぎたあたりから急に話が動き出した。それで、具体的になった時に彼(田中)に連絡したという形です」

田中裕介
連絡が来たのは、12月29日とか30日ごろです。

大野氏
話をしたら、彼自身も(豪州への挑戦は)結構おもしろいと、言う。

田中裕介
ちょうど宮崎でサッカー教室している時でした(『Miyazaki Dream Fes.2014〜pave the way for dream〜』)。イナさんとかとやったんですが、そのタイミングで連絡が来て。ちょうど夕食を食べ終わった後くらいでした。
最初はすぐに1月最初の試合を見に行くかも、という話で、年明けはハワイでの自主トレは無くなる可能性もあるという話だったんですが、結局は試合を見るということは無くなって、自主トレをして、しっかり整えて今日(1月14日)出発、という形です。
――ハワイの自主トレはいつまで?
田中裕介
1月3日から、13日までです。

――年明けに状況を聞きましたが、その時、田中選手は「そろそろ決まります」という話だったので、その時には決めてたのでしょうか?
田中裕介
その話を聞いた後だったので、自分的には行こう、というのはありました

――シドニーのスタイルの中で、彼は良さを出せそうですか?
大野氏
サッカー選手としての能力の高い選手なので、全然大丈夫だと思います。
日本人の勤勉なプレーが評価されるというのは、豪州でもヨーロッパでも同じです。また体の大きい人に対してスピードで勝負する、というところでは十分にできるだろうし、クラブのGMにビデオを見せて、高さもあるので、ということで決まりました。

――2014年の川崎のACLでのWSW戦では1試合目が途中出場で、2試合目がフルに出てましたね。
田中裕介
1試合目は連戦で中2日の試合で、一番きつくて、前の試合のスタメンは温存したんですが、前半でノボリ(登里選手)がぎっくり腰になって、急遽左で出たんですよ、たしかアウェイの時は。

大野氏
それもあって、左もできるだろう、とWSWには言われました。

田中裕介
もしかしたらそのイメージがあるのかもしれないです。

――ボランチとかCBとかはアピールしますか?
田中裕介
それはないです(笑)。パッと見た感じ、左SBはデカ目の選手が一番最近の試合では出ていて、190cmくらいあるゴツイやつでした。

大野氏
190cmのサイドバックも普通に居ますからね。ボランチとかもそうですが。

 

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――向こうのHPに契約内容がACL限定というような書き方がされていましたが。
大野氏
現状、外国人枠が埋まっている関係でそのような発表になりました。ただ、既に放出する予定の外国人が数名いるのでそれが決まればリーグ戦も出場できると言われています。

――放出後にフルで雇えるという話ですか?
大野氏
『フルで雇える』というようなことが契約書には書いてあるわけではなく、どの試合にも出られます、クラブはリーグ戦・ACL含めた試合全てに彼を起用する権利があると書いてあります。あとは外国人枠の問題で、登録の問題です。

――ということは契約の問題というよりは、外国人枠が開くのを待つという感じなわけですね。
大野氏
そうですね。高萩選手も同じ状況だと言われました。予定では二人の外国人が動くことになります。サイドバックのアフリカ系選手と、トップ下のブラジル人選手が抜けるので、ちょうど2人がそこにはまるわけです。

――契約期間は?
大野氏
今季のAリーグとACLのR16が終わるまでの間ですね。

――その後は改めて、ヨーロッパも含めて契約し直すわけですか?
大野氏
せっかくオーストラリアに行ったのですから、まずはWSWで延長できればベストだと思います。そんなに頻繁に環境を変えるのも良くないと思いますし。

――ということは最初のタスクは延長を勝ち取れるかどうかにあると。
大野氏
そうですね。とはいえ、一度海外に出れば選択肢もまた広がるとも思っています。だから彼にとってはチャレンジです。

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