「川崎フットボールアディクト」

【インタビュー】スリムクラブ・内間政成さん「風間八宏監督とタモリさんの意外な共通点」その2

2015年中の等々力デビューを予定しているスリムクラブ・内間政成さんのインタビューの第2回。

風間八宏監督とタモリさんの、考え方の共通点について語ってもらう。

取材協力 CHA爛PO走 | ちゃらんぽらん

 

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■「パターンを作っても無理。反省しても意味が無い」

――風間八宏という方が監督をしていて、ボールを失わないようなサッカーをしてます。パスサッカーという言い方はしてないんですが、ボールを失わなければゴールに近づける。ボールを失ってしまうと、奪い返さないといけない。だから、どれだけ相手に守られてても、まずはボールをつなごうというサッカーをやっています。
「なるほど。チャンスはボールを持ったほうに生まれますからね」

――持たないと何も起きないという話で、そうするとポゼッションというか、ボールキープ率が上がるんですよね。それで攻め続けるということになる。
「確率が上がりますよね」

――ただ、ゴール前を固められてしまうので、それをいかに崩すのかという事をやっているんです。10人くらいでエリア内に入られるとなかなか…。
「難しい」

――そうなんです。でもそれでもちょっとずらせばボールは運べるという事を教えていて、相手に隠れるなというような言い方をするんですよね。
「ということは小さいスペースでもチャンスにするということなんですかね」

――そういうことですね。サッカーではよくパターン練習というものがあるんですが、フロンターレはそうではなくて、ゴール前でいかに崩せるのか、という練習がまずあります。それは何かというと同じシーンはない。パターン練習してても、それと同じ場面は絶対にサッカーの実際の試合では出てこない。だとしたら局面で相手を外す練習をしておいたほうが、その瞬間に、練習の成果を出しやすくなる。そういう作り方をしてて、セオリーというものからは外れた作り方をしてるんですよね。
「ジャンルが違いますが、タモリさんが同じことを言ってます」

――えっ、そうなんですか?
「タモリさんは絶対に反省しない。それは理由があって、同じシーンは絶対にないと」

――なるほど。
「その場その場でやるしかないから、パターンを作ろうとしても無理。反省しても意味が無いという事をタモリさんは言ってるんです。今の風間さんの話を聞いていて、一緒のことだなと思いました。

――あの、さらに言うと。風間さんは修正という言葉を使わないんですよ。
「どういうことですか?」

――修正ではなくて、進化なんです。過去の事を振り返ってもしかたないと。全く同じことを言ってますね。
「全く同じですね(笑)」

――選手も来たくて来る選手が増えました。
「それはいいですね。やりがいがあるんでしょうね。魅力的なチームということですよね」

――選手同士でも話題になっているようで、良いサッカーをやってるよね、という話が出てくるそうです。
「プロがプロを認めているということですよね。だからうちらで言えば、お客さんが笑うのはもちろん嬉しいんですが、芸人が舞台袖に来て見てくれる。芸人でも見たい芸人って居るんですよ。だから舞台袖でウケてるのを見ると嬉しいですね」

――そういうのは分かるんですね。
「そうですね。それでやっぱりお笑いもパターンがあって、一般ウケするのと、攻めてるウケ方というのがあるんですよ。攻めてるというのはどちらかというと進化を目指してて、やっぱりこのドキドキ感があるんですよ」

――スリムクラブが準優勝した2010年のM-1グランプリのあの漫才はすごいと思いました。あれはある意味攻めですよね。最近は、しゃべくり漫才が主流だという印象があったので。
「だからウチラの中では攻めというのもあるんですが、もう一つあるのが自分に合ったスタイルというのをやってます。もともとは人に合わせようとしてたんですが、先輩を真似ようと。でも先輩とはちがうのでできないですよね。だから無理せずに行けるところを狙った形でした」

――なるほど。でもあれは衝撃でした。この間で行けるんだと。
「そうですね。だからそう言ってもらったら、確かにもしかしたら攻めてると言っちゃ攻めてるのかもしれないです。パターンじゃないから」

――ぼくには漫才の固定観念があったので。風間さんも固定観念を壊せと言うんですよね。ゴール前で崩せないだろ、と思ってる人たちに対して、そうじゃないよと。
「でも常識的に考えたら、崩せないだろうと思ってしまいますよね。密集地帯に対して混んでるし、ムリだろうと思いそうですよね」

――だけど「やれるだろう、お前ら」って技を授けてやらせるんです。それで攻撃の形を作れるようになっていて、そういう意味で攻めてます。Jリーグの中でも。
「そのスタイルというのは海外のチームにもあるんですか?」

――バルセロナとかはやってますが、メッシがいるからできる。点が取れる人が居ないとキツいですね。密集地帯でもかわせる技術がないとキツいです。
「いろんな条件の元、それでも崩せるようにやろうということですよね」

――だから、大久保嘉人が入ってきてくれて良くなったところはありますね。でもそれ以外の選手も育っているので、なおかついろいろな崩しの方法を見せようともしているので、そこは進化させてます。でも簡単じゃないですけどね。相手も上回ろうとしてくるので、中には「相手がフロンターレなら守ればいいじゃん」というチームも出てくる。
「守り方も考えてきますよね」

――そうなんですよ。真っ向勝負してくれるチームもあるんですが、そうすると戦いやすいところもあるんですが、割りきって守られると厳しくなることもあります。でも風間さんは相手に依存しない、自分たちのサッカーということで作ってますね。
「もしかしたら守りに重点を置くスタイルでやってもいいと思いますが、でも見てても面白く無いですよね」

――それはありますね。それがサッカーの難しいところです。でも割り切るチームは割りきってますね。勝ち点3が取れればいいというチームもありますからね。
「それはサポーター的にもOKなんですか。勝ち点3とれればいいや、ということになるんですか?」

――勝てないチームはそうなりますよね。そういうサッカーはつまらないという事も言えますが、だけど負けるよりはいい。今日は頑張ったね、ということで酒飲めるんですよ。サポーターは。本当はもっといい内容で勝ちたいということはあるんですけどね。
「まずは勝利が優先されると」

――そういうチームもあります。J1に残留することが大事だということがありますからね。だからそういう意味ではフロンターレは攻めてます。タモリさん的スタイルです(笑)。でも、タモリさんがそういうことを言ってるのは知りませんでした。
「結構、言ってますよ。あとは努力はしないということも言ってます。言葉はそれぞれに捉え方は違うと思うんですが、努力はしない、反省はしないと。でも理由があるんですよね」

――好きなものを突き詰めるということなんでしょうね。ブラタモリ見てても、知識の量は深い。こんな事まで知ってるの?という事をバンバンいいますしね。あれはすごいと思いますが、それは努力ではなくて、好きだからだと思うんですよね。
「だと思います」

――サッカーも同じで、努力というよりはサッカーが好きで、もっとうまくなりたくてやってるんですよね。それがうまくなりたいという思いがあってやってるだけで。それが努力というか、苦行になると続かないので、似通った部分があるのかなと思いますね。
「はい」

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