「川崎フットボールアディクト」

【J1 1st. 第8節 川崎vs柏 レポート】「回してただけ」(大久保嘉人)の試合では勝てない。研究されるからこそ、それを上回るサッカーへの進化を(2211文字)

J1 1st. 第8節 川崎vs柏
4月29日(水)(14:04KICKOFF/等々力/20,961人)
川崎 1-4 柏

改めて、サッカーの難しさを痛感させられた試合だった。前半について、個人的な感想を言わせてもらえれば、非常に楽しく、試合時間が短かく感じられたということ。結果的に1-1でハーフタイムに入るが、内容自体は悪くないと感じていた。

さすがにリトリートしてこないチーム同士の対戦だと満足感に浸っていたが、ハーフタイムに柏フットボールジャーナルの鈴木潤さんにそうでもないのではと言われた。フロンターレは、後ろに引いて守っているじゃないかと言われたのだ。そういう言われ方をするのだとすると、そう言えなくもない。ボールを柏に奪われると、その場でファーストディフェンスして攻撃を遅らせ、その間に全体が帰陣する。ただ、それは攻守の素早い切り替えという表現で説明が付くもので、引いて守るというたぐいの戦い方ではない。しかし、柏を取材するライター諸氏はフロンターレの守備の堅さについて意外だとの認識を述べていた。

そんなものかと思っていたが、試合後の監督会見で風間八宏監督自身が前半の悪さについて解説。テンポが出ず、リズムが取れなかったと表現していた。そんな試合内容の理由について「自分たちでボールを動かして相手を動かすことができなかった。これだけボールを欲しがらない試合はあまり見たことがない」からだと述べている。

自分の感じ方と全く違っていたという事実を受け止めつつ、それが何なのか、試合直後の大久保嘉人に聞いてみた。個人的な意見だと前置きし「フロンターレはボールを持てていた。攻め込めていたのではないかと思うのだけど、どうでしたか」と尋ねてみた。すると大久保は「うーん」と一言言うと「回してただけだから」と言葉を続けた。そして、そこから辛辣な意見を述べ始めた。

「いいの?あれで。あのレベル?いいの?いいんだったらいいんじゃない?でもそれじゃ負け続けるよ。点を取れないよ」と容赦なく突っ込まれた。

個人的に感じていた楽しさと、監督や選手が感じていた内容の悪さ。この乖離は何なのか。ますますわからなくなり、聞いた谷口彰悟のコメントがまたこの試合への理解を複雑にする。

谷口は「個人的には、そんなに悪くなかったです」と述べる。同じピッチに立っていた選手でも、感想に違いがある。これは何なのだろうかと思いつつ、谷口が続けた言葉にこの試合を理解するヒントが含まれていた。谷口は、こう言葉を続けている。

「もちろんシュートまで行く展開は多くはなかったですが、うちはしっかりボールを持ててましたし、後ろも整えられていたかなと。失点シーン以外は、結構ちゃんとできていた印象はあります」

この谷口の答えを聞いて、考えてみた。

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