「川崎フットボールアディクト」

【#オフログ】映画「シン・ゴジラ」圧倒的情報量で観客の感覚を麻痺させ、そこからさらに面白さに昇華させる力技に感服(後半にネタバレあり)


■物量作戦
大学での研究テーマが東京湾横断道路のトンネル内換気の最適化だったので、東京湾横断道路のトンネル内にある、床版下と呼ばれる非常時の退避用スペースが実際に映像として出てきたことに軽く興奮していたのだが、その間に避難民のチョイ役で出ていた前田敦子に気がつかないという大失態を犯したことを激しく後悔する。

そもそも前田敦子の出演を知ったのは、映画上映後、帰りのエスカレーターで後ろに立っていた男子の会話から。彼らは前田敦子のチョイ役での出演を興奮気味に話しており、前田敦子の名前を検索してその登場シーンを把握。それが避難の場面だったことを突き止めて後の祭り感に頭を抱える。

彼ら、エスカレーターの男子二人組はぼくが知らない俳優、女優の名前を次々と口にして、あれもこれもすげーな、と談笑していて、そういえばエンドロールの出演者一覧に出てくる登場人物一覧がえらく長かったな、ということを思い出す。

主役の長谷川博己氏のことも知らないぼくは、出演者一覧に出てくる大半の俳優のことを理解していなかった。花森麗子防衛大臣を演じていた余貴美子を南海キャンディーズのしずちゃんだと思ったり(それにしては早口だなとは思った)、環境省自然環境局野生生物課長補佐の尾頭ヒロミを演じた市川実日子に知ってる人の面影を見たりしていたが、まだ会ったこともない人だからそれくらいの間違いはあり得る。ところが過去に取材させてもらったことがあるにも関わらず、内閣総理大臣の大河内清次役として出演していた大杉漣さんの名前が一向に出てこないところからしてぼくは人の名前を覚えるのが苦手なのだなぁと改めて自覚した。

ただしエンドロールの中に目ざとく倉敷保雄氏の名前が出てくるのを見逃さなかったのは我ながらすごかった。とはいえ、氏がどの場面で出ていたのかは結局わからずじまい。

ということで、色々とキャストのことを知りたくて検索したが、登場人物と劇中の役名とを対比させる資料に乏しく、そういう意味でもシン・ゴジラは謎の多い作品だった。

『シン・ゴジラ』の328人全キャスト一覧は、これだ!!
http://cinema.ne.jp/recommend/shin-godzilla2016053118/

そもそもシン・ゴジラと最初にコンタクトしたのは、多摩川クラジゴ(ゴジラを逆順にしてくっつけたということらしい)のプロモーション活動がフロンパークで行われていたから。対応していたのは東宝の職員ではなく、川崎市の職員だというところで驚いたわけだが、「シン・ゴジラってなんですか?」という漠然とした質問に対し、市の職員が「それは我々にはわからないので東宝さんに聞いて下さい」と言葉を濁すあたり、秘密主義のニオイを感じる対応だった。

【#オフログ】J1 1st. 第17節 川崎vs大宮 試合前写真(7枚)
https://www3.targma.jp/kawasaki/2016/06/25/post6840/

結局東宝さんには連絡しないままだったのだが、後日伝え聞くところによると、シン・ゴジラは公開前にかなり厳格な情報統制が敷かれており、まず一般向けに試写会が行われなかったということ。またマスコミなどの関係者に対する事前の試写会に際しても、情報を漏らさない旨の誓約書にサインが求められたと聞いており、かなり厳密に情報が管理されていたことがわかる。これらの結果、公開以前には全く映画の内容に関わる情報が出てこず、そういう意味で東宝の狙い通りの展開となったようだ。

ということで、どんなストーリー展開なのかほとんど知らない状態の中、正規料金で見に行くことを決意したのは、様々なチャンネルで入ってくる絶賛のコメントの多さだった。

中には会議の場面の多さを指摘するツィートもあったが、それが批判になっていないところが独特で、個人的には期待が高まった。すなわち、怪獣映画というものは基本的にアクションシーンが売りとなるものだからだ。怪獣とのバトルが映画の見せ場で、それが興行の成否を左右するのが一般的。ところがシン・ゴジラでは、アクションシーンに言及したものが少なく、また会議シーンについて言及するつぶやきが否定的なものでないところに目新しさを感じたのだ。

そしてそうした賞賛の声をある程度信頼できたのは、総監督がエヴァンゲリオンで知られる庵野秀明氏だったからだ。彼の作品であればこれは当たり外れのピーキーさはあるにせよ、見せる映画にはなっているはず、と考えたわけだ。かくしてぼくは、ビジネスパートナーの感想にあった「次回はIMAXで見ようと思います」との論評を真に受け、TOHOシネマズ新宿のIMAXで観ることを決意した。

TOHOシネマズ新宿は、座席の事前予約が可能で、予約開始の当日の午後にアクセス。ちょうど真ん中に近いあたりに座席を確保することができた。ノーマルタイプの劇場で見てないため、IMAXの効果がよくわからないのだが、それにしても幅広のスクリーンに広がる映像は、迫力十分だった。ちなみにシン・ゴジラIMAX版の上映は8月10日までとのこと。滑り込みで見られてよかったのかもしれない。

※ネタバレパートへ。

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