「川崎フットボールアディクト」

【#オフログ】JYC1回戦 川崎U18vs湘南ユース 2−0の快勝をもたらした守備面の奮戦と、チーム全体の課題

▼今野章監督
--立ち上がり、ガーッと来られましたがあれは想定の範囲内だったんでしょうか。
「多少はくるかなと思っていて、ボールの回しどころをというのは確認してたので。そこをちょっとずつ時間とともにここから来てるということは理解して、そこら辺は慌ててなかったかなと思います」

--そこで上手く仕掛けてペースを掴んで先制点を奪って、という流れを見てると試合巧者だなと思ったんですが。
「後半の2点目を取るまで、前半耐えながら最後いい時間帯に点を取って、後半の入りにも点を取る。そこまでは素晴らしいいい流れだったんじゃないのという話はしました」

--ということは2点目以降が課題だったというか。
「そうですね。見ての通り(笑)。2点目のあともいい時間帯もありましたが、そこがまったりしてきててベンチでも嫌な時間だね、という話はしてて。だんだん飛び出す動きとか決めきるところが曖昧というか疎かになってきて、相手は前掛かりになってそれをどんどん受けて、それを返すカウンターも出なかったのであれではやられるなという試合でしたね」

--早坂くんが止めてなければやばかったですね。
「そうですね。決定機5発6発はあったので、1発行かれてたら今頃は延長PKまで行っていたと思います」

--その早坂くんきっかけのカウンターが2本くらいありましたがあれは武器になりそうですね。
「そうですね。最近フィードの練習もしてますし、シュートストップのところはいいものを持ってますし、そこの課題のところをGKコーチの浦上さん含めて右足左足練習しているので、そこは目に見えて成長していると思います。今はGKらしいというか、トップの練習にもこの前参加させてもらいましたが何かやってくれるんじゃないかな、という雰囲気は感じられますね」

▼田中碧
--次は鹿島ユースですが。
「相手が前から来るかはわかりませんが、しっかり自分たちのボールを大事にして、やっていければ勝てるんじゃないかと思います」

--夏にベスト4に入って、そうやって一度上に行けたことで意識したことは?
「夏にあれだけいい成績を残しましたが、そこ(トップトップの力)を知ってしまったので、自惚れというところはないと思います。自分たちがチャレンジャーだということは忘れずに、一戦一戦次の事を考えずにやるということは決めてます」

--立ち上がりに攻められた時間帯は、選手たちはあたふたはしなかったんですか?
「前から来るというのは分かっていたので。その、来る中で相手も90分間くることはできないと思いますし、そこで自分たちがミスしないことが一番ですし、ミスしたとしても続ければ必ず少しでもラインは上げられると思うので。やりながら、立ち位置を変えたりポジショニングを修正したりして、上手くやれたのかなと思います」

--パスミスも少しあったように思いますが。
「そこも自分たちの質の問題。相手が来てる中でどうしても止まったり、パスが弱いとかそういうところだったので、それを少しずつ。パスコースを増やしたりパススピードを上げたりとか。一つ飛ばすとか。小さいことを続けた結果が前に出たのかなと思います」

--碧くん自身は前のスペースに入っていて、攻撃に絡めていましたが、それらのプレーを振り返ってどうでしたか?
「正直物足り物もありますし、もっともっとできなければならないところだったと思います。まだミスも多かったので。ただ、今日の試合に関して言うと、前半の守備に関しては正直どこに出されても自分たちが取れるというそういう意識があったので。守備に関しては前半は本当に良かったと思います」

--シュートを打つところのラストパスの精度。
「そこは一番大切ですし難しいところで、そこをいかに自分たちの中で質を上げて落ち着いてやれるのかというところだと思いますし、受け手もしっかり外して決められるかどうかだと思うので、それは練習の中でやっていきたいです」

--2点目はきれいでしたね。
「裏を取るということは意識してたので。相手が来る中、逆を取るというようなプレーができたと思います」

--何人かトップチームに練習参加してて、夏のベスト4から積み上げてきたものというものは何か手応えはありますか?
「一つは自信というか、クラブユース前は正直、点を取られたらすぐに落ちてそのまま行かれるという試合が多かった中で、クラブユースを通じてリバウンドメンタリティじゃないですが、開き直りというところが出てきましたし、自分たちのやってるサッカーを続けていければ、という自信もできたので。そこは自分たちの中で大きな一歩だったと思います」

--クラブユースではFC東京に最後やられてしまいましたが、リベンジしたいという思いは?
「やれればF東とやりたいですし、優勝目指してやってますが、まずは次の鹿島戦。そこをしっかり自分たちのサッカーをして、勝てればいいなと思います」

▼道本大飛
「立ち上がりは相手に押し込まれていましたが、徐々にペースを掴めてきて、そのタイミングで自分が得点を取れて流れを掴めました。後半に入っても、自分たちのペースは変わらず、最後の方はペースダウンした気もしますが、勝てて良かったです」

--ゴールシーンは?
「そうですね(笑)。いいパスが来て、トラップもいいところに置けてあとはGKの逆を取って決めるだけでした」

--GKは見えてたんですか?
「そうですね。わざと体を開いて、右に蹴るふりをして左にひねって蹴りました」

--してやったり?
「うまく行きました。今年はあまり点を取れてなかったので、嬉しかったです」

--試合展開として序盤は押し込まれましたがそこでどういうことを考えていたんですか?
「先制点をどっちが取るのか、ということは監督からも言われていて、自分たちはあまり取られたら乗れないチームというか、取ったら乗るんですが…。極端というか、どっちが取るのか、というところでギリギリの戦いでした」

--夏の大会の経験で得たものについて碧くんに聞いたら1点取られても頑張れるメンタリティが身についた、というようなことも言ってたんだけど、そこはじゃあそれぞれで違うんですかね(笑)。
「いやー(笑)。そうですね。どうなんですかね。でもそれはあるかもしれません。夏の試合では、先制点を取っても取られて逆転されて、また逆転するとか、そういうのが多くて。でも先制点を取りたいというのはチームの気持ちでした」

--凄い試合あったよね。
「レイソル戦とかやばかったです」

--クラブユースの4強で自信が付いた部分があるのではないか、という話もあるんですが。
「ありますね。なんか、あんま負ける気がしないというか、夏のときは負ける気がしなかったです。みんな感じてると思いますが、立ち上がりが悪い中、だんだん自分たちの流れをつかめるようになってきたという感じです」

--この等々力でできるということも大きいんですかね?
「はい。人が入ってくれて、良かったです(観客数は1,001人)」

--1点目のところ、スルーパスを受けた動きとかうまいなと思ったんですが。
「あれは大聖が上手くスペースを開けてくれたので、それで自分のマークの駆け引きで、トラップで、一歩前に入れたので。トラップが一番でした」

--何人か今年はトップチームに参加してましたが、彼らが帰ってきてチームにもたらしてくれたものはありますか?
「トップでしか味わえない緊張感はめっちゃあると思うので、そういういい緊張感をチームにもたらしてくれたと思います。切り替えとかも速かったですし、帰ってきたときは。プレースピードも早くなってて、それでみんな負けたくないので。自分に自信を持ってやれたと思います」

--トップの試合を見て参考にするところは?
「やっぱり、大久保選手の得点感覚。チームを救う働き。ここぞという時に決めるので、あれは真似したいなと思います」

--次に向けて一言もらっていいですか?
「そうですね。夏よりも上に行きたいです。自分も最後の年で、ここというところで結果を出してチームとして上に行きたいです。優勝目指して行きたいです」

▼早坂勇希
--GKとすれば素晴らしい試合だったのかなと思ったんですが、どんな試合でしたか?
「いやー、そうですね。今週一週間の練習はあまり、みんなコンディションがバラバラだったというか、修学旅行とかもあって不安なところもあったんですが、その中で前半先制点が取れたのが大きかったですし、途中で攻められる場面も多かったですが、そこはチーム一丸となってゼロで抑えられれば必ず勝てるということはハーフタイムに話されていたので、そこは…。決定機は何本か止めましたが、そこは自分の力というよりもチーム全体で守ったゼロかなと思います」

--CKのところで危ない場面がありましたが、良く止めましたよね。
「ゼロで抑えれば絶対にチャンスは来ると思ってましたし、途中から流れを変えられる選手が入ってきてくれたので、そこを信じて。耐える時間が長くて正直きつかったですが、ゼロで抑えられて良かったです」

--特に立ち上がりに攻められてましたが、そういう意味で先制点を取るまでが上手く行けたのかなと思ったんですが。
「今年の頭にベルマーレと試合をしてて、負けてしまってたのでチャレンジャーとして最初は攻められる覚悟で準備してたので。そんなに慌てる事無くやれました。絶対に時間は自分たちのものになってくると思ってたので、そこで一発決められたのは大きかったです」

--それで、後半の宮代くんの追加点で一気に楽になったと。
「ハーフタイムに、0−0だぞ、という話を碧さんがしてくれて、もう一度畳み掛けていこう、という話になって。トーナメントでパワープレーとかされて。うちはあまり身長がないので、そこは少し厳しいところがあるので、一度突き放しに行こうということで。
なので今日の試合はかなりハマってましたね」

--早坂くんはトップでも練習してますがその経験は行きたんですかね?
「安藤さん、章太さん、駿さん。アドバイスくれましたし、安藤さんは経験してきたものを踏まえながら、それを話してくれましたし、そういうところで気持ち的に楽でした。練習参加中に嘉人さん、憲剛さん、悠さんとかもシュート練習に入れさせてもらった時に、目の方は3日間で慣れましたし、そういうところでは以前までは慌てるというか、シュートを打たれる時に気持ちに余裕がなかったですが、トップチームの練習に参加してからは気持ちが楽になりました。色々といつもの練習では学べないことも学べたので良かったです」

--嘉人とか憲剛とかのシュートを受けてたら、それは全然違いますよね。
「嘉人さんとか異次元でした。マンガの世界でした。飛んで手を伸ばしたら、すでに入ってました(笑)。FKのところも憲剛さんのを受けたんですが、いろいろなところに蹴ってもらって。だから今日も少し距離はありましたが、全然怖くもなんともなかったです」

--碧くん、カルロス、いろいろな選手が練習参加して、いい影響を受けてますね。
「そうですね。行って、カルロスもそうですし、碧さんも絶対に変わって帰ってきてくれるので、僕達残ってるメンバーは居なくなったとしてもトップに行ける選手が安心して、碧さんがチームのまとめ役ですし心配せずに。そういうところは三年生に頼らず、二年生でカバーしようと話してました。今一番の課題は練習の雰囲気だったり。トップチームは一人ひとりがピリピリしてやってますし、そういうところは行かないと経験できないところだと思うので、これからは行った以上しっかりとチームを変えていきたいと思います」

--パントキックが上手くなってるんじゃないですか?
「身長が一気に伸びたりして足元の方が自信がなくて。フロンターレが風間さんのサッカーになってから足元をやっていかないといけないということで、最初はミスばかりで、ミスしてたら信頼も得られないですし、そういうところは身長が落ち着いた時に、集中的にやったりしてます。まだゴールキックとかはミスがありますが、そういうところも100%成功できるようにしないといけないと思います」

--2本くらいすごいカウンターの起点になってましたが。
「途中から入ってくる選手もそうですし、GKとしてフィールドに立ってる選手全員の特徴を知っていないといけないですし。そういうところで途中から入ってくれた(小泉)靖弥くんというところは、スピードを持って、スピードを活かしてやってくれてるので。そこは全国大会で通用したところでしたし、そういうところでは自信になってたので、苦しい時に一発変えられるのはいいなと思いました」

--トップに行った選手は、意識高くなって帰ってきて、元々行ってない選手の意識を引き上げる効果があると思うんですが、これは徐々に下がってくるのかなと思うんですが、そこは高いレベルで維持できてるものですか?それとも落ちてきてますか?
「カルロスとかは本当に試合とかにも絡めて無くて、トップであれだけいきなりベンチに入ったりとか、ああいう中でもカルロスの強みはいざというところで発揮できるのかなと思いましたし、それができたから自信を持てたのかなと。だからカルロスは今までは練習中に声とか出してなかったんですが、自主的に声を出すように変わりましたね。そういう意味では意識が上がる波の方が大きいと思います。プレーに自信が持てて、後ろとしては前の選手のお陰で助かってるところはあります」

▼宮代大聖
--前半から難しい流れというか、どういう試合でしたか?
「立ち上がりは相手のペースになってしまってそこからどうするかという中で、自分たちの流れになった時に、少ないチャンスで決めきれたというのは、先制点を取れたというのは凄く大きいですしそこから自分たちの流れに持って行けてたので、それは良かったと思います」

--後半の立ち上がり、大事なゴールでしたね。
「みんなで2点目が大事だという話をしてたので。やっぱりいつもフロンターレは後半落ちてくるという試合が多かったので、入りというのはとても意識してましたし、自分としても自分が決めてチームを楽にしようという勢いで試合に入ったので。それが結果になって良かったです」

--2点目の場面は、ボールを受けるイメージはあったんですか?
「そうですね。とりあえず突っ込んでいきました」

--キレイに開いたところに通ってきましたね。
「前まで自分の形としてああいうゴールというのはあまり決めたことがなかったんですが、クロスからの得点というのは自分の得点の中では少ないかなと思ってたので、そこで自分の、最近はクロスからの得点も決められてますし、そこも特徴として持っていければ相手にとって手強いFWになれると思います」

--前半から相手の3番(石原広教・湘南にトップ昇格)とやりあってましたがあのへんはどうだったんですか?
「代表で一度やったことがあって、お互いに知ってたので、負けたくないというのはありました。1対1の場面だけでは無いですが、負けたく無いというのはありました。強いし、うまいと思いました」

--宮代くんはU16でもそうでしたが、DFのところで貢献が感じられたのですが。
「最近も守備の面では自分でも意識してて、攻撃だけではこの先、生きていけないと思って。点を決めるだけの選手というよりは、今の代表の原口元気選手じゃないですが、原口選手はハードワークしてますし、ハードワークしてる中でも結果を出している。ぼくが求めているのはそういう守備もして、攻撃もして、ハードワークするプレーなので。やっぱりそこは欠かせないかなと思います」

--守備の楽しさが分かってきたということは?
「そうですね。ハメて取る。前で取れたときはうれしいですね(笑)。前で取れたら絶対にチャンスになりますし、自分としては前でプレーしたいですし自分のところで取れたら絶対に後ろも楽になるし、そういう面で前でしっかりやっていきたいですね」

--代表が終わったあと、精度のところを追求しなければ、という話をしてたみたいですが。
「あっちでさんざん外してチームに迷惑を掛けてしまったというのはありますが、来年(U20W杯)に向けて今から意識を変えて行かないと、ああいう厳しい戦いの中で決めきれなかったという悔しさ次は絶対に経験したくないですし、絶対に活躍したいですし、やっぱり自分がもっと上を目指してシュートだったり守備だったり、そういう面で人よりも二倍三倍意識を高く持ってやっていきたいです」

--シュート練習を増やすとかそういうことは?
「なんか、前まではペナ外からのシュートが多かったんですが、帰ってきてペナ内のシュートの練習の方がやってるかなと思います。やっぱり8割ペナ内からなので。みんなペナ外からのシュート練習は結構してると思うんですが、やっぱりペナ内で仕事をしないと。だからペナ内の練習というのはしてます」

--誰かにパス入れてもらって?
「イメージしてかわしてシュートということはやってます」

--1点目の道本くんみたいな動きからのシュートをしたいというか。
「フロンターレで練習でもクロスの練習とか取り入れてるので、動き出しという面で、自分を活かしたり、味方を活かしたりという動きは大事だと思います」

--U16では、一番悔しかったのはイラク戦?
「そうですね」

--来年、借りを返さないとね。
「絶対に優勝目指して。インドなので。僕達経験しているので。2回経験してるので、他のアジア以外のチームよりは優位に立てていると思いますし、そこからどう積み上げていけるかだと思います」

--ゴリさんから色々環境の酷さも聞いてたと思いますが。
「そうですね。環境には文句を言えないので。相手も一緒ですし、環境のせいにしてたら何もできないので。そういうのは気にしてないです」

--ゴリさんは環境のせいにしない、という言い方を良くするんですか?
「というか、それを上手く使ったり、そういうことは言われます。相手も同じなんだから、ということは言われます」

--フォア・ザ・チームの思いも強くなってきてるんですか?
「そうですね。やっぱり自分の得点だけでなくまずはチームの勝利という気持ちのほうが今は強いですね。代表に入ることで、それがより一層強くなりました。前まではチームが勝っても自分が決めなければ悔しかったんですが。もちろん今でも自分が決めてない試合で勝ったら悔しさはありますが、嬉しさと悔しさがありますが、UAE戦ではないですが、自分がPKを外して。でも勝って、みんなが体を張って守ってくれて。やっぱりそういうので素直に嬉しいと思えたので、そこは一つ成長できたかなと思います」

--UAE戦は本当に守備がすごかったよね。あれは見てて、本当に感動しました。ゴリさんの話ですが、終わったあと、大聖のあれは外せないでしょうと。交代しようかと思ったけど、めっちゃ守備頑張っててこれは残そうと。
「前日から気合の入りが違ってたので」

--初戦の左足シュートも感動した。
「ありがとうございます(笑)」

--左利きじゃないのにすごいなと。左の方がゴール多いのでは?
「右足警戒されてるのか、左が開くんですよね」

--楽に蹴れる、ということは?
「特にはないですが、左足の精度はこの前の代表の試合では低かったですし、やっぱり左足で決めましたが、ベトナム戦では。でもその後のオーストラリア戦だったりUAE戦、イラク戦だったり何度も左足の決定機があっても同じミスを繰り返したり、決めきれなかったりということがあったので、満足は全然してないです。そこで左足を特徴にするくらいやれたらなと思います」

--小宮山尊信は左利きになってるし、西川周作もそうか。
「まあ、左利きに変えるつもりはないんですが(笑)。でも小さいころから左足はやってて苦手意識はないです。より一層高めたいです」

(取材・文・写真/江藤高志)

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